マガジンのカバー画像

【エッセイ】私とN

4
友人Nとのことについてのエッセイです。 たぶん、私が書くエッセイの中では今のところ一番面白い。
運営しているクリエイター

記事一覧

私とN:泣いてない日が階差数列

私とN:泣いてない日が階差数列

今年の8月の頭、つまり夏休みの始め、Nが私の家に泊まりに来たことがあります。
理由は1限から5限まである集中講義を受講するため。早起きが苦手なのに、大学まで1時間以上かかる実家に住んでいるNは、1限に確実に間に合うために私の下宿で眠ることにしたのでした。

近所の定食屋に晩ご飯を食べに行って、家に一緒に帰る道すがら、
「むふふ、初のあんちゃんの家、興奮して寝れないかも」
Nはいつも通りふざけていま

もっとみる
私とN : あの時絶対、そうだった?

私とN : あの時絶対、そうだった?

合宿の夜、真夜中の散歩から帰った私とNは2人部屋の中で恋の話をしました。
「私ほんとに、去年は遊び過ぎたんよね」と、へらへらしながら前置きした後で、数々の過ちを語るNは、経験した人数をたびたび言い間違えました。
それから、「私、今度はちゃんとした恋がしたいな」と言いました。

恋愛に興味がなさそうでどちらかというとサバサバしているNにそんなに語ることがたくさんあることに驚いて、自分の経験があまりに

もっとみる
私とN : 幸せになるまでの過程

私とN : 幸せになるまでの過程

合宿の夜の大宴会の後、「こういう旅行とかのとき、いつも散歩をすることにしてる」と言うNと夜の散歩に出かけました。
「これ、どこまで行けるんかな」
ホテルの前の道路を横切って、琵琶湖のそばまで歩きます。湖を右回りするか、左回りするか、少し考えたあとNは右に進み始めました。
1月のよく冷えた夜。街灯も少ない歩道には私たち以外いませんでした。

「さっきの占い、どうだった?」
と訊けば、こちらに目を向け

もっとみる
私とN : ラブホが見えないほうの部屋

私とN : ラブホが見えないほうの部屋

1月、大学の授業の一環としての1泊2日の合宿。
男女20名ほどで向かうのは、google検索をすると「○▲ホテル 幽霊」と予測変換に出てくるほどのボロいホテル。琵琶湖沿いのそこにバスは止まりました。

着いてすぐに講師が部屋割り表を配り始めます。
自分の名前を探すと私はNと2人部屋。
他の女子は6名部屋に押し込められているのに、私とNだけ2人部屋。
Nとは特別仲が良いというほどではないけど、ゼミが

もっとみる