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泣ける、というより、泣いてしまいました。MOROHA✕エリザベス宮地「バラ色の日々」

「MOROHAの音楽で奮い立ててるんだったら、大丈夫だ、間違ってないから。そのまま行けっていう風に、思う」

これは2011年、ジャックスカードのCMに出演したMOROHAのMC、AFROの言葉。この言葉にいま改めて、じーんとしている。

MOROHAは、MCアフロとギターUKによるヒップホップ・ラップグループ。僕は、コピーライターという言葉をあつかう仕事をしているから、言葉の力を信じている。それでも圧倒された。MOROHAは圧倒的だった。言葉に、音楽に、ここまで感情を込められるんだと、心をぐいっと掴まれた。

悔しくて弱気になった時も、勝負の前に元気が欲しい時も、日々の会社までの道のりも、くたくたになった帰り道も、どきどきしながらデートに行く道すがらも。ひとつひとつの曲に、強い思いがあって、背中をぽんと押してもらえた。まだいけるよって前に前にと、進む力をもらえた。

だからMOROHAのMVを撮影・監督しているエリザベス宮地さんと仲良くなるのに時間はかからなかった。会えばいつもMOROHAの話をしていた気がする。なにより同い年、30歳。お互いつくる仕事をしているから、話は尽きない。

宮地さんが昨年12月にリリースされたMOROHAの「上京タワー」のMVを撮影していた頃。もうひとつの表題曲の「バラ色の日々」も近々完成させますので、楽しみにしていてくださいね、宮地さんからそう話を聞いてずっと心待ちにしていた。12月になっても、リリース日を過ぎても、その後、「バラ色の日々」の話題は出なかった。

年が明けて3月10日。MOROHAのツアーファイナルで宮地さんと話すことができた。

話を聞けた。ずっとずっとずっとずっとずっと、もうずーっと宮地さんはつくりつづけていたのだ。バラ色の日々というバラードに対して、かつての、じぶんの、本物の恋で映像をつくりたい、イメージはあるものの、まだ完成できていない。そう話す宮地さんは、どこか苦しそうだった。当然だと思う。苦行だ。じぶんの過去の、後悔もある、やりきれない思いもある、日々を思い出すのは…想像するだけでも心をなぐられるものがある。

本当は完成させたくない。
ちゃんと終わらせないと、
ちゃんとはじまらない。

でもちゃんと伝えたらもう振り向けない。
なにかを得るためには、
なにかを失わないといけない。

幸せな時にしかカメラを回してないし、
なんて都合がいいんだろう。
それが「バラ色の日々」ですもんね。

「バラ色の日々」というタイトルの意味に気づいた時に、この曲の聴こえ方がまた変わった気がした。


泣いた。宮地さんの前で泣いてしまった。なんなんだろうなあ。

このMVは。ものすごくものすごく個人的な話なのに、どうしてここまで揺さぶられるんだろう。思い出しては、涙腺にくる。どれだけ特別だったかなんて、なんで後から気づくんだろう。ドキュメンタリーの強さ、という言葉で片付けたくない、宮地さんの覚悟の強さだ。写真を使用することを許可した彼女さんの覚悟の強さだ。どれだけ想像しても間に合わない。目には見えない葛藤がたくさん宿っている。

このあふれてくる気持ちがどうも手にあまって、MOROHAを探していて出会ったのが冒頭の言葉だった。

「MOROHAの音楽で奮い立ててるんだったら、大丈夫だ、間違ってないから。そのまま行けっていう風に、思う」

大丈夫、いま、こう思えてることに意味がある。
また、宮地さんと、いろいろ話せるのが楽しみだ。

 ※2017.6.17 追記

そして、宮地さんはMOROHAと映像作品「其ノ灯、暮ラシ」をつくった。

マイク1本、ギター1本、カメラ1台。真剣勝負。

「インタビューをしてもらえませんか?」とスタッフの方から連絡をいただいて、「やるしかない」と反射的に思った。そして全力で書き上げたインタビュー。

読んでもらえたらうれしいです。

そして…映画「アイスと雨音」のポスタービジュアルの撮影は、髙木美佑さんがしてくださったことは、また別の機会に…!


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