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はやぶさ2 アウトリーチについての意見交換会、見聞記

本日午前、大阪市立科学館の講座室で、標題の意見交換会がありました。定員30人という小さな会議室に集まった方は、アマチュア天文家、プラネタリウム職員さん、学校の先生……とバリバリ活動中の人ばかり。素人は私だけでございます(星セント・ルイス風に、て古いなぁ私も)。
遠くは沖縄から、静岡からも来られていて、熱心かつ刺激的な会合でした。

冒頭、JAXA プロジェクトマネージャー吉川さんから、凡その現況説明。10/3未明に予定のミネルバ2-2の投下をもって、現地でのミッションはほぼ終了。
ミネルバ2-2は、メモリ読み出しの故障があり、投下そのものの軌道を追うことのみで終わる見込み(それで重力分布のデータを補充する)
・帰還地点は、オーストラリア政府と協議中。「ウームラに帰着」という大枠は決まった(発表済)。

(出席者意見)
大きくわけると、a.JAXA側の公報のしかた、b何を伝えるべきか(その選別の目線)、c伝達の担い手

a.JAXA側の公報の仕方
・公開されている情報量が多く、取捨選択に困っている。
・情報源ワンストップ化。現状、複数のweb pageに分かれてしまっている。はやぶさ2 プロジェクト、JAXA本体……
・コンテンツを小分けにすること。記者会見の映像で、何もかも流すのでなくテーマ別に分けられられないか。
・はやぶさ2 プロジェクトが、太陽系探査全体の中で占める位置づけ、今後のロードマップ(人々の興味を長期間つなぐためには、欠かせない)

b何を伝えたいのか
・学校教育では、『道徳教材』的な面、『教科副教材』としての面、他『進路指導(職業研究?)の例、として活用可能。いちばん生徒の反応がいいのは『道徳教材』としての側面と実感あり。
・ドラマ(ストーリー)が、分かりやすさのために重要。ミッション計画段階での、観測テーマを選択過程、エンジニアの『こだわった』ところ、なぜその研究にかけるチーム・メンバーのこだわり、などなど。
・他方、興味のない人や背景の知識に乏しい人へは、基礎編のコンテンツが必要になる。
(はやし補足。私から関連で提案……はやぶさ2 への道〜プロジェクトメンバーが読んだこの10冊、的な関連図書紹介企画……できません?)

c.伝達の担い手
・(特に、はやぶさ2 プロジェクトに関しては)プロジェクトで実働している人が、広報の仕事まで担い過ぎでないか。人手不足となるのは、現状、必至である。
・アウトリーチの部分の仕事を、外部化(アウトソーシング)できませんか(……て、誰が担うんだ?と顔を見合わせる^^;)
・記者会見に来ている記者の質……目先のことがらだけに目がいってしまう。また会見以前に、記者自身が報道ストーリーを作ってしまっている(報道機関ごとの味付けがなく、結局同じ質問をしている)。それが、アウトリーチに関わる身から見て、歯がゆい。
・JAXAが作っているアウトリーチ機関……宇宙教育センター、宇宙少年団との連携不足(担当者・関係者がこの場にいず、欠席裁判となった。『教材開発・アップデートが滞っている』など手厳し意見が出た。それらの実働の方たちの代弁すると、専従の人なくボランティアに頼っているので、イベント運営で手一杯なのである)
・背景知識を持つサイエンスライターさんの不足。皆さん多忙すぎて、はやぶさ2 ばかりに関わっていられない(はやし感想……日本では、ここがいちばん手薄なのかも……)。
・企画・制作を博物館・市民団体が担い、JAXA・プロジェクトが監修する形態でのイベントの紹介。「この方が負担が少なく、助かる」と、JAXA側から感想ありました。

・てなことで、ウチら(出席者)で、意図して、連携の仕組み作る方がいいね、となりました。
とたん、名刺交換が始まったわけですが、私たちにしても、天文の他分野の方が大多数、私のように広く浅くの者が加わるという中で、宇宙探査の公報に特化したアマチュアの組織体ができうるか?

私・はやしの感想、必要ですよねー。
議論が、宇宙探査に詳しい人向けの、さらに突っ込んだ内容を、どのよう・誰が広めるか、に集中しました。出席した人の背景・質を考えると、自然な成行です。
私の問題意識、天文・宇宙の周縁部分で、ひょっとしたら興味を持ってもらえる層へ拡げていく……そこは、まだ未着手なのだなあと、正直思いました。
…学校の生物部の皆さん、化学を愛する人たち(タイポでありません!)、ブラタモリの愛好者(地学マニア・予備軍)……それぞれへのアプローチです。
とりわけ小惑星は、話題に広がりの可能性を感じています。宇宙・世界の広がりを感じ取ってもらうのに、いい題材でなかろうか、と。

うむ、勉強しないと、
と、地学の通信講座のテキストを読みながら、帰途に着くのでした。

#宇宙 #サイエンスコミュニケーション #JAXA #はやぶさ2

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