芸能事務所のホームページ2.0に向けて

こんにちは、新保紘太郎(@charytaro)です。ありがちなタイトルで失礼します。
2005年くらいにティム・オライリーさんが提唱したWeb2.0という概念が賛同を集め、今では色んなところで色んなものが○○2.0、△△2.0、はては3.0くらいに言われている昨今ですが、芸能事務所のホームページって軒並み1.0のまま進化していないのでは、ということをキャステイング会社として業界につま先突っ込んでいる身として考察してみたいと思います。

■事務所サイトの要素調査(HP全体とタレント個別ページ)
■サイトに来る人のニーズ考察(ファン・代理店・クライアント・タレント)

↑こんな感じに進めていきます。


■まずは実際にどんなサイトが多いのかを調査

●芸能事務所のHPに求められる要素

芸能事務所大手トップ20と、モデル/タレントに強い事務所7社を合わせた27社のHPの要素をまとめた図です。
コチラにアップロードしてます。
○の基準としては、サイト内の深い階層まで探さずにアクセスできる情報です。

まず必ず含まれている要素としてはタレント一覧です。吉本興業ソニーミュージックアーティスツなどの多数のタレントを抱える事務所は一覧表記がなく、検索のみのサイトはありましたが、タレント情報は大前提の要素です。

次に多かった情報は所属タレントの出演インフォメーションで、田辺エージェンシー以外のサイトには、わりと目立つところに掲出されている情報です。

タレントのオリジナルグッズやDVDなどの販売情報や、ファンクラブの案内情報などもありつつ、所属希望者に向けたオーディション案内の要素も18社でありました。

そして、僕が興味深いと思った項目にブッキング情報があります。タレントへのオファーフォームや、問い合わせ連絡先が記載されていた事務所は10社、中でも吉本興業ワタナベエンターテインメント松竹芸能のお笑い芸人を多く抱える3社はブッキングの流れやQ&Aのような丁寧な案内がなされていました。業界関係者ではなく、学園祭や販促イベントといった一般の方々からの問い合わせを意識しているからでしょう。

続いて、事務所の公式YouTubeチャンネルや公式SNSへのリンクやサイト内埋め込み、会社情報や採用情報の要素も多いです。

その他、エイベックス研音には「鈴木亜美の辛いもの巡り」や「志田未来インタビュー」といったオリジナルコンテンツがあり、ホリプロには自社で行なったCMやドラマの映像制作実績の案内がありました。


●タレント個人ページの要素

事務所サイト内のタレント個別ページの要素も見ていきましょう。
アップフロントプロモーションハロー!プロジェクトサイトに遷移するため個人ページナシと解釈します。

まず写真とプロフィールに関しては大前提の要素です。
コンポジ出力は一度飛ばして、出演経歴・出演情報と続きます。出演情報に関しては、番組やイベントなどの事前告知を計測していますが、更新頻度が少なそうなページもチラホラとありました。後述しますが、今では本人のTwitterやInstagramが事前告知の手段となっている印象が強いです。

続いて、大物タレントであれば個別ドメインのサイトやファンクラブ、ブログといったサイトへの遷移と、各種SNSへの遷移ボタンも多いです。

ホリプロレプロエンタテインメントでは事務所内の別のタレントが関連タレントのような形でレコメンドされます。

また、タレントごとにブッキングフォームや問い合わせ先が記載されている事務所も7社ありました。


■次にサイトに来る人の属性ごとの求めている情報を考察

●to FUN
芸能事務所サイトの大きな役割としてタレントに興味をもったファンへの情報提供があります。
上記27サイトでもほとんどのサイトで、プロフィールと出演情報・出演経歴が掲載されていました。
しかし、この部分こそが僕が今回noteを書くに至った1.0感が強い部分です

まず出演情報に関しては既にSNSが上位互換となっています。
気になっているタレントがいるときに、雑誌やテレビなどの出演情報を調べるときに事務所サイトを検索する人はもういないのではないでしょうか?
SNSなら撮影裏話やオフショット画像などが載っていることもあるし。

そしてプロフィールと出演経歴についてはWikipediaで代替されているように思います。もちろん事務所サイトの情報が公式として正しいものであることは間違いないですが、100%信頼できない情報でも裏話やエピソードが豊富なWikipediaの方が読んでいて面白い実情もあります。

