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その日ぼくらは、笑って遺書を交換した。

いつもより笑い合っていた気がする。

悲壮感なんて一切なかった。ふたりしてニコニコしていた。ピース。

ぼくらのこれまでのやりとりとか、関係性とか。フィルムカメラで撮った写真に全部映っていた。

手にとった封筒の名前は、遺書。手渡しをして、じっくり眺める。慎重にしまう。この先にどんな未来が待ち受けているのか、楽しみで仕方がなかった。

事の発端はある“課題”からだった。

※※※

「企画する人を世の中に増やしたい」その一心で、2015年から『企画でメシを食っていく』という連続講座をスタート。今では「企画メシ」と通称で呼んでくれる人が少しずつ増えているのがうれしい。

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企画メシは、毎年5月から10月まで、隔週土曜日、半年間、全12回。各業界の第一線で活躍するゲスト講師の方による講義がある。

ただ話を聞くだけじゃない。事前に課題をもらうのだ。

ぼくと、参加する企画生(企画メシでは「受講生」のことをそう呼ぶ)は、その課題に取り組み、企画をして、企画書にしたため、ゲスト講師の方に講評をいただく。

課題は出すもの、受け取るものだけど、ここでは課題に出合うという感覚がある。トントントン、と自分の心の扉をノックされるような感覚。

人間の心臓には、4つの部屋がある。4つの扉を経て、1分間に約5リットルの血液が全身に送り出されている。課題に出合うと、心に部屋が見つかって、新たに全身に血が通いはじめる感じがするのだ、ドキドキと音を立てながら。この感覚、うまく伝わるといいな。

その“課題”と鉢合わせたのは、企画メシの2期目、2016年のこと。

「Webの企画」と題してお招きしたシモダテツヤさん。シモダさんは、Webメディア「オモコロ」を生み、株式会社バーグハンバーグバーグの創設者であり、2019年に退任されている。

シモダさんからいただいた課題はこうだった。

『同僚、友人など「人」に対するマンネリを打破する方法を考えてください』
相手と長い付き合いになるとマンネリ化してしまうのが人の常です。
そんなマンネリを打破する方法を考えてみてください。
※他の人と被らないような方法を意識して考えてみてください。
※100人に1人にしか思いつかないような方法を期待しています。

「Webを考えるには、人間のことをとことん考え尽くさないといけない」という出題意図だった。なるほど、本当にそうだ。考えに考えて、一通の企画書を仕上げた。2016年に書いた企画書、見てもらうのがいちばん伝わる気がして、ここに紹介したい。

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3年前の企画書。だから恥ずかしさもある。でもあの時の一生懸命を恥じていない。

企画書を提出するまでの10日間は、かたちにするための時間。

机上の空論にしたくなくて、やってみなくちゃ説得力も出ないし、なによりやるからには、思う存分おもしろがりたい。やり抜けば、誰ともかぶらない。いつの間にか心の扉は開いて、感じたことのない感情まで届けてくれていた。

シモダテツヤさんの講評はこうだった。

マンネリを打破するのは「秘密をつくる」ことだと思う。相手のことを知ってきたから飽きる、さらに知ることは寿命が短くなるだけだと思う。それより「何やこいつ何考えているのか分からん!」の方が良い。

何か秘密を持っている人は、自然と雰囲気が出る。この人はまだ言い切ってないな、と思うともっと知りたくなって「また会いましょう」となる。

お互い「遺書」を持ち合う。実際にかたちにしているのも良い。もしも事故に遭ったときに、警察も混乱しますよね(笑)やっぱりリスクがあることは楽しいと思います。

あれから3年が経つ。

お互い環境も変わった。あの頃ほど頻繁に会えていない。でもつい最近、駅のホームでばったり会って、すごく久しぶりなのに、昨日会ったみたいに話せたのはやっぱり大切な友人だから。恵比寿駅から渋谷駅までの3分間。つかの間だったけど、やっぱりこの話になった。

机の引き出しに大切にしまっている白い封筒。見るたびに再生される、友人との思い出。懐かしい気持ちから生まれる温度に顔がほころぶ。

企画書の最後のページに書いた「もしもなにかあった時」。

その時、お互いが託し合った「君のことば」に救われる、きっと。

このnoteは、TOKYO MX×noteの「#君のことばに救われた」コンテストの参考作品として書いたものです。

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