当時、ゲド戦記が酷評されたのは、今振り返って、やっぱり間違いだった。

毎年夏になると放送される 定番の日本アニメ映画。

根強い人気の ジブリ映画 も、テレビで定期的に放送されている。

先週は 千と千尋、今週は ポニョ が放送された。

宮崎駿監督のアニメは、今も昔も、変わらず支持されている。

近年では 「君の名は」で話題となった、新海誠監督 の作品が

興行で大成功を収め、今放映中の「天気の子」も

前作のプレッシャーをはね退け、興行収入100億を突破する勢いだ。

これはここ数年の日本映画では快挙だ。

毎回新作が出る度に、バンバンCMを流して宣伝されていた

「バケモノの子」の興行収入が58.5億。「未来のミライ」が28.8億だった事

を考えると、興行収入100億越えが、いかに凄い数字かがわかる。

ちなみに千と千尋 は308億円、君の名は が250.3億円で

日本映画の興行収入歴代記録の1位と2位になっている。

歴代興行収入を見ても、アニメ映画が、近年の日本映画を

代表して牽引してきたのがわかる。

宮崎駿が引退後の、「ポスト宮崎駿」が、

誰になるのかという議論もされていた中で、

今では、立て続けにヒット作品を出した。

新海誠監督が頭一つ抜けた感がある。

ただ、ポスト宮崎駿とは言っても、

彼らの世界観は、彼らだけのものなので、

新しいアニメ映画の象徴的な人物という方がしっくりくるけど。。


こうした 平成のジブリ を、中心とした

アニメ映画を振り返って行く中で、

どうしても書いておかなければいけないテーマがある。


それは宮崎駿の息子、宮崎吾朗の初監督作品 

ゲド戦記 だ。

ゲド戦記は、2006年に公開されたジブリ映画で、

原作は小説『ゲド戦記』

海外作家の作品で、世界的にも著名な作家の名作だ。

宮崎駿も同作のファンで。ナウシカなどの初期作品にて影響を受けている。

今から約30年前に、宮崎駿自身が、ゲド戦記の映画化を打診した際には

原作者から断られている。

それからジブリが名作を生み出し続けていた頃、

ゲド戦記の原作者も、ジブリの同作映画化に承諾していたが、

その頃には宮崎駿が別の作品を手がけていたなど複数要因があり、

お互いにすれ違いとなっていた。

そこで手をあげたのが宮崎吾朗だった。

当初、彼の監督としての能力も未知数だった事もあり、宮崎駿は

ゲド戦記を、宮崎吾朗が手がける事に猛反対をしたそうだ。

しかし、彼の提出したイメージ絵コンテを見て、考え直し

話し合いの末、宮崎吾朗にゲド戦記の監督をさせる事を承諾するに至った。

ジブリのゲド戦記は、こうした背景もあり、

映画が公開される前にもかなり注目された作品で

公開後の世間の意見は、当時はかなり過激なものがあった。

そして今までのジブリとは少し違ったトーンに

やはり否定的な意見が多く目立っていた。

多かった意見としては、原作との相違点や、ストーリーの稚拙さ。

そして多かったのは、やはり今までのジブリ、

宮崎駿との比較だった。

ジブリといえば一目でわかる魅力的な世界観。

鮮やかな色合いに、表情や感情豊かで、気持ちをストレートに伝える

キャラクター達が、画面いっぱいを動き回る。そんな印象がある。

宮崎駿が得意とする壮大な世界観や、キャラクター造形。そして動き。

これらと正面から向き合わなければいけなかった宮崎吾朗が

手がけたのが、今までのジブリとは色合いの違った

あのゲド戦記だった訳である。

当時、私もゲド戦記の世間の評価を知りながら、

ああ何か酷そうな映画だな。と思い映画を見たのだが、

見終わった後は少し、印象が違っていた。

酷評された映画を見た時の「それほど悪くない感」が手伝ったのもあるが

宮崎駿と別のベクトルを向く。ここに焦点を絞った時

新しいものを創作する時に、 宮崎吾朗のゲド戦記 は、

決して悪い映画ではなかった。

人物の心情描写や、感情表現。物語の起伏の「説明のなさ」が、

悪い印象になりがちだが

実は物語の説明をする事は、実はそこまで重要ではない。

重要なのはその人物が持つ世界観だ。

ポニョのような説明を極力無くしても伝わる作品は、

正直、宮崎駿にしかかけないが、処女作で宮崎駿ジブリとは

異質の物を作り上げた 宮崎吾朗監督 の世界観は、

ゲド戦記や、それ以降の作品で、これから評価されていくだろう。

当時の宮崎駿ジブリとは別の世界観でいく。

そこに舵を切った当時のゲド戦記を、

世間は、もう少し暖かい目で見るべきだった。







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kotaro

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