社会派化粧品って何?小杉湯学生チームBUKUBUKUが未来のコスメタウン・唐津に行って調べてきました!【呼子編】

こんにちは!小杉湯番頭ジェット石田です。

小杉湯では社会派化粧品というカテゴリーの商品をずっと販売してきました。さらに、社会派化粧品を生産するうえで仕方なく廃棄せざるをえない果実の種や皮を使ったもったいない風呂を催していました。

小杉湯が扱ってきた主な社会派化粧品は以下の5つのブランドです。

・北海道浦幌町のハマナスを使った『rosa rugosa』
・滋賀県東近江市のムラサキ根を使った『みんなの奥永源寺』
・福島県国見町の柿の皮を使った『明日 わたしは柿の木にのぼる』
・沖縄県池間島のテリハボクを使った『naureタマヌオイル』
・佐賀県唐津市加唐島の椿を使った『TBK』

小杉湯スタッフにもこれらの化粧品は大好評で、「うちはTBKの椿オイルが好き!」「奥永源寺のスカルプずっと使ってます」「rosa rugosaは母にプレゼントする」とそれぞれ推しが出来るほどでした。

しかし、小杉湯番頭である私ですら「社会派化粧品ってよくわからない派閥だなぁ」「社会にとってどんないいことをしているの?」「そもそも社会派化粧品って何?」という疑問を心の中でずっと抱いていました。それは他のスタッフやBUKUBUKUメンバーも同じで、やはりみんな社会派化粧品についてはよくわかっていませんでした。

そこで学生企画チームBUKUBUKUは、小杉湯に社会派化粧品を提案してくださった社会派化粧品のキーパーソン・小田切裕倫、TBKを作っている松尾聡子さんに「社会派化粧品をもっと知りたい!TBKの島に行きたい!」と相談しました。福島のような生産者さん巡りの旅を、小田切さんが活動している佐賀県唐津市、松尾さんが活動している加唐島でもできないかお願いしたのです。

すると、お二人ともBUKUBUKUと会ったことがないのにも関わらず「いいですよ!是非、佐賀県唐津に来てください!」と快く答えてくださりました!社会派化粧品について十分知ることができるよう、お二人は最善の旅程を組んでくださりました。

こうして学生企画チームBUKUBUKUは社会派化粧品について知るために、佐賀県唐津市に向かうことになったのです!

(※事前にPCR検査を行い、陰性を確認しました)

今回の旅の案内人:小田切さん、松尾さん

今回、BUKUBUKUを唐津に連れて行ってくださった小田切さん、松尾聡子さんについて紹介します。

小田切さんは株式会社Challiteという会社の代表を務めていて、コスメで地域を盛り上げようと、唐津を拠点に日々奮闘しています。また、地域をコスメで盛り上げようとするTBK、rosa rosarugosaなど20近くのブランドを「社会派化粧品」という名前でひっくるめて、もっと全国に社会派化粧品が広まるよう、コーディネートしています。

あだ名はチャラ男。チャラいと人に言われて会社の名前をChalliteに決めたのだそう。

松尾聡子さんは生まれ育った街・唐津市呼子の名物を増やしたいという思いから、株式会社バース・プランニングという会社を立ち上げ、加唐島の椿を使った化粧品ブランド・TBKをつくり、全国で販売しています。デザイナーというキャリアを生かし、どうすれば呼子の街をもっと魅力的に発信できるだろうか日々模索しています。

社会派化粧品のコーディネーター・小田切さんと社会派化粧品の生産者・松尾さん。今回はこの二人に、佐賀県唐津市を案内していただきました!これからその様子やBUKUBUKUが感じたことを紹介していきます!

【1日目夜】おいしい唐津の味覚『紺屋 つくも』

東京から福岡空港まで飛行機で2時間、福岡空港から電車で2時間。長い時間を経てBUKUBUKUは唐津に辿り着きました。15時発の飛行機に搭乗したので、唐津駅に着いた時にはもう既に日は沈んでいました。小田切さん、松尾さんがBUKUBUKUをお出迎えしてくださり、唐津の居酒屋『紺屋 つくも』に連れていってくれました。

素敵な白い暖簾にBUKUBUKUの唐津に対する期待値は高まります。

「めちゃくちゃうめぇ~~!」

新鮮で歯ごたえのある刺身やカルパッチョ、脂がのった魚料理やきのこたっぷり鯛めしなど、次々と美味しい料理が繰り出され、BUKUBUKUは唐津の味覚に完全に虜になってしまいました。

