【ZOZO、ヤフーとの資本業務提携】 期待と懸念
2019月9月12日8時
前澤社長が自身が持っているZOZOの約30%程度の株式を売却することをツ発表した。
事実上の前澤社長のZOZO経営撤退。
売却先はソフトバンクグループのヤフー。
3年前に「誰かの下で働くなら孫さん」といっていた記事は興味深い。
この記事ではヤフー、ZOZOの資本業務提携による「期待する点」「懸念する点」を公式情報や自分なりの考えをあわせて紹介する。
◎期待する点
1. PayPayシナジー
PayPayモールへの当社による出店、ヤフー株式会社のメディアからZOZOTOWN(PayPayモールに出店したZOZOTOWNを含む)出店ショップへのユーザー送客、ZOZOTOWNにおけるスマートフォン決済サービス「PayPay」の導入、及び付随するサービス導入のための協力、PayPayモールへの企業参加における営業協力などに関して、今後協議を行うことを合意しております。
PayPayモールにZOZOTOWNが出店することで、当社のサービスを利用する顧客層が一層広がることに加え、PayPayモールの出店者がZOZOTOWNへ新規出店することによる取扱商品数の増加が期待されます。また、ZOZOTOWN上に決済手段としてのPayPayが導入されることにより、決済面におけるZOZOTOWNユーザーの利便性の向上も期待されます
公式で発表している協業によるシナジー。
やはりソフトバンクグループのヤフーではPayPayに期待したい。
ZOZOTOWNではすでにLINE Payと提携しているが、PayPayとも提携することでユーザー視点ではよりECとしての使いやすさが広がるだろう。
2. 購入者数及び会員数の飛躍的な拡大
こちらも前述のカンパニーブログより
中高年齢者層において高い利用率を有するヤフー株式会社から、ユーザーの誘導を受けることにより、若年層のユーザーを顧客基盤の中心としてきたZOZOTOWNにとって大きな補完効果が期待されます
株式会社ZOZO 2019年3月期 第2四半期 決算説明会資料 ではアクティブ会員の平均年齢層は33.1歳。
図: ZOZOTOWN アクティブ会員属性 年齢分布 (第2四半期 決算説明会資料 P.21より)
思ったより平均年齢は高かったという印象だが、資料図をみるとやはり主力は20歳前後でそれ以降は基本的に減少傾向。(40歳で再び盛り上がっているの面白い)
ユーザー拡大はもちろんだが、この20代後半〜層の拡大も面白い期待できる点だと思う。
3. ZOZOTOWN 中国最挑戦の加速!
ZOZOTOWNは中国進出を計画している。
この取組は2013年にソフトバンクと共同展開していたが失敗に終わった。
主な要因と最挑戦する勝算は以下の通り(株式会社ZOZO 2019年3月期決算説明会補足資料より)
この施策に対して、前回の共同先であるソフトバンクとより密になれたことは、この施策に対するさらなる加速になると思う。
個人的に、日本企業が世界規模のグーグルやアリババに勝つためには総力を掛ける必要があると思っている。
このグループ化が中国最挑戦への大きな武器になることに期待したい。
4. ポイントの汎用化(ZOZOポイント→Tポイント??)
現在ZOZOTOWN内で使われているZOZOポイント。
現在ZOZOポイントはZOZOTOWN内でしか使用できない。
これがTポイントに変わったり、ZOZOポイントが外部ヤフーサービスで使用できるようになったりできることに期待する。
ECにおけるポイントの共通化、助かる…!(願望)
5. ZOZOCARDの強化
リニューアルしたZOZOCARD、このZOZOCARDの特有という特有は「5倍ZOZOポイント還元」くらい。
しかもそのポイントは付与日より90日で消失してしまう。
数あるクレジットカードの中ではとても弱い印象を受ける。
ZOZOヘビーユーザーでなければわざわざ作る必要はないのではないかと思う内容だ。
前述のポイントの件しかり、ヤフーと提携することでより幅広い恩恵が受けられるようになると嬉しい。
●懸念する点
1. 巨大市場のグループ参入によるパンク
現在日本のアパレルECではトップの市場規模であるZOZOTOWNが参入することでやりたいこと、できることは急激に広がる。
やりたいことやZOZOTOWN軸の新規事業が増えすぎて時間や人の余裕がなくならないようにしてほしい。
ただ、ZOZOARIGATOやZOZO定期便などZOZOはチャレンジ精神と判断の速さがいいところでもあるため、その精神のままうまく連携して無理しすぎずうまいことやってほしい。
2. 前澤社長の辞任による影響
前澤社長という圧倒的影響力と一代でここまで企業を拡大した経営センスと実力を持つ経営者。
失われることはZOZOグループにとって大きな変化になるのではないだろうか。
1ツイートでもかなりの経済効果があるように見える前澤社長。
コンテンツとして、ZOZOから抜けてしまう穴は大きいように見える。
3. ZOZOSUITのデータ
センシティブ情報であるZOZOスーツのデータ。
これはヤフーも喉から出が出るほど欲しいデータであるのではないか。
僕はこのデータは引き続きZOZOが公開せず繊細に扱うと考えている。
ただ、グループ化により他サービスでの運用も可能性が以前より高くなったことは確か。
データドリブン市場でこのデータがどのように活用されていくのかは期待でもあり、懸念点でもある。
4. ヤフーショッピングでのアパレルストアとの関係
ヤフーショッピングにアパレルストア展開している店舗としては、このZOZO買収はどう見えるのだろうか。
ここに関しては知識がなさすぎて断言はできないが、市場として既存アパレルECストアは圧迫されるのではないか。
システム的にうまくマッチするといいのだが、外から見てると商店街の近くにイオンモールができたように見える。
5. 社員流出
これも外からの憶測でしかないのだが、前澤社長のスタイルや精神に惹かれて働いていた人もいるのではないか。
前澤社長の辞任による経営方針やカルチャーの変化は少なからずあるはずだ。
またヤフーの管理下に入るということは、良くも悪くもヤフーからの統制や管理がでてくるはず。
ここがうまくフィットとするといいのだが。
6. ZOZOマリンスタジアムのポジション
これはおまけで野球についてはあまり詳しくないのだけど、ZOZOがソフトバンクグループのヤフーに買収されるということはスポンサー的にどうなるの?
千葉ファン怒ってない?くらいの感想。
【感想】
前澤社長がZOZOから離れてしまうのは悲しい気持ちもあるけど、社員を家族と言っていて一代でここまで市場を大きくした経営センスを持つ人が下した判断。
懸念する点もいくつか挙げたが、期待する点の絶対量のほうが大きく、ヤフーと手を組めるということはとても大きな武器になると思っている。
<参考>
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