リュウグウはなぜに、オレオより黒いのか?―はやぶさ2の届けたもの

12/6、はやぶさ2からのカプセル帰還からの1周年に合わせ、
リュウグウの研究進捗につき、記者会見があった。

成果は小惑星研究における「大発見」
と発言があって、期待が高まるところ。

有機物はすでに検出できている、と9月段階でお聞きしているし(※)、どのようなことが出てくるのだろう
ひと晩寝かせて、注目点を3つ考えてみた。

○注目点
・地上へ届いた同質の隕石(C型隕石)との、構成物質の比較
……C型隕石を熱することで、様々な有機物へ分解され、その中には、細胞膜の元となる脂質に似たものまであった。このことから、隕石が空中(大気圏)で加熱されて放出した物質が、生命の源だとする説がていきされている。
宇宙空間にある同質の隕石との差分を取れば、隕石が地上に届くまでに空中で揮発した成分が推定できるので注目。

・内部の粘土鉱物の量
……水を蓄える部分であり、そこにどれだけ水分があるか?また、粘土自体が水を介在してできるものなので、リュウグウのもととなった原始天体に、海・湖・地下水?があった間接的な証拠ともなる。

・リュウグウ表面で採取のもの(1回目の採取)、人工クレータから飛び散ったもの(2回目の採取)の間の比較。
……宇宙線の及ぼす効果がわかる。
「太陽からの水素原子が岩石の酸素原子を引き剥がし、水分子を作る」との学説が、先日報道された。
表面での採取物で、酸素原子の比率が少ないようなら、この説の経路での水が発生している間接的な証拠となるだろう。

その他個人的に知りたいこと。
(だけど、世間的には、割とどーでも良さそうなこと)

その1。リュウグウはなぜに、オレオより黒いのか
これは、JAXAのはやぶさ2運用チーム内での言い回し。
あまりに、リュウグウが黒い(反射率が低い)ので、その黒さを伝えるのに、身近にある最も黒いものとして、オレオを引き合いに出していた。あのクリームサンドビスケットのオレオだ。
リュウグウの反射率は2%前後と思われるが、これほどの低い反射率は、表面に特殊な加工をしてはじめて作れるレベル。
リュウグウの石や砂が、どんな表面状態になっていて、反射率が低くなっているか?エンジニアとして気になる。

その2。リュウグウに歯があるか
歯、というのは、たとえの話。
歯を構成する物質……リン酸カルシウムがあるかな?と期待しているのだ。
生命を、形づくり長期的に維持するには、骨格が必要だろう。
だから食物連鎖は、一面では、カルシウム分やリン酸のやり取りとも言えるくらいだと思うのだが、
地球最初のリン酸カルシウムがどのようにして堆積したのかが、ハッキリしない。生命が発生したあとは、その死骸が堆積してやがて石に取り込まれて……という循環があるのをわかっているが、その手前が見当つかない。

(※ご参考
 蒲郡市立生命の海科学館の連続講座より。
アーカイブがありますので、ご覧ください)

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