梅雨空のもとの激闘!関西電力株主提案のすべて(2023)

今年もこの郵便物が届いた。
例年に比べると、薄くなったが、中身がアツいこの封書が。
関西電力の株主総会の案内だ(※1)
実際のところ、今年から電子配布を原則となった(つまり「ネットで見てね」)事業報告書の分だけ封書が薄くなっている。が、油断召さるるな、あるいは、ご安心召されよなのか、ともかく、激闘を予感させる議案書は、分厚いままだ。

まして、この一年の間、関西電力グループは2回不祥事を起こしている。その経過報告と再発防止策の抜粋も、巻末に加えてある。……それだけでも、稀なこと。アツい(※2)

そして、本題である。
株主総会で議決する、議案を眺めてみよう。
大抵の会社なら、会社提案の議案が多くて4つくらい
なのに、ここには、今年も、28も議案が並んでいるのだ。

議案書と議決権行使のハガキです

そう、会社提案の他にも、合計4つの団体が入り乱れて、提案を出しているのだ。

毎年のことと、私などは今更驚かない。
驚かない、つもりだが、議案を読んで一つ一つ賛否を考えるのにも、手間がかかる。
株主の諸兄諸姉も、同じように閉口されているだろうな、と思い、以下、議案について、ご参考情報を並べることとしよう。

【おしながき】
□取締役候補者についての情報(学識経験者のみ)
□株主提案を出された各団体からの呼びかけ文
□議案の内容別整理
の3本立てで参りましょう。

□取締役候補者についての情報(学識経験者のみ)

○加賀有津子さん
……まちづくりを含んだ、建築方面が専門の様子

○高松和子さん
業務執行理事をされている
公益財団法人21世紀職業財団のHP

ハラスメント防止など、職場のダイバーシティ対応への啓発、コンサルティングをしている財団でした。

○内藤文雄さん
会計学が専門ですね。その方面での教科書執筆も多い様子
(そちら方向には不案内なワタシ……重鎮の人に失礼なこと書いたかも。失敬(汗)
https://researchmap.jp/read_7110230

□株主提案を出された各団体からの呼びかけ文
○大阪市(※1)からの株主提案(市役所のプレスリリース)(第17号〜第25号議案)https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kankyo/0000597690.html

○株主提案についての、京都市(※2)からのプレスリリース(第17号〜第20号議案、第26号〜第28号議案)

○脱原発へ関電株主行動の会(第9号〜第16号議案)https://datugenpatukabunusi.hatenablog.com/entry/2023/05/30/085617

□株主提案の内容別に、議案を整理(数字は議案番号)

○脱原発方針を定款に追加
15,19,22,26

○脱炭素化を定款に追加
3,7,20,27

○核燃料再処理の禁止
14

○送配電事業の分離(売却等)
16,19

【終わりに】
株主の皆様、議決権行使しましょうね。そのために、この記事が助けになれば幸いです。
株主にとって、議決権行使は、会社への意見表明の第一歩、そして、経営陣とのコミュニケーションの起点です。ハッキリいって、株主や利害関係者とのコミュニケーションが上手くいっていない関西電力の現状を想うと、やはり会社が投げかけたボールを投げ返すのは、今後の会社の流れを
変えるために、必要条件の一つとなりましょう。

ところで、例年に比べ、一つ変わったところがあります。
これまで株主提案に加わっていた「神戸市」(神戸市役所)さんが、今年、提案していないのです。
どうしたの、神戸市。
諦めたのでしょうか?
諦めたら、そこで試合終了で……(以下略)

【ご参考】
(※1)関西電力の株主総会招集通知(会社HP)

(※2)
コンプライアンスに関する不適切な事案の詳細について(議案書p.51〜p.54)にある。
○特別高圧電力および高圧電力の取引に関する独占禁止法違反(公正取引委員会のHP)https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/mar/230330_daisan.html

○新電力顧客情報の不適切な取扱いによる電気事業法違反等(経産省HP)

※3 大阪市は、信託口(おそらく日銀)に次ぐ2位の大株主(7.6%)

※4  京都市は、発行済株式の0.4%を所有




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