あまりにもむしゃむしゃと美味しそうに食べるものだから、小田切さんも松尾さんも「この子たちは本当によく食べるなぁ!」と感心しつつもドン引きし、初対面の私たちに「よく食べるね!」と明るく突っ込んでくれました。私たちが馬鹿みたいに食べることを理解してくれたのです。(笑)ここで私たちと小田切さん、松尾さんの距離は一気に縮まりました。

さらに、隣のボックス席で飲んでいた人たちが小田切さんの知り合いだったので、途中から私たちのボックス席に入ってきて、盃を酌み交わしました。隣の席の人が知り合いだなんて、いい意味で世界が狭い。

唐津はもしかしたらかなりいい街かもしれない。BUKUBUKUは期待に胸を躍らせ、宿泊先のゲストハウスに向かいました。

【2日目朝】イカと瓦屋根の街・呼子の朝市へ

朝早く起床し、BUKUBUKUは唐津駅周辺から呼子に向かいました。呼子は松尾さんの出身地であり、呼子の港からTBKの椿園がある加唐島に行くことができます。

呼子の港のそばでは日本三大朝市である『呼子朝市』が開かれていました。呼子朝市の歴史は江戸時代まで遡り、漁師と農家が鯨肉や魚をぶつぶつ交換していたことが始まりなのだといいます。地元のおばあちゃんたちがイカをはじめとした魚の数々をゆったり販売していました。

名物のイカに関してはいたるところで売られており、イカ回転干し機もありました。呼子のイカは日本一と名高く、食いしん坊BUKUBUKUは朝市でイカシュウマイも食しました。

ちなみにイカ以外でいうとこんなオサレなスパッツ(1000円!)も売られていました。

更にこの謎の赤い魚・アラカブも売られており、この珍しい魚を食べたい!という気持ちに駆られました。加唐島の船が出港するまであと40分なのにもかかわらず、「アラカブの味噌汁できます」という誘い文句を吊り下げたよしや食堂にBUKUBUKUは思わず吸い込まれていきました。

優しそうなおばあちゃん店主がお出迎え。ゆっくりアラカブ定食をつくってくださりました。しかし船まで時間がない、一日4便しかない船をここで逃すわけにはいきません。このままではせっかく作ってもらった朝食も食べられない、なんで食欲に負けてしまったのだろう。内心BUKUBUKUは焦っていました。するとおばあちゃんはその気持ちを読み取り、一生懸命手早く調理してくれました。(あまりにも急ぎ過ぎておばあちゃんと記念撮影している暇はありませんでした……笑)

「最高の朝食だ!」

アラカブから出る脂と味噌がうまく絡まり合い、口の中ではうまみのハーモニーを奏でていました。みりん干しも身がしっかりしていて美味しい。朝から白米が進む進む。何より地元のおばあちゃんが作る朝ごはんに身も心もあたたまりました。

残ってほしい朝の風景が、呼子にはありました。

【2日目昼】椿とロマンの島・加唐島へ

五分でよしや食堂の朝食をかきこみ、BUKUBUKUは港まで全力疾走、加唐島行の船・KAKARA号に飛び乗りました。

「アラカブ食べてきたの!?」

船で待っていた松尾さんは食欲満点、息絶え絶えの我々に大変驚きました。船が出港すると、青い海が全面に広がりました。私たちは呼子の海の美しさに思わず息をのんでしまいました。

(呼子海の写真)

(椿とロマンの島・加唐島)

20分ほど船にゆられると、「ようこそ加唐島へ」という大きな文字が私たちを出迎えてくれました。加唐島では区長さん(島の長)が我々を待っていてくれました。そしてTBKの椿が育つ椿園へと向かうため、松尾さんは軽トラの荷台に私たちを乗せ、加唐島の山を駆け上りました。

(区長)

(トラックに載った写真)

(椿園)

連れていかれたのは島(区長さん)が所有する椿園でした。加唐島は日本書紀にも「椿の島」と紹介されるほど、昔から椿が自生しており、椿が咲き乱れていました。TBKの椿は人間の手がほぼ加えられていない、天然の椿油になっています。

(椿の種)

(区長の顔)

「この中に入っている種をとるために天日干しして、種をとってまた天日干しして、乾いた種を(コールドプレス機で)絞って、椿油ができるんね」

椿の種の収穫時期は9月。島民みんなで一斉に収穫します。収穫後は島民がそれぞれの家で種を天日干しさせます。椿油を作るうえで天日干しする作業が一番大変だと区長さんも松尾さんも語ります。そうして十分に干した種を区長さんが一気に買い取り、港にあるコールドプレス機で種を絞り、椿油を精製します。

