薔薇の花・2

「鏡の前はやだよ」

 思わず吐息をもらす私に容赦せずに交際相手の榊君は私の胸を触る。榊君は私を下着姿でホテルの洗面所の鏡の前に立たせて後ろから包み込むようにハグしてくれている。

「えー? いいじゃん、やなの?」

「嫌」

 わざと甘えた声を出す。榊君の右手の力が強くなる。

「何が嫌か教えて?」

「恥ずかしい」

「へぇ~、そうなんだ?」

 榊君は胸から手を放し、私のあごに指を添えて自分の方に私の顔を向けた。優しくキスをされる。榊君は抱きかかえるようにした左腕を脇の下に通し、左手で今度は乳首を触る。

「咲子さんさ、左の方が好きだよね、乳首」

「なんで知ってるの?」

 視線と視線が絡み合う。榊君の目には狂気の色が見える。

「この間さ、鏡の前でオレのこと好き勝手したじゃない、咲子さん?」

 そう二週間前、このホテルの別の部屋で会った時、家族のこと、主に夫のことでイライラしていて、そのイライラを榊君に酷いことをすることで発散させた。あの日は、榊君におあずけを食らわせた。私にはほとんど触れさせなかったし、挿入させたのも榊君がヘトヘトになったあと私が榊君にまたがってやっぱり自分の好きなように榊君を使った。私は、そう言う女だ。

「あれさ、すごくよかったんだよね」

 ニコニコと榊君が言う。

「え? あれ、よかったの?」

「よかったよ、すごく。触ったら怒られるし、咲子さん二十歳の童貞かなってくらいガッついてオレのことむさぼるし、なんかすっごくよかった」

「なにそれ?」

「だからさ、今日はオレも童貞に戻った気分で咲子さんをいただきます。容赦しないからね」

 榊君が左手の人差し指の爪を乳首に突き立てる。

「あっ」

「咲子さんさ、痛いの好きだよね」

 榊君は私に洗面台に両手をつかせて、乳首を触ったまま私の背中を舐める。

「オレはさ、咲子さんの背中、好きだよ。お尻も好き、おっぱいも好き、全部好き」

そう言うと背中、お尻、胸の順で榊君はキスをした。

 いつものように気付いたら終わっていた。榊君のSEXはタイムスリップするような、不思議な時間だ。徐々に徐々に思考を奪われて、反射で互いの求めることをし合う。そうしている内に終わってしまうのだ。

「ねえ」

「なに?」

「こんな垂れたおっぱいもお尻も好きって言ってくれるの、榊君だけ」

 私は榊君を抱きしめる。どこにも行かないでね、と願いを込めて。

「咲子さんそう言うとこ、可愛いよね。好きだよ」

 榊君はそう言って、私の額にキスをした。

fin

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初めましての方も、いつもご覧になってくださる方も、こんにちは! 逢坂志紀です。 皆さんの心の温かくなる、読んで良かったなと思える文章を書いていきますので、応援、よろしくお願いします!

だ~いスキ
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逢坂 志紀

明朗に快活に。長編小説、「凸凹」連載中です。

コメント12件

へいよ~✨

何か『弟』出来たみたいで 嬉しいや笑

一人っ子だからさ 余計に笑
ふゆほたるさん
必要とあらば『お兄ちゃん』と呼びますよ?笑

ふゆほたるさん、一人っ子なんですね。僕は弟が一人いる二人兄弟です。三兄弟になりますね(笑)
もう一人 見つけて『北斗の拳』みたいに『冬景志紀4兄弟』名乗るかぁ~!笑
ふゆほたるさん
もう一人見つけますか!!
『冬景志紀4兄弟』、渋いですねー!!笑
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