ショーンKの代役、モーリー・ロバートソンってどんな人?昔の本2冊を読む

ショーンKが4月から始まるニュース番組『ユアタイム』を経歴詐称問題で降板して、本当のハーバード卒であるモーリー・ロバートソンが起用されると発表されたとき、意外な人選に思えた。

僕が初めてモーリーの存在を知ったのは、確か2008年ごろ。何か面白いポッドキャスト番組はないかと闇雲に聴いていた中に、彼がやっている『i-morley』があった。屋外を歩きながら女性パーソナリティ(今調べたら奥さんらしい)と何やら政治問題について喋っていた。合間に彼がミックスしたものなのか、夜回り先生に関する曲をかけていた。

意外に感じたのは、ショーンKとモーリー・ロバートソンの個性が正反対に思えたから。ショーンKがソツなくこなすタイプなら、モーリーはタブーに切り込んでいくタイプだ。ショーンKの経歴詐称が騒がれている中、自分は本当の経歴だと、ハーバードの卒業証書を公開したところにもそれが現れている。

ウィキペディアを見ると、彼は東大やハーバードなど、日米の難関大学に合格したことでまず注目されたようだ。大学卒業後はJ-WAVEでラジオパーソナリティーをやっている。

彼はラジオパーソナリティーとして活動する前の1984年と1991年に2冊の本を出している。今回はその2冊を読んでみて、彼がどんな人物なのかを調べてみた。

『よくひとりぼっちだった』(1984年)

ハーバード大学に在学中に書かれた1冊。モーリーがアメリカ人医師と日本人ジャーナリストの両親のもとアメリカに生まれ、日米を往復しながらそれぞれの学校教育に翻弄されつつ、自分のアイデンティティや周囲とのコミュニケーションに悩む様が書かれている。

日本にいてはアメリカン人として扱われ上手く馴染めず、アメリカでは東洋人として扱われ、仲間に入れてもらえない。日本で日本の学校に馴染もうと、彼はめちゃくちゃに学校の勉強をして、成績を上げていく。すると、周囲も彼のことを認めだしたというところがリアルだ。彼にとって勉強は社会に溶け込む手段だったのだ。大学受験もその延長にあったのだろう。

日本の集団主義に馴染んだら、親の仕事でアメリカに転校となり、今度は個人主義の中に放り込まれ、途方に暮れる、というような変遷を繰り返していく。

日本は勉強のレベルが高いけれど教科書の内容が箇条書きみたいで親切じゃない、アメリカの教科書は百科事典みたいにぶ厚いけれど、教師は日本みたいに親身に生徒のことを考えてくれない、というようなお互いの良いところ悪いところにぶち当たるたびにモーリーは悩み、戸惑い、怒っていく。

彼を癒やしてくれるのは矢沢永吉。ロックにのめり込んで地元のパンクバンドのLIVEにも行くようになり、自分でもバンドを結成する。

最後は半ばヤケクソ気味に受験勉強へ没入していく。毎朝冷水に顔を突っ込んでは小学校の校庭を走り回って気合いを入れ、古典の単語帳を開く。その合間に生活が単調にならないように、とバレエを習いに行くのだからめちゃくちゃだ。そして数々の難関大の合格をもらう。

異様なパワーのある面白い本だった。日米の比較が興味深いし、起こっていることは終始シリアスなのに、文章はどこか人を喰ったようなところがある。1人の青春物語として読み応えがありました。

『ハーバードマン』(1991年)

ハーバード大学を卒業したあとに書かれた1冊。ハーバードに入学してからの約1年間について書かれている。ハーバードの詰め込み型のカリキュラムに真剣になれず、どこかぼんやりとした日々が描かれていく。

女の子と付き合ってみても、友人とバンドをやってみてもどこか本気になれない。そんなとき、電子音楽の授業との出会いが彼を変える。本気で音楽をやってみようと目覚める、という内容。

タイトルが『ハーバードマン』というだけあって、ハーバードでの日常的な描写が多い。寮にどういうやつがいたとか、食堂はこうなっている、とか。前作と比べると、今読んで面白いところは少ないかもしれない。

電子音楽にのめり込んでいくところは興味深いが、そこで本が終わってしまうので、この続きを読んでみたいとは思った。イワン教授はサンプリングのみで構成された現代音楽を専門としていて、こういった一見、非論理的な芸術分野をどう筋道だてて教育していくのか、学生はどう変化していくのか、というのは読みたい。けれど、そこはほんの触りしか書かれていない。

この本のあと、彼はラジオパーソナリティーになっていく。音楽活動も続けていて、CDを何枚か出しています。

2冊に共通するところ

全体的に感じたのは「大真面目なことをむちゃくちゃなやり方で突破しようとする」ところだ。東大受験もハーバードへの留学もエリートコースの王道だが、彼は周囲を怒鳴り散らしながらその道を歩いていっている感がある。

ニュース番組のコメンテーターをやるっていうのも、テレビ文化人の王道ですが、どうなるんでしょうね?

(おわり)

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菊池良

コメント1件

ニュースのトピックで彼の名前が挙がっているとき、ちっとも興味がわかなかったのですが、この記事よんでだんだん興味がわいてきました。
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