この椿園は島が所有する椿園で、わずかな入園料を払うだけで島民ならだれでも椿の種を収穫することができます。広い土地を所有している島民は自分の椿園の種を収穫し、区長さんに椿の種を売りさばき、そうではない島民も島の椿園の種を収穫し、区長さんに椿の種を販売します。

土地を持っている人も、そこまで持っていない人も頑張れば稼げるというシステムが加唐島にはありました。誰もが豊かになれるロマンを秘めているところに魅力を感じると松尾さんはいいます。私たちもそう思いました。

(猫)

お話を伺った後は、加唐島で大量発生した野生の猫とふれあいました。加唐島はあくまでも椿とロマンの島ですが、猫と触れ合えるのも魅力のうちの一つです。

【2日目昼下がり】オーシャンビューを独り占め!古民家カフェ&ゲストハウス「百と十」へ

加唐島をあとにし、BUKUBUKU御一行は呼子に戻り、イカの活き造りを食べました。箸でつつくと動くぐらい新鮮なイカ、噛むと弾力があり「新鮮なイカってこんなにおいしいんだ」と感動しました。イカの天ぷらも食しました。

(イカの活き造り)

(天ぷら)

松尾さんはお腹を満たしたBUKUBUKUを連れて、呼子の街に佇む古民家カフェ「百と十」へ向かいました。店内からはきらきらと光を反射する呼子の海を眺めることができます。ずっとここでコーヒーを飲んでぼーっとしていたくなります。

(百と十内装)

(百と十、お菓子)

(百と十、コーヒー)

(百と十 海)

「百と十」の二階はゲストハウス。もともと饅頭屋だった古民家を改装し作ったお宿は趣深く、梁の美しさに見惚れてしまいました。うっとりしている私たちに松尾さんはこんなことをいいます。

「呼子の街で素敵なコーヒーが飲めて、優雅な時を過ごすにはこのお店がぴったり!」

店主の林康紀さんはもともと広島県出身で、福岡県に移り住み飲食店で働いていました。結婚して子どもを産み育てようと思った時、近くの保育園で子どもが預けられなさそうだったので、いっそ田舎に引っ越して呼子に飲食店を開こうと考えました。呼子に移住して今年で17年経過するそうです。もう慣れて、今度は呼子でサイクリングできるように試行錯誤を繰り返しているそうです。

「良くも悪くも、街の人に見守られているですよね」

林さんは昔、カフェを呼子にオープンしたいと呼子に住む人に伝えたところ「呼子じゃなくて唐津に開いたら?若い人はみんな唐津でお店を開いているんだから」と返されたことがありました。しかしいざお店をオープンすると、「唐津に開いたほうがいいよ」と言っていた人が真っ先にお店を覗きに来ました。呼子の人はなんだかんだよく見てくれているのだと私は思いました。

この話に松尾さんはうんうんと頷きます。松尾さんも加唐島の椿を使ってTBKをつくろうとしたところ、加唐島の人に「この島は高齢者が多いのだから誰が椿をとるんだ」と猛反対されました。しかし松尾さんは根気強く熱意を島民に伝え続け、認められました。今ではTBKは島の人たちに応援してもらえる存在になったし、TBKが活動したおかげで加唐島の椿油の売り上げは二倍近く伸びたといいます。

「でも売り上げとか特に気にしていないし、失敗してもいいから。やりたいからやっているもん」

松尾さんがそう語り、林さんも深く同意しました。私たちはこの二人の大人の話を聞いて、この人たちは本当にやりたいことをやっている自由な大人たちなんだろうなと感じました。

また、呼子には外から来た人に対して興味を示し見守ってくれる人がとても多いのだなと思わされました。呼子に広がるおおらか海のように、そこに住む人もまた肩の力を抜き、広い心で人と接しているのだなと感じさせられました。

「唐津にはきっと何かがある」

BUKUBUKUの背中を押してくれた佑介さんは、唐津旅行出発前、そう語りました。唐津に何か決定的なものがあると捉えられたわけではありませんが、唐津に住む人々に私たちは無性に惹かれました。

松尾さん、林さんとお別れし、私たちは唐津に戻りました。

次回からは唐津編!お楽しみに!

(文章:ジェット石田、写真:610(むと)、ジェット石田)
























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