『コンフィデンスマンJP』#10

 最終話「コンフィデンスマン編」ご視聴ありがとうございました。

 何といっても佐藤隆太さまさまです。
 素晴らしかったですね。ゲストで来て、全編1対3をやり通さなければいけないという大変な役を短い撮影期間で見事にやり遂げてくださいました。佐藤さんでなければ現場が回らなかったろうと皆口々に言っておりました。本当に感謝です。
 戸田菜穂さんも素敵でした。麿赤児さん、野間口徹さん、袴田吉彦さんら贅沢な方々が出てくださってありがたいです。
 そうそう、バトラー役のマイケル・キダさんが面白い奴で、うまく使いたいなあと思っていたのですが、金井監督が「髪ほどいたら全然誰だかわかりませんよ」と言うので、あのアイディアに踏み切りました。うまく騙せたかしら?
 
 最終話は、いろんなプロットを作ったのですがどれもうまくいかずかなり悩みました。最終回っぽくするかしないかも含めて。何をしたらいいのかわからなくなったときは、わざと自分を縛って制約を作るのも時に有効です。現場のスケジュールも苦しそうだったこともあり、スイートルームだけの密室劇にしようと決めて、力技で作っていきました。
 俳優、スタッフの皆さんも集中して心理戦を作り上げてくださいました。
 3人の過去が触れられていた通りなのかどうかは、さて、どうでしょう。

 思い返すと企画をぼんやり立ち上げたのは2016年の秋ごろ。簡単な企画書だけ作り、17年明けたころに長澤さんの出演が決まり、続いて東出さんと小日向さんが決まり、ずっと気になってた小手さんも出てくださることになりました。他の仕事と並行しながらではあったけど、5月くらいからこつこつ1年ほどかけて脚本を書き溜めていきました。難しい題材で、なかなか思うように進まずご迷惑もかけたけど、プロデューサーの成河さん、草ケ谷さん、演出の田中さん、金井さん、三橋さんらに支えられて最後まで書ききることが出来ました。そして素晴らしいレギュラーキャスト、ゲスト、スタッフのみなさんが集まって面倒くさい台本を全力でつくりあげてくだいました。脚本家冥利に尽きるというほかありません。こんなハチャメチャなドラマを思いっきりやらせてくださったフジテレビにも感謝です。
 そして何より、観続けてくださった皆様に心から感謝申し上げます。毎週楽しみにしてくださった皆さんは、もはやダー子たちの子猫です。
 
 皆さんの感想に励まされたり、褒められたり、けなされたり、視聴率に一喜一憂したり、すべて含めて、自分の書いたものが放送されているクールというのは、本当に幸せな三か月だなと改めて思いました。
 月曜の夜に、少しでも気持ちが明るくなるものが届けられていたら本望です。
 これからも頑張ります。
 またどこかでお会いしましょう。
 
 映画はあるのかどうか、真実はわかりませんが、もしダー子から招集がかかったら全国の子猫ちゃんたち、集まってくださいね。

 ちなみに、先日学生さんたちにお話する機会があり、「脚本やプロットが没になった時、どういう気持ちか」という質問をされ、ふと、僕はこれまで書いたものが没になったことはほとんどないことに気づきました。しかし、このドラマだけは、もうたくさんプロットを没にしてます。それこそ5編か6編くらい……。楽にできる仕事なんて一つもないけど、これは本当に難しかった。一時期はやり始めたことを心底後悔してました。見通しもなくなんとかなるんじゃないかな~と軽い気持ちで始めちゃう性格なんだね。でもその分、やり遂げた充実感もひとしおで今はやってよかったと心から思います。少し成長できたとも。今なら没にしたいくつかの話も成立させられるかな。ん?シーズン2もなんとかなるか?だからその性格!

                 2018年6月11日 古沢良太

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