僕なりの2.0へのアップデート案としてはホリプロやレプロが導入しているような「①事務所内のタレントをレコメンドすること」と、「②出演経歴アーカイブをすること」です。
①についてはAmazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」的なイメージです。ファンに対して、それまで知らなかったタレントを応援するきっかけをつくります。
②については文字情報だけの出演経歴でなく、雑誌であれば誌面のPDF、バラエティー番組であれば出演シーンなどをアーカイブしていく提案です。これが実現すれば、気になったタレントが出ていた昔の番組を違法アップロードサイトで探さなくて済むかも…!
権利関係的に難しいことは重々承知ですが、一考の価値あるものだと思います。


●to AGENT
次にテレビ番組のキャスティングスタッフや、広告代理店といったエージェントへの情報提供です。
業界内ではコンポジと呼ばれるタレントの宣材写真やプロフィール、直近の仕事内容が記載されたプロフィールカードのようなものがあります。
今回の27サイトの中でもコンポジをDL・印刷できるようにしているサイトが6サイトありました。
例としてはこんな感じ、松竹芸能の上田まりえさんのコンポジです。

大きなキャスティング会社などには各事務所の所属者のコンポジをまとめたファイルがあって、マネージャーが数カ月おきに更新して届けたりしているようです。

アップデート案としてはシンプルに「コンポジをDLできるようにすること」でしょうか。僕がいる会社は大きなキャスティング会社ではないため、事務所からもらったコンポジリストは3つくらいしかなく、案件ごとにお願いしたいタレントが所属している事務所に連絡してコンポジを送ってもらっていました。


●to CLIENT
続いて広告出稿企業に対しての側面です。
タレント/モデルの仕事の1つに広告モデルとしての活動があります。
先ほどエージェントについての話をしましたが、最近では事業会社の広報部署が直接タレントへの問い合わせをするケースも増えています。(特にアパレルブランドがインフルエンサーをキャステイングするケースが多いと思います)
「広告代理店しかメディアに出稿できない」「キャスティング会社しかタレントと連絡を取れない」ような独占状態は既に過去の話で、代理店が何重にも噛むような案件構造は終わりに向かっていると思います。
来るべき「事業会社が直接タレントに案件依頼する」ことが一般的な未来にむけて、現状あまり考えられていない対クライアントを意識したサイト作りも重要だと思います。

アップデート案としては先ほどの出演経歴アーカイブにも重なる話になりますが、「企業案件をアーカイブすること」が重要だと考えます。
キャンペーン用のポスタービジュアルやCMなどは基本的に出稿期間が終わったらクライアントサイトからも消えてしまって、一般的には見れなくなってしまうことが多いです。(違法アップロードや『広告批評』などの事例集では見れたりしますが、、、)
これも権利関係がネックになりますが、実現できたら広告主企業が案件発注する際の参考になるでしょう。


●to TALENT
最後は所属タレントと所属希望のタレント志望者に対する側面です。
事務所サイトは売れてるタレントはマメに出演情報を更新していたり、トップページに写真が出たりしますが、売れていないタレントは本当に最低限の写真とプロフィールが記載されているだけのこともあります。
タレントにとっての芸能事務所のメリットが薄くなっている今(詳しくはコチラ)、この問題も1つの所属するか否かの判断基準になるかと思います。

アップデート案としては既に提案した「このタレントが好きなあなたにはこのタレントもオススメです的レコメンデーション」が良いのではないでしょうか?


■まとめ

ザーっと羅列してみて、事務所サイトで一番の主力コンテンツ(?)であるプロフィールや出演情報が主力コンテンツたり得たのはSNS出現以前の情報提供者が限られていた時代だったね、って話です。
グッズ通販やSNS連動のような新しいコンテンツで増築したりしても、事務所サイトに求められている本質の再定義を先延ばしにしているところが多いのではないでしょうか?

ジャストアイディアでアップデート案をいくつか出してみましたが、これをきっかけに多様なアイディアが出てきたら良いなと思っているので、コメントやリプライなどなどお待ちしております。

新保紘太郎(@charytaro)でした。


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新保紘太郎

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