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コンテンツマーケティングでは 「自分が読みたいことを書く」 のがオススメ

この三連休に田中泰延さんが出版された『読みたいことを、書けばいい。』を読みました。

読み手の役に立つ、とか、有名になりたい、などを目的にするのではなく、『自分が読みたいことを書くのが良いですよ』というタイトルにある通りの本なのですが、先日、某社の社内勉強会でコンテンツマーケティングのレクチャーをした際、偶然にも全く同じ話をしていました。

コンテンツマーケティングの教科書的な話では、「ターゲットペルソナを作成し、彼らのカスタマージャーニーを描き出し、購買フェーズごとに態度変容を促せるコンテンツを作成する」という方法論があります。

もちろんこのやり方には優れた面もあるのですが、弱点の一つに「競合他社と似たようなコンテンツができあがる」ことがあります。左脳的に企業の戦略・戦術を積み重ねると、競合と全く同じ戦略・戦術になるのと同じ話ですね。

実際に、私がコンテンツを書いているBtoBマーケティングやデジタル/Webマーケティングの領域でも、検索結果画面に並んでいるのは驚くほど同じようなコンテンツです。

各社が教科書的にユーザーが知りたいことを書くと、競合他社と同じようなコンテンツを量産してしまう問題が発生。結果として、自社のコンテンツが選ばれる確率も下がるので、マーケティングのパフォーマンスは悪化します。この問題への解決策の一つが、タイトルの通り、『自分が読みたいことを書く』ことです。

なぜ、自分が読みたいことを書いた方が良いのか? その理由をいくつか紹介します。

自分が読みたいことを書く3つのメリット

1.独自性のある記事になる

当たり前ですが、自分が読みたいこと=まだ誰も書いてないこと、なので、独自性のあるコンテンツになります。ユーザーにとっても、検索エンジンにとっても、「独自性」は重要な要素です。

2.自分の好奇心のために継続できる

コンテンツマーケティングの文脈で「継続できない・・」という課題を抱える企業が多いですが、人間、やりたくないこと、興味のないことは長続きしにくいものです。しかし、「自分が知りたいこと」、「自分が読みたいもの」だと、自分の知的好奇心のためにコンテンツを作成できるので、自然と継続性が高まります。

3.ユーザーのニーズは究極的にはわからないけど、自分のことはよくわかる

ユーザーニーズに基づいてコンテンツを作る方法は、

・ユーザー(顧客)が何を知りたいか、は究極的にはわからない
・結果として、ニーズの想定が当たる時もあれば、ハズレる時もある
・組織としてコンテンツを作成する場合、経営者や営業パーソン、感度の高いマーケターは顧客の解像度が高いので良いコンテンツが作れるが、そうでない人は良いコンテンツを作りにくい

という弱点があります。しかし、自分が何を知りたいか、何を読みたいかは自分が一番よくわかっています。極端に自分を見つめ直すのが苦手な人でない限り、自分が読みたいコンテンツやその目次は少し考えれば書き出せるでしょう。

では、「自分が読みたいことを書く」とは具体的にはどのようなものなのでしょうか? 過去に自分が読みたいコンテンツを書いて、成果が出た事例をいくつか紹介しましょう。

例1:もしも私がモチベーションクラウドのマーケティング責任者だったら

これは私が『モチベーションクラウド』のマーケティング責任者だったら、という視点で書いた記事なのですが、伸びているBtoB SaaSのマーケティング活動をより深く知りたいな、経営やVC的な視点からSaaS企業を分析するのではなく、BtoBマーケティングの観点から分析した記事を読みたいなと思って書きました。

結果として、多くの方に読んでいただき、BtoBマーケティング支援のお問い合わせも多くいただきました。それ以上に、書きながらめちゃくちゃ楽しかったことを覚えています。

例2:ベルフェイスのBtoBマーケティング詳細解説|やり切る力が競争優位になる

この記事はインサイドセールスシステムを提供するベルフェイスさんに取材協力いただいた記事なのですが、COOの西山さん、現インサイドセールス部門責任者の横山さんと前職の時から懇意にしていただいて、時々話を聞いていたのですが、『ベルフェイス、相当レベル高くやってそうだな、、詳しく知りたい』と思って、それを聞きに行きました。

これも多くの方に読んでもらいましたが、取材という名目で、ベルフェイスがどんなマーケティング活動をやっているのかを知れて、それをまとめたコンテンツが生み出せた喜びがありました。

例3:マニュアル作成の上場企業、グレイステクノロジーはなぜ高収益なのか【BtoBマーケティング分析】

もうひとつは、マニュアル制作の東証一部上場、グレイステクノロジーさんのマーケティング戦略を分析した記事です。

営業利益率が30%を超える超高収益事業はどのように作られているのかを知りたくて、過去の決算資料や社長さんのインタビュー記事、メディアに特集された記事など読んでコンテンツにしました。

・ファブレス(工場を持たない)なビジネスモデル
・明確なターゲット選定
・ターゲットに選ばれやすい自社の強み作り

など、自社の経営に活かしていることも多々あります。

上記の3つのコンテンツはどれも

・誰も書いてなかったので、独自性のあるコンテンツになった
・自分が読みたいコンテンツだったので、モチベーション高く取り組めた
・ユーザーニーズよりも、自分のニーズを優先して書いたが、結果として、ユーザー(ターゲット顧客)にも読んでもらえた

などの効果がありました。

2017年に上場して話題になった「ほぼ日刊イトイ新聞」の糸井さんも、自分が読みたい、を軸にコンテンツを発想していたと語っています。

さっそく準備に入ったとき、ぼくには「コンテンツなら、いくらでもある」という、不思議な自信がありました。

たとえば、大瀧詠一さんに会いに行く。『A LONG VACATION』(1981年)というアルバムをつくって、ほんとうに長いバケーションに入っちゃった大瀧さんに、話を聞く。

そんなの、おもしろいに決まってるじゃないですか。もう、おれが読みたいですから。その「おれが読みたい」を軸に考えていけば、コンテンツの目次はどんどんあふれ出てくるんです。
出典:なぜ、ほぼ日は課金制にせず広告も入れないのか

コンテンツマーケティングは、ユーザーのニーズを書き出し、検索されていそうなクエリを書き出すなどの「相手が知りたいことを書く」アプローチもありますが、自分や自社が読みたいことを書く方法も良いですよ、という話でした。


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