『コンフィデンスマンJP』#6

 「古代遺跡編」ご視聴ありがとうございました。
 書くにあたっていろいろと調べるのが楽しい回でした。考古学や古代史は実に様々な説が万華鏡のように存在していて、斑井さんのパパみたいな方もたくさん。ピラミッドは日本発祥、イエスもブッダもみんな日本にいた、日本人は宇宙から来たetc。でもどんな突拍子もないと思われる説も、耳を傾けていると「確かに…」と思わせられる説得力があったりします。本当のことは誰にもわからないから面白い。世界中の有名な遺跡だって、墓だの神殿だのと言ってるけど本当は何の跡なのやら。
 興味深かったのは、シュリーマン。トロイ発掘の情熱を持ち続けてついに見つけた信念の人のように教わりませんでしたか?意外とそうでもないというのが最近の定説らしく。金を持て余した大金持ちが、あのへん掘ったら出るという説を聞いて、やってみよっかな、金あるし。出たら講演会でちゃっかり「古代への情熱を失ったことはない」とぶって拍手喝采。という感じが近いようです。でもおかげで考古学が大きく進展したのは事実。かようなことに財を投じるのがお金持ちのあるべき姿かもしれません。
 余談。少し前の漫画ですが考古学を扱った『イリヤッド』は超面白いのでおすすめ。

 長澤さんに初めてご挨拶したとき、すでに撮影が始まっていて、
 「いろんな役が出来て楽しいです。アフロかぶりたいんですけどアフロの役ないですか?」
 「ないですけど……話と関係なく勝手にかぶってればいいんじゃないですか」
 「ですよね、ダー子ってそういう人ですよね」
 というやり取りをしまして。そういうわけでああいうことになりました。二人にもかぶらせてましたね。小日向さんのはひどいですね。自由だね。

 斑井役を内村さんがやってくださったことは感激でした。お笑いの方がシリアスな役をやってくださると一層沁みます。
 僕が中学生くらいのときにウッチャンナンチャンが華やかに出現して一気にスターになりました。親しみやすくも洗練されて品のあるコントに僕も大いに影響を受けました。以下、中学生くらいの記憶なので間違ってたらゴメンナサイ。当時「お笑いベストヒット」(たぶん)というネタ番組があって熱心に観てました。確か土曜日の夕方にやってたかと。司会は生島ヒロシさんと鳥越マリさん。芸人さんのネタをランキングしたベストテンみたいな番組(今思うとどういう集計をしていたのかは謎ですが)で、毎週1位を獲得していたのがウッチャンナンチャンでした。大抵2位がダウンタウン。3位以下がヒロミさん率いるB21スペシャルとか、嘉門達夫さんとか、ダチョウ倶楽部さんとか、電撃ネットワークさんとか。ダウンタウンは当時まだ東京進出前で、ランキングされても登場することはほぼなく僕にとっては謎のコンビでした。しかし東京で活動してないコンビが東京の番組で2位にランキングされること自体関西での人気の凄まじさを示していたのかもしれません。事実その後ほどなく『夢で逢えたら』や『ガキの使い』などが始まりその後の活躍は言わずもがなです。脱線しましたが、ウッチャンナンチャンのコントはいくつも憶えています。「地下鉄」とか「ファミレス」とか「親友」とか「ララララグビー」とか。マニアックな話ですみません。またウッチャンナンチャンのコントを観たいなあと思います。
 
 今回も、発掘現場、土器、土偶、古代文書、ダー子の衣装などなど、美術部さん顔面蒼白の回でしたがどれも素晴らしかったですよね。頼んでもいないダー子の土偶ポシェットまで手作りしてくれたそうです。こういうのなんだかしみじみと嬉しいなあ。
 撮影もほとんど真冬の山の中で苦労されたことでしょう。
 このような撮影場所を見つけてくるのが制作部さんです。スタッフロールに「制作担当 竹井政彰」「制作主任 山田のぞみ」と出ている彼らこそ、毎回台本が出来るとすぐに必要なロケ場所を探しに飛ぶプロ中のプロ。竹井さんは映画『ミックス。』も担当してくださっていて、建設中だがほぼ完成状態にして稼働前の大きな体育館という奇跡のような物件を見つけてきて、卓球大会シーンの撮影をスケジュール通り可能にしたという僕の中で伝説の人。今回も、打ち合わせに行くとよく隣のオフィスで山田さんが電話で撮影交渉しまくってました。「そこは大きな穴を掘っても大丈夫でしょうか?かなり大きい穴です。遺跡の発掘現場なんで。遺跡です、遺跡」などと。思わず心の中で「すまん…」と思う僕。牛久教授の研究室もなにげに本格的なところを借りていましたね。ああいうところでクォリティが上がります。他にもこのドラマでは、飛行機の機内やら、空港やら、マニラの繁華街やら、八五郎島やら、山本巌の生家やら、合戦場やら…いったい何のドラマなんだという酷使ぶり。 
 打ち上げで竹井さんに「大変だったでしょう、スミマセン」と言ったら、「作家さんは現場に気を使っちゃいけません。好きなように書いていただいたほうがこっちもやりがいがあります」と言ってくださってしびれました。
 ドラマを論じるとき、ほとんどが出演者、ときに脚本家や演出家が論じられますが、実はこういう人たちに支えられていることもわかってほしいですね。
 
 さて、次回は「家族編」です。ようやく地に足の着いた設定でやりますよ。年配の方も見ていただけたらと。我らがゴリさんこと竜雷太さん他、豪華ゲストによる心理戦です。
 月曜9時に会いましょう。

 ちなみに、「美術商編」を書いているとき、養鶏家の山本巌が招待状を受け取るシーンを「養鶏場」と書いちゃうと、竹井さんたちが優秀すぎるあまり本格的な養鶏場を探してきちゃって山奥に行くことになったらスケジュールパンクするので、どこでも撮れるように「背景に養鶏場の看板がある郵便受け」というような表記にしといてくれと言われました。コケコッコーと鳴き声入れればそう見えます。じょうずに手を抜くことも大事だぜ!

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