見出し画像

【日報】家電メイドVS未来王でファンタジーをキメろ

俺だ、コセン・ニンジャだ。
最近は真の戦士の戦いがあるガンジョンで、ブレッド族と戦っている。
だが、今回はある本を紹介するためにこれを書いた。
『家電メイドVS未来王』。この作品はとても面白く、濃厚なSF性と様々な工夫が凝らされている。
SFマガジンとかに掲載されて、石油王に1000万円くらい投資されたと思っていたのだが、どうやらそうではないみたいなので書いた。
今日は、『家電メイドVS未来王』の話をしよう。
なお、俺はクレナイブックさんからグレアさんの1/1フィギュアや、ドーナツの箱を貰ったから書くわけじゃない。
俺が書きたいから書くのだ。それを忘れるな。

Glareシリーズについて知りたいなら、これらの記事を見るといい。3分で丸わかりだ。

ゲームブックとは

まず、この本はいわゆる『ゲームブック』だ。
ゲームブック?それはいわゆる……ファンタジーとか、スシとか、カシナートの剣?
と曖昧な認識の人もいるだろう。
ゲームブックとは、古代の遺産だ。
まだインターネットとか、ノベルゲームとか、エルダースクローズとかがなかった時代の人々が濃厚なファンタジーをキメるために生み出した、創意工夫の結晶だ。
知っての通り、人類の一部は定期的にファンタジーをキメないと死ぬ体質だ。俺もそうだ。だからゲームブックができた。
まず、戦士とか魔法使いとかのキャラクターを作成し、本を読み進めていく。
本のページにはそのキャラクターに襲い掛かる苦難や、思いがけぬ幸運の内容が書かれている。
その内容に従ってキャラクターの体力を減らしたり増やしたり、時にはアイテムをゲットしながら、先へ進んでいく。
そして、最後のページにあるゴールにたどり着いたら、ゲームクリアというわけだ。
実際に少しやってみよう。

1 お前はドラゴンを倒すために雇われた傭兵だ。そして、長い旅の末、ドラゴンの巣である暗黒の塔にたどり着いた。
 いくつもの死体が石床に転がる大広間。ドラゴンは目の前にいる。どうする。
 カタナで斬りかかる→2へ行け ショットガンで撃つ→3へ行け
2 お前は近づく間もなくドラゴンのブレスで焼き殺された 
【GAME OVER】
3 ドラゴンのブレスが届かないところからショットガンを撃ち続けると、ドラゴンはひるんだ。
 どうする?
 カタナで斬る→4へ ショットガンを撃ち続ける→5へ
4 お前はドラゴンの首めがけて、カタナで斬りかかった。ドラゴンは恐ろしい攻撃を構えていたようだが、
  お前のカタナがドラゴンの首を刎ね飛ばすほうが早かった。ドラゴンは死んだ。お前はドラゴンの首を背負って国に帰る。
 お前は真の戦士としてたたえられ、歴史に名を刻まれることだろう。
 ドラゴンスレイヤーに栄光あれ!【END】
5 ショットガンはドラゴンに効いていなかった。ドラゴンがひるんだと思ったのは間違いで、実は恐るべきブレスを構えていただけだった。
 そう気付いたのは、目の前に迫りくる火球に身を焼かれる直前だった。
 お前は、暗黒の塔の石床に転がる死体の一つになり、その手に握りしめたショットガンが臆病者の証明として墓標代わりになってくれるだろう。
 一つだけ幸いなのは、臆病者の死体は炭同然に焼けこげ、たとえ母親が見てもその臆病者が誰かは決して分からない事だ。
【GAME OVER】

こんな感じだ。
まだコンピューターゲームがウルティマとかハイドライドとかドルアーガしかなかったころは、こんな感じのゲームブックでファンタジーをキメていたのだ。
ファンタジーの成分が濃かったしコンピューターに比べて安かったので、手軽にファンタジーをキメられる媒体として、ゲームブックは重宝された。
今日のファンタジーはゲームブックが作り上げたといっても過言ではないだろう。
だが、ゲームブックは次第にXBOXやプレステに立場を奪われ、一線を退いていった。
ゲームブックの新作もマンネリ防止のためにシステムが複雑になったせいか、全く売れなくなった。
ゲームブックは完全に衰退した。俺はそう思っていた。


