最近のイケダハヤトさんについて

はじめに

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最近のイケダハヤトさんについて

 イケダハヤトさん(以下、「イケダさん」)が有料noteの販売に軸足を移して、三たびブログ界隈がざわついている。
 僕はこの件に関して、興味は持ちつつも、いつものように沈黙するつもりだった。だが、イケダさんが登場する記事をいくつも企画しておいて、この状況にだんまりを決め込むのは、さすがに不誠実ではないか、と思い直し、この文章を書くことにした。プライベートな場所で話題を振られたときだけ自分の考えを言うのは、なんだかコソコソとしているし、潔くないと感じたからだ。

イケダハヤトさんは「惜しい」

 イケダさんが現在やっていることは情報商材なんじゃないか、noteの規約に違反しているんじゃないか、ということの是非についてはここでは論じない。それはcakesが判断することだ。
 それよりも、イケダさんの「惜しさ」について、ここでは書きたい。なぜなら、イケダさんの「惜しさ」が周囲をざわつかせる元凶になっていて、賛否両論分かれる要因にもなっていると感じるからだ。
 まず、その前提として、イケダさんにいかなる長所があるかを振り返りたい。イケダさんには大別して2つの長所があると思っている。

イケダさんの1つ目の長所は「根気強さ」

 イケダさんがブロガーとしてアクセスを稼ぎ、収益を上げているのは、彼にその才能があるからだ。
 彼がブログを始めたのは2009年で、かなりの後発組になる。真鍋かをりを頂点とした第1次ブログブームが沈静化し、これからはツイッターだ、フェイスブックだ、と言われ始めた時期だと僕は記憶している。津田大介さんが『ツイッター社会論』を書いたのがこの年だ。
 イケダさんが「もうブログは役目を終えたんじゃないか」と言われる中で運営を開始し、毎日更新を続け、時には1日10記事もアップし、数年かけて現在の読者数に育て上げたことは、彼の特筆すべき点だろう。最初の数年はまったくお金になっていなかっただろうし、それでも記事を書き続けたのは、彼の胆力のなせることだ。
 僕が記憶しているだけでも、イケダさんのブログはガジェットニュースが中心の時期と、書評が中心の時期、そしてここ最近の転職サイトへの誘導が中心の時期がある。時流に合わせて、生き残れるようブログの内容を変えていく器用さを持っている。
 彼にはものごとをやり続ける根気強さと、上手くいくまで試行錯誤する粘り強さがある。そこに僕は感心するし、見た目と乖離したマッチョな姿勢には好感も持つ。

2つ目の長所は「行動力」

 もう一つの長所は、彼の行動力だ。
 イケダさんのブロガーとしての大きな節目は、「高知移住」に他ならないだろう。
 それはブロガーとしての認知を獲得した後で行われた。都心を離れ、ブログ名を「まだ東京で消耗しているの?」に変更したときは、それなりにセンセーショナルだった(ヤフートピックスに載せられるほど)。
 今では高知県のイベントに登壇したりしているが、当時は「ノマド」とも言われ、情報機器を駆使した生活を送っていた彼が、高知県のコミュニティーに馴染めるとは思えなかった。それに彼は結婚していて、子どももいる。都心で交流のネットワークを形成していて、仕事もある。それでもなお、ここまでの行動を起こせる人は少ないだろう。
 彼はその行動の理由を、後付けかもしれないが、「ブログの内容に変化をもたらすため」と言っている。
 僕の観測範囲では、ブログのために「移住」までした人は後にも先にも彼しかいない。そこに僕はいたく感心したし、刺激も受けた。僕が見聞きした中では、いわゆる「アンチ」と目される人たちも、その点を評価している人は多かったように思う(明言は避ける)。

イケダさんは長所が活用されていない

 さて、そんな長所を持ち合わせているイケダさんが、それを費やして作るコンテンツは、世代間対立、職業間対立を促すような「おっさん煽り」「サラリーマン煽り」ばかりだ。
 もちろん、その言説に救われたという人も実際に見たことあるし、どこかで必要とされる意見なのだろう。
 しかし、会社を辞めて、執筆に専念し、高知県に移住までしたのに、出てくるものが「煽り」を目的としたコタツ記事なのかと思うと、膝から崩れ落ちるような気分になる(要するに「膝カックン」をされたような気分だ)。僕が「惜しい」と感じるのはそこである。
 一時期、彼の「煽り」がなりを潜めたことがあった。高知県に移住してしばらくが経ったころだ。高知県のグルメ情報などを発信し、弟子と称して人を雇い始めた。まったく収益が見込めないのに身銭を切ってコンテンツ制作に向かう姿勢は、そこから出てくるものの良し悪しはともかく、とても素晴らしいものだと感心した。
 彼は「ブロガー村を作りたい」と言っていたし、おそらく、今後は地方のユニークな編集プロダクションになっていくのだろうなと思った。それは確かに雇用創出になるだろうし、面白い試みに思われた。

「やるやる詐欺」になっていないか?

 しかし、アフィリエイトに力を入れ始めてから、再び彼の「煽り」が激しくなってくる。会社員生活の「残念」な部分を記事で取り上げ、最後に転職サイトのアフィリエイトリンクを張る、というのがテンプレートになっていく。
 彼は「ブロガー村を作りたい」のほかに、よく「温泉を掘りたい」「畑で取った作物を売りたい」「物を作って読者に届けたい」と言っている(直近では「寺を作りたい」)。
 それを実現するためには、お金が必要だと言う。確かにそうだろう。
 けれども、はたしてそれは実行されるのだろうか? いつまでも「やりたい」と言って、それに共感する人を集めるだけになっていないか?
 僕はそれが実行されたら、面白いと思う。一ブロガーが温泉を掘るなんて、とても痛快だ。その過程を読みたいとも思う。しかし、それが読めるのはいつなのだろうか。

ある意味「いつも」のこと

 現在のイケダさんへの批判が集まる状況は、ある意味「いつも」のことだ。
彼は自分の環境を変えるとき、周囲を盛大に煽るので、批判を集めがちだ。高知移住のときもそうだったし、アフィリエイトに力を入れ始めたときもそうだ。
 イケダさんはそうやってPVを集め、ブロガーとしてトップクラスの収益を上げようとしている。
 彼はそのお金を「面白い絵を描くための画材」だと言っている。本当にそうなることを願う。稼いだお金で、普通の人にはできない「面白いこと」をやってほしい。いつまでも「煽り」だけの人ではないと思いたい。
 高知へ移住したり、ベーシックインカムを配ってブロガーの支援をしたり、彼のやっていることは半分素晴らしくて、半分惜しい。

最後にイケダさんへ

 どうかその行動力と胆力を生かして、エンターテイメントなものを作ってください。
 稀有な才能を持った人が、それを「煽り」にしか使わないなんて、とてももったいないし、すごく悲しいことです。

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菊池良

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