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真夜中の電話

昨日の記事で僕が押していた制服が気になるとコメントいただきましたので、画像を載せておきます。モデルは可愛いけど制服は不評でした。

でもやっぱり可愛いなぁ…

画像1

(ちなみにメーカーはHEARTGREENというところです。)


こんにちは、コッシーです。


さて、うちの入居施設の居室には固定電話が無いため、携帯電話を持っている入居者は結構います。

以前から携帯電話を所持していた方などは難なく携帯を操作しご家族に連絡をしたり、体調悪い時などにご自分で主治医に連絡される方もいます。

しかし、こちらへの入居のタイミングで携帯電話を持った方などは、その操作方法をなかなか覚える事が難しく携帯電話をこちらに渡して、「娘に連絡を取りたいのだが」と言われる方や、短縮の1番にご家族の番号が登録されているからか、「111111111121111」となってる携帯の画面を見せてこられ、「全然かからないんだが!」と言われる方も見えます。途中で2を試みてるのが可愛いですね(笑)


入居者でHさんという男性の方がみえました。Hさんもこちらに入居されてから携帯電話を持った方で、短縮番号の1番に娘さん、そして2番にうちの施設の番号が登録されていました。

ときどき娘さんに連絡しようとしてうちの施設に電話をかけてくることがよくありました。

プルルルルル

「はい○○です。」

「Hです。あっちゃん元気かね」

「Hさん。娘さんじゃないですよ。また施設の方に電話してますよ。」

「ほう、それは失礼しました。では娘に替わってください。」

「いやだから(笑)」

というやり取りを何度したか分かりません。高齢者にとって新しい機器を使うというのはそれくらい難しい事ですので、間違い電話くらいなら全然大丈夫です。むしろ微笑ましくてほっこりさせてくれました。

そんなHさんですが、もともと認知症を患っていましたが、残念ながら月日の経過とともに症状がひどくなっていき、先月にグループホームへ転居していきました。

転居の日、僕は別の用事があったためお会いすることができませんでしたが、転居先のスタッフの方々はとても良い方ばかりだったので特に心配はしていませんでした。


Hさんが転居され、ほどなくしてから夜に施設の電話が鳴るようになりました。電話の主はHさんです。

プルルルルル

「はい○○です。」

「Hです。」

「Hさん、間違えてますよ(笑)」

「ああ、失礼しました!」

そんな短い会話で電話を切っていましたが、Hさんの相変わらずの元気ぶりが分かって、スタッフみんなで安心していました。

しかし、電話は毎日のように鳴り、時には夜中の2時にも鳴る時もありました。さすがにこれは対処する必要があると思い、娘さんに連絡をしました。

Hさんがこちらに間違い電話をされることがあり、夜中に鳴る場合もあるため携帯電話の短縮からこちらの電話番号を外すようにお願いをしました。

すると娘さんから意外な返答がありました。

「多分、間違いではなくそちらに電話してるんだと思います」

娘さんの話では、Hさんは退去の時に僕に挨拶できなかったのが心残りでずっと気にされてるとのことでした。それで挨拶をしようとこちらに頻繁に連絡をしていたとのことでした。

そんなことを露知らず、こちらは完全に間違えてると思っているため、Hさんが何かを言う前に先回りして、「間違えてるよ」と伝えていたため、Hさんも素直に電話を切っていたみたいでした。

でも僕に挨拶できなかったのが心残りでこちらに電話をしてくれるなんて…泣かせるじゃありませんか!こういう時が介護に携わってきて嬉しい瞬間の一つです。

さらに娘さんはこちらにこんなお願いをされました。

「退去しておいて、大変失礼なお願いかもしれませんが、今度父を連れてそちらにお邪魔するのはダメでしょうか」

退去したとはいえHさんは僕の利用者にかわりはありません。もちろん二つ返事で了承しました。

そして数日後Hさんが施設を訪れ、変わらない元気な姿を見せてくれスタッフ一同とても嬉しくなりました。


でもHさんが「その節は大変お世話になりました。本当にありがとうございました。」と丁寧に挨拶をしていたのは、僕ではなく他の男性入居者にでしたけどね・・・#ロン毛の意味


まぁでもそんな事は全然問題ありません。Hさんが僕に挨拶をしたいと思ってくれた気持ち、そして元気な姿を見せてくれたのが僕を幸せな気持ちにさせてくれました。それだけでもう十分です。


この日を境に真夜中の電話は二度となることはありませんでした。


現場からは以上です。それではまた。

コッシー

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