ストーリーについて

ストーリーはGlareの続編だ。おそらくはGlareとGlare2の間だろう。

なんか宇宙調査が仕事の主人公と家電メイドのグレアは、デブリの事件(Glareヨ参照)を解決した後、会社から新たな仕事を依頼される。
ゼロアイランドと呼ばれる企業都市の郊外にある豪邸で、ナノシリーズのアンドロイドが殺害されたのだ。
殺害理由も方法も不明。
アンドロイドの主が加入していた保険会社のアンドロイド処分業者の依頼によって、主人公とグレアはその殺人事件を調査するのだが……
その事件の裏には、企業が作り出した恐るべきモノが関係していたのだ。

というあらすじだ。
まだ一作目からあまり時間が過ぎてないせいか、二人の関係性はそこまでこなれていないと思っていたがそうでもなく、
調査パートでは互いの意見を聞き合ったり、戦闘パートでも息ぴったりだから、元々相性がいいのだろう。
そして、SF性は今回もすごい。
VRとか、仮想人格とか、相変わらずキレッキレの描写で、今回のラスボスも最悪世界をひっくり返しかねないような奴で、スケールがすごかった。
この世界の警察は多忙なことだろう。
そして、アクション。
主人公は選択次第で、銃を撃つし、スタンロッドで突くし、ラスボスを蹴り飛ばすし、とにかくアグレッシブさはシリーズ1だ。
このあたりはゲームブックという媒体を最大限に生かせてると思った。
主人公が撃ったと書いたなら、主人公は撃ったのだ。文章の自由に乾杯しよう。

Amazon Kindle はすごい

ゲームブックで一番辛いのは、指定された段落に飛ぶときにページをめくっていると、この後の展開が見えてしまう事だ。
それはゲームブックの致命的な欠点であり、科学が発達した今でも解決策は「薄目でちらちら見ながらページをめくる」しかない。
だが、テクノロジーがその欠点をほぼ完全に克服した。
例えば「14へ行け」という指示があったとする。
普通なら、ネタバレを避けるために薄目になってページをめくる所だが、Amazon Kindle は違う。
「14へ行け」と青文字になっているリンクを押すだけで、瞬時にその段落まで飛んでくれるのだ。

↑青い所を押すだけで、その段落にジャンプできる。


この機能を当時の人々が見たなら、おそらく興奮のあまり失禁するだろう。
しかも、わざわざページをめくるという処理のために、失われていたテンポも同時に克服されたのだ。
「14へ行け」と言われたら、次の瞬間には14に行って死んでるし、「51に行け」と言われたら、次の瞬間には51に行ってエクスカリバーを抜いている。
その処理速度は、最新機器のゲームにも負けてないくらいに早く、ゲームブックの革命ともいえるものだ。
ついにテクノロジーの発達が、ゲームブックを現代に適応させたのだ。

俺は興奮した。この機能のおかげで、俺は夜更かしして『家電メイドVS未来王』にのめりこんだ。
深夜11時から始め、いくつものバッドエンドを経由し、終わったのは夜の3時。
完全に時間を忘れていた。
そして、ゲームブックの潜在能力を味わった。
ゲームブックは衰退などしていない。欠点というサビさえとれば、光り輝く聖剣になりうるのだと知った。
Amazon Kindle が、電子書籍という媒体が、ゲームブックを進化させる。
それはゲームブックというジャンルに与えられた復活の道に他ならないのだ。

最後に

俺はサイコロが嫌いだ。自分の運命をサイコロにまかせるのが嫌いだし、ファンタジーをキメてる最中にサイコロを振らされると、読書中にバケツで水をぶっかけられた気分になる。
だから、必然的にゲームブックというジャンルも好きではなかった。
冒頭の「用意するもの」で、サイコロという単語を見つけた瞬間にショットガンしていた。
『家電メイドVS未来王』にはサイコロは必要ない。紙とペンは必要だし、クイズで少し、辞書かインターネットを使うことになるかもしれない。だが、サイコロよりはマシだ。
紙とペンは取得した『単語』。そう、今までのシリーズと同じように取得した『単語』が重要なキーになる。それを記録するために使うから、コンピューターの代わりだと思えばいい。
面倒臭いことは一切なく、ページ飛ばし機能でテンポは良く、紙とペンでオールドスタイルなゲームブックの雰囲気を楽しめる。
ストーリーは、濃厚なSFを交えつつ、グレアさんのカワイさで癒され、銃弾と鋼の刃が飛び交い、張り巡らされた伏線で最高に熱くなれる。

『家電メイドVS未来王』は新たな世界のゲームブックの尖兵として現代に斬りこんできた、紛れもない傑作と言えるだろう。

↓購入はここからだ

https://www.amazon.co.jp/dp/B07R77QYKW/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_f8UcDbAC6R3ZY

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?