全部無駄にならないって信じてみる。

(この人、ほんものだ…)
二度見したのち、しばらく凝視して、心の中でつぶやいた。

「ちょっと見せてもらっていいですか?」
その人の筆箱の中にあるフリクションボールの消しゴムの部分は、まるごとすり減って、存在ごと消えていた。

著書「待っていても、はじまらない―潔く前に進め」で対談をさせていただいた芸人の芦沢ムネトさん。中高生から絶大な人気を誇るラジオ番組「スクール・オブ・ロック」の教頭でもある。そんなムネトさんとはじめてお会いしたのは、2014年の6月。この圧倒的な努力を垣間見た日だった。

僕がコピーライターだから、書くという行為に執着があるというのもある。でも、どうすればあそこまですり減るのかが想像がつかなかった。書くことと、消すことを、どれだけ繰り返したら、ああなっちゃうんだろう。

工場で汗を流す職人さんの爪の奥に黒い油が染みついていたり。原稿用紙に向き合い続ける作家さんの中指にペンだこができていたり。努力という作用に対しての反作用は、かならず痕跡を残す。そしてそれを垣間見た時、圧倒的な積み重ねに、気が遠くなりそうになる。

ムネトさんが日々ツイートされているフテネコ。このキャラクターは、2011年からムネトさんが書きはじめ、たちまちRTされていく。ミュージシャンとコラボしMVになり、4コマ漫画が書籍化し、SNSという枠すら越える。きっと目にしたことがある人も多いと思う。僕もその一人だった。

このほんわかするタッチの奥に、どれだけの積み重ねがあるのだろう。ムネトさんが教えてくれたこと。それが、「全部無駄にならない」ということだった。著書「待っていても、はじまらない」の中から引用したい。

僕、いままでやってきたことが、全部無駄になってないんです。美大を目指したことで絵が描けるようになった。バンドをやっていた自分だから描ける絵がある。お笑いの設定をそこに活かすことができる。いろんなことに手を出してきたすべてが活きてるんです。

あのフリクションボールを見ているから、ムネトさんの言う「手を出す」という言葉の重みがわかる。あれは「手を出す」というより「手を尽くす」だ。たぶん、好きなことになったこと、それを長期間やる訳ではなくとも、夢中になってとことん手を尽くしていく。そりゃあ、無駄にならないよなあ、と思った。体の中に染み込んでいくんだから、次にすることに、おのずと活きてくる。

今週末の日曜日。ムネトさんと刊行記念イベントをします。

「全部無駄にならない働き方」
阿部広太郎 × 芦沢ムネト 刊行記念トークイベント
10月9日(日)14時〜 @青山ブックセンター(表参道)
http://www.aoyamabc.jp/event/nonwastedwork/

ムネトさんがすごいのは、自分が体験してきた経験や技術を繋げていく力だけではないこと。友達力というか、出会いを偶然で終わらせない力というか。だから是非、みなさんと共有したい。人とのつながり方で意識すべきこと、そして、目の前の仕事から次の仕事へのつなげ方について、「全部無駄にならない」ためにはどうすればいいのか。そこに潔く前に進むヒントがあるような気がしています。

イベントは無事に終了いたしました…!ありがとうございました!

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(^o^)ノシ
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阿部広太郎

書籍「待っていても、はじまらない。」のすべて

「待っていても、はじまらない。―潔く前に進め」にまつわるすべて。
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