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マーケターが「失敗の本質」を読んで学べること。魔法の杖より、転ばぬ先の杖が大事。

大東亜戦争で日本軍がどのように戦い、なぜ負けたのかを研究した名著『失敗の本質』。

「失敗の本質」の中に「戦闘は錯誤の連続であり、より少なく誤りをおかしたほうにより好ましい帰結(アウトカム)をもたらす」とありますが、マーケティング活動においても、「キャンペーンや施策を成功させ続ける」ことより、「避けられる失敗をしない」ことが成否をわける場合があります。

今回は「失敗の本質」の中で解説されたミッドウェー海戦、レイテ海戦、沖縄戦などの失敗要因を、マーケティング部門に置き換えて解説します。自社のマーケティングプロジェクトに「失敗のフラグ」が立ってないかチェックしてみてください!

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1.ノモンハン事件 - 失敗の序曲 
作戦目的があいまいであり、中央と現地のコミュニケーションが有効に機能しなかった。情報に関しても、その受容や解釈に独善性が見られ、戦闘では過度に精神主義が誇張された。

→マーケティング施策の目的があいまいであり、マーケティング責任者と担当者のコミュニケーションが機能していない。データに関しても、その受け取り方や解釈に独善性が見られ、実行フェーズでは過度に「頭を使え!」「絶対達成!」などの精神論が誇張された

2.ミッドウェー海戦 - 海戦のターニング・ポイント
作戦目的の二重性や部隊編成の複雑性などの要因のほか日本軍の失敗の重大なポイントになったのは、不測の事態が発生したとき、それに瞬時に有効かつ適切に反応できたか否かであった

→マーケティングチームが追う目標が複数存在し、達成ストーリーが複雑で、ハラオチできてないメンバーがいた。失敗の重要な分かれ目になったのは、数値目標の進捗や顧客からの反応が当初の予測と違った時、それに瞬時に、有効かつ適切に反応できなかったこと

3.ガダルカナル作戦 - 陸戦のターニング・ポイント 
失敗の原因は、情報の貧困と戦力の逐次投入、それに米軍の水陸両用作戦に有効に対処しえなかったからである。日本の陸軍と海軍はバラバラの状態で戦った

→失敗の原因は、定量・定性データの不足とリソースの分散、それに競合のオン・オフ統合の全方位的なマーケティングに有効に対処しえなかったからである。自社の営業とマーケはバラバラの状態で戦った

4.インパール作戦作戦 - 賭の失敗 
しなくてもよかった作戦、戦略的合理性を欠いたこの作戦がなぜ実施されるに至ったのか。作戦計画の決定過程に焦点をあて、人間関係を過度に重視する情報主義や強引な個人の突出を許容するシステム

→しなくてもよかったマーケティング・キャンペーン、戦略的合理性を欠いたこのキャンペーンがなぜ実施されるに至ったのか・・。マーケティング・プランの決定プロセスに焦点をあて、人間関係を過度に重視し、チームプレーのできないメンバーを許容している組織文化

5.レイテ海戦 - 自己認識の失敗
“日本的”精緻をこらしたきわめて独創的な作戦計画をもとに実施されたが、参加部隊(艦隊)が、その任務を十分に把握しないまま突入し、統一指揮不在のもとに作戦は失敗に帰した。

→過剰に細かい部分まで計算されたスプレッドシートをもとに実施されたが、営業・マーケ部門が、その内容を十分に理解しないまま実行し、CMO不在のもとにマーケティング・キャンペーンは失敗した。

6.沖縄戦 - 終局段階での失敗
相変わらず作戦目的はあいまいで、米軍の本土上陸を引き伸ばすための戦略持久か航空決戦かの間を揺れ動いた。とくに注目されるのは、大本営と沖縄の現地軍にみられた認識のズレや意思の不統一であった。

→相変わらずマーケティング・キャンペーンの目的はあいまいで、営業現場での競合とのガチンコ勝負かプロモーションによる空中戦かの間で決めきれなかった。とくに注目されるのは、経営層とマーケティング部門にみられた認識のズレや意思の不統一であった
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さらに、上記のような個別の戦闘に共通する失敗要因として、6つが挙げられています。

①あいまいな戦略目的
②短期決戦の戦略思考
③主観的で「帰納的」な戦略策定 - 空気の支配
④狭くて進化のない戦略オプション
⑤アンバランスな戦闘技術体系

これらの失敗の共通要因をマーケターが持つべき問いに置き換えると

①→自社のマーケティングゴールが明確になっているか?
②→短期のCV数、受注数の最大化だけでなく、5年後、10年後、市場で大きく勝てる、マーケティング戦略を立案しているか?
③→現状の延長線上で、なんとなく策定した目標数値ではなく、会社のゴールから逆算した戦略になっているか?
④→最先端のマーケティング・テクノロジーや競合研究を怠らず、マーケティング戦略・戦術のオプションを複数持っているか?
⑤→商談が少ないのにSFAを入れたり、コンテンツを作れないのにMAを入れたりしていないか?

となりますし、①~⑤の失敗要因を頭に入れておくだけでも、マーケティング部門が出せる成果は大きく変わってきそうです。

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