前年比30%以上成長のクラウドワークスと、マザーズ上場を果たしたランサーズを徹底比較してみた vol.1
今回の記事では、2019年9月期の決算で前年比売上30%成長の株式会社クラウドワークス(以下、クラウドワークス)と、ついに上場申請が実行・承認されたランサーズ株式会社(以下、ランサーズ)について、それぞれの有価証券報告書・決算資料をもとに比較・分析していきます。目次は下の図のとおりです。vol1では2の⑵テイクレートまで書いていきます。
なお決算月の違いで、クラウドワークスの2019年業績は、2018年10月01日~2019年9月30日の期間、ランサーズの2019年業績は2018年04月01日~2019年04月30日の期間で集計されております(他の年も同様)。公開されている情報の関係上こうなってしまうこと、ご了承ください(明示ない限り、それぞれの会計期間で区切っております)。
また言葉の定義として、働く人=ユーザー、仕事を発注する側=クライアントとします。
1.概要
⑴クラウドワークスの概要
では、まずクラウドワークスからみていきます。(ロゴは公式サイトから引用)
■ 設立:2011年11月
■ 事業概要:日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」を中心としたインターネットサービスの運営
■ ビジネスモデル:手数料
■ 財務状況とその推移(公開情報をもとに筆者作成)
上場時は赤字上場が話題になっていましたが、売上・営業利益・営業利益率、いずれも順調に成長しております。
では、次に上場承認されたランサーズの概要をみていきましょう
⑵ランサーズの概要
次にランサーズですが概要は以下の通りです。(ロゴは公式サイトから引用)
■ 設立:2008年04月
■ 事業概要:仕事を依頼したいユーザー(クライアント)と仕事を受けたいユーザー(ランサー)をオンラインでマッチングさせるプラットフォーム「Lancers」の運営
■ ビジネスモデル:手数料
■ 財務状況とその推移(公開情報をもとに筆者作成)
* 備考:2017年3月期の営業利益は公開されていないので2年分で作成しております。
営業利益はマイナスですが、2020年3月期第二四半期連結会計期間(2019年7月~ 9月)の営業利益は55,254,000円と黒字化を達成しているので投資期間とも位置付けられます。
⑶業績比較
現段階で売り上げ・経常利益を比較すると次のようになります。
クラウドワークスがかなり大きな差をつけて、業績を伸ばしていることがわかります。一応2019年7月~ 9月の営業利益を比較すると下のようになります。
このように広告費・外注比や新規事業への投資によって利益率が変わってくるので業績だけではどちらが勝っているのかを判断することは難しいです。
そこで、両社の事業を分解してそれぞれの数値を比較していきます。
2.内訳
クラウドワークス、ランサーズそれぞれの主力事業たるマッチングプラットフォームの事業を分解すると以下の図になります。
クラウドワークス、ランサーズともに稼働していないユーザーが多い(両者とも10%のユーザーほどしか契約をとれていない)、つまりクライアント・依頼の数が不足していると考えられるので、この軸で区切っています。
ただし見方を変えれば、クライアントが不足している背景には、クライアントが依頼したくなる、優秀な人材、言い換えれば「稼ぐ人材」がいないとも考えられます。故に、アクティブユーザー(契約獲得しているユーザー)あたりの契約単価が高さはクライアントを呼び込むうえで重要な要素になるとも考えられるため、流通総額は下のようにも分解できます。
ではそれぞれの数値を比較していきます。
2-1.内訳:流通総額
流通総額及成長率を比較すると下の図のようになります。
クラウドワークスがここでも流通総額、成長率ともに圧勝しています。
備考:両者ともマッチングプラットフォーム意外に受託事業を行なっているのですが、ランサーズのマッチングプラットフォームのみの流通総額がないので、まとめて比較しています。ランサーズはわかりませんが、クラウドワークスの事業のなかで、受託事業が流通総額に占めるのは30%です。
2-2.内訳:テイクレート
ではテイクレートはどうでしょうか?
わずか(と言っても流通総額が100億を超えているので1%の差で1億の差がつくのですが)ですが、ランサーズが勝っています。
vol.2では、ユーザー・クライアントの比較、マーケティング・セールスの比較をしていきます。2019年12月6日(金)に公開予定です。通知を受け取りたい方はNoteをフォローして行ってください!
参考資料
ランサーズ株式会社 上場のための有価証券報告書
株式会社クラウドワークス2019年9月期通期決算資料
株式会社クラウドワークス2018年9月期通期決算資料