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BtoB企業は、オウンド「メディア」より「インデックス型コンテンツ」がおすすめ

「オウンドメディアを立ち上げたい」という相談を月に2回ぐらいされますが、「オウンドメディアの立ち上げ・運用」はBtoBマーケティングにおける「言うは易し行うは難し」のTOP3に入るほど難易度の高い取り組みです。

そんな話を社内でしていて、当社の黒須に教えてもらったのが、キーエンスが実践している「情報サイト」の話です。

キーエンスも実践する「インデックス型コンテンツ」とは

キーエンスがコンテンツマーケティングの一貫で実践しているのが、「◯◯.com」という20ページ前後のサイトを作り、資料ダウンロードにつなげる施策です。

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キーエンスが運営する「粗さ入門.com」では、

・表面粗さの基礎(3ページ)
・線粗さ(6ページ)
・面粗さ(4ページ)
・表面粗さ測定機器(6ページ)
・粗さ測定事例(4ページ)

の計23ページの記事コンテンツを作成。事例集やカタログダウンロードにつなげています。

キーエンスは他にも「FAロボット.com」「センサとは.com」「安全知識.com」「接続.com」などのサイトを運営していて、この施策の効果と再現性の高さが推測できます。

なぜ、BtoB企業のコンテンツマーケティングでは、「オウンドメディア」よりも、この施策がオススメなのか。多くの企業がぶつかるオウンドメディアの弱点、という観点から説明します。

オウンドメディアの新着性・継続性問題

オウンドメディアが難しい理由は冒頭のTweetで黒須が書いているように、「継続するのにカロリーがいる」「面白いコンテンツを作るのが難しい」の2点に集約されます。

「オウンドメディア」の意味をウィキペディアで調べると、「企業や組織自らが所有し、消費者に向けて発信する媒体」とあります。企業の活動は日々変わり、企業は『ゴーイング・コンサーン(永続的に発展すること)』を前提としている以上、「オウンドメディア」も「定期的に発信し続けること」が前提となります。

オウンドメディア(英: owned media )とは、自社発行の広報誌やパンフレット、インターネットの自社ウェブサイト・ブログなど、企業や組織自らが所有し、消費者に向けて発信する媒体を指す。「ペイドメディア(Paid Media)」「アーンドメディア(Earned Media)」と合わせて、企業マーケティングの核となる3つのメディアとして認識される媒体といえる。

一方、BtoBマーケティングの「リード獲得」の観点では、CVにつながるキーワードが無限にあるわけではないので、ほとんどのオウンドメディアで、記事の更新本数とCV数は以下のようなグラフを描くことになります。

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しかしながら、オウンド「メディア」と言ってしまうと、無意識に新着性・継続性が前提となっているので、途中で更新を止める判断は難しい。

結果として、日経電子版や東洋経済オンライン的なニュースサイトのごとく半永続的に運営してしまい、「CV数は伸びていないにも関わらず、更新を止める判断ができない・・」という事態が起きてしまいます。

オウンドメディアの企画力問題

オウンドメディアが難しい2つ目の理由、「面白いコンテンツを作るのが難しい」に関してですが、皆さんは『BtoB企業のオウンドメディア』と言われて、どのサイトを思い浮かべますか? 

私は「サイボウズ式」「アナグラムのブログ」「ソーシャルメディアラボ」「ベイジのブログ」あたりです。

これらのオウンドメディアの特徴として、TwitterやFacebookなどのSNSで拡散されるほど、シンプルに「面白い」というのがあると思います。

「面白い」コンテンツを生むには企画力が必要ですが、これは全ての会社が持ち合わせている資質ではなりません。

マーケティングでも「カルチャーフィット」が大切、という話を以前、noteに書きましたが、正直、社風の問題もありますし、面白いコンテンツを作れる社員が1人もいないことも多い。

もちろんコンテンツ作成能力は訓練によって向上しますが、タレント社員/編集長が抜けた途端、急激に失速してしまうメディアがあるように「面白いコンテンツを作る能力」の再現性は高くありません。

インデックス型コンテンツを必要な分だけ作成する

オウンドメディアの弱点である「継続し続けるのにカロリーがいる」「面白いコンテンツを作るのが難しい」を解決するのが、「インデックス型コンテンツ」です。

広義の意味では、「オウンドメディア」に入りますが、一般的に定着している狭義の「オウンドメディア」と違い

・新着性
・継続性
・企画力

を前提としないのが特徴です。

ユーザーが求めていて、閲覧するであろうコンテンツを洗い出し、必要な分だけを作成する
※当該分野に関して、ユーザーが情報を探す時の手がかりとなるように、必要な情報を整理している点から「インデックス型コンテンツ」と名付けました。

キーエンス以外の例として、MAツールを提供するシャノンが数年前に「イベント・展示会・セミナー準備お助けガイド」「BtoBマーケティングお助けガイド」というサイトを立ち上げていました。

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いまでも残っているサイトですが、「イベント・展示会・セミナー準備お助けガイド」は15ページのみ、「BtoBマーケティングお助けガイド」は22ページのみコンテンツを掲載し、2014年以降は更新していません。

それでも2019年3月時点で、ビジネスにつながりそうなキーワードで上位に表示されています。

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おそらく上記のコンテンツは検索エンジン経由の集客・CVを狙っているだけでなく、既存リードへのメルマガコンテンツにしたり、インサイド/フィールドセールスが見込み顧客に紹介するコンテンツにもしているはず。20ページ前後のコンテンツ作成費用を300万円だとしても、数年で投資は回収できているでしょう。

もちろん、思想や伝えたいこと、作りたい世界観がある場合は「メディア」と名付けるのはありですが、「なにがなんでもCV、商談が欲しい!」という動機でコンテンツマーケティングを検討するなら、必ずしも、サイボウズ式のような「メディア」にする必要はない、ということです。

まとめ

「オウンドメディア」と「インデックス型コンテンツ」の特徴を比較すると以下のような感じでしょうか。

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・CVや商談獲得が目的であり、思想や世界観を伝えたいわけではない
・面白いコンテンツを企画し続ける能力に自信がない
・分野的に100も200もコンテンツを出し続けられない

などの場合は、「インデックス型コンテンツ」の形式を検討することをおすすめします。

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