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もうつくるだけでは終わらせない。

知らなかった。こういう風に考えてらっしゃるんだ。

下北沢B&Bでのイベント「柳内啓司×谷口マサト×阿部広太郎 メディアあした会議 新年会 ~シェアされまくるコンテンツを解説し尽くす2時間~」。登壇者のひとりとして参加しつつも、柳内さん、谷口さんの考え方にハッとすることがたくさんありました。共有のために、僕自身の定着のためにも、残しておきますね。

■ネタを探し、どう調理し、いつ提供するか。

はじめに解説してくださったのが、TBSの柳内啓司さん。柳内さんは、メディアプロデューサーとしてネットと連携した番組企画・プロモーションを担当。そのかたわらYahoo!ニュース個人でコラムを執筆されています。これまでのコラムの中から以下を紹介。

1、LINEで急増する 「俺通信」男子とは?

2、入園式・入学式で活躍 ママ友で流行する「ママ名刺」とは?

「俺通信」も「ママ名刺」も、新しい概念。
そのネタはTwitterやFacebookなどのSNSのタイムラインから見つける。というより発掘する、というニュアンスの方が合うと思う。「ああ、一部で話題になりはじめているな。これは世代を越えて議論が起きそう」というテーマを見つける。

※人によって意見がどっちにも転びそうなゆらぎのあるテーマの方が注目されるんだろうなあ。

※「ママ名刺」の起点は雑誌VERY。谷口マサトさんが、「メディアはジャンルをつくる」と仰っていたけれど、本当にそうだなと。

コラムを執筆する際は、その概念に対して「あり/なし」の一方の立場ではなく、両方の立場をバランスをみながら、議論が起こりやすくすることを意識するとのこと。「あり」側と「なし」側が活発に議論できるように、器をつくってあげるイメージ。

そして、ハッとしたのは、歴史に立ち返ることで深みを持たせること。ママ名刺の記事では…「ママ名刺→マウンティング→実は紫式部は清少納言のことを…」そうすると、単なる瞬間的なニュースではなくて、なんだか現象として確かなものに見えてくる。

以上が、ネタの探し方と調理の仕方。
そして、以下がネタの提供のタイミング。

3、スタバ越え?コーヒー界のアップル?「ブルーボトルコーヒー」を人に言いたくなる3つのワケ

ブルーボトルの話題がポツポツ出始めた頃に記事を提供しても、関心は集中して集まらない。だからこそ、波に乗る。そのために、リアルタイム検索で、つぶやきの回数を検索。ぐぐぐっと右上にきている波を狙う。「なんでこんな話題になるのだろう?」とみんなの中にWHYがうまれた状態の中で、「3つの理由」と言われると確かにクリックしてしまうなと。

「バズの過大評価」という話もあったけど、『面白ければみんなに見てもらえるはず』という考えは結構あやうい。記事(コンテンツ)への流入経路までつくらないとダメ。そのために見てもらう量を稼ぐためにも、いつ出すかは大事な視点。(たとえばCMならテレビの放送枠を獲得すれば良いんだけど、すべてがすべてCMを出来る訳ではないから)
このことに通じるのですが、僕がした話も、触れておきますね。

■“ひとり目のポジティブな反応”が鍵を握る。

2015年、話題になった早慶戦ポスターの話をしました。
早慶戦ポスターの概要については、こちらのアドタイの記事を。
制作者はコピーライターの近藤雄介君。

ポスターでエールを交換、あの早慶戦ポスターはこうして生まれた

僕がプレゼンしたスライドを貼り付けますね。

純粋に後輩のつくった素敵なポスターが、ひとりでも多くの人に届くといいな、と。そんな気持ちでつぶやいたのがこのツイートでした。

怒涛のRTがはじまり、iPhoneの通知が止まらなくなる。

僕の実体験。「今でしょ!」のCMをつくってから、ひとりの担当者として、流行になっていく様子をつぶさに観察していました。世代を越えていろんな人見てもらう、世の中ゴト化するためにはどうすればいいか。

近藤君に伝えたのは…

メディアの方たち(さきほどの柳内さんの立場ですね)も、活きのいいネタを探しているはずだし、当然ながら「なぜつくったのか」の部分は知りたいはず。その導線を、制作者側からつくる。「こんなことがあります」と連絡してみる。

結果的に、またたく間に新聞・テレビにも取り上げられ、お茶の間に。
なんでここまで広がったんだろう?
とがったモノを近藤君がつくったからこそだけど、「広げ方」もすごく重要だなと。その時に思い出したのはこの動画。

ムーブメントを創る最善の道は、勇気を持って飛び込み、他の人にフォローする方法を示す事だ。

広げ方のつくり方として、今回たまたま偶然、僕が担った、ひとり目を想定する(ひとり目の反応をつくる)ことはとても大切だなと。コピーを書く時にも、たったひとりに深く刺さった方が、きっと広がる。そこに通じるなと。

■それは広告か。それはコンテンツか。

最後は谷口マサトさんによる解説。
谷口さんはLINEの広告事業部のチーフプロデューサー。
「なんじゃこりゃ!」と、谷口さん企画の“大阪の虎ガラのオバチャンと227分デートしてみた!”に驚いたことを鮮明に覚えてます。

谷口さんのブログを読んでいただくと、全体像がわかります。

広告に情報しかなければ、それを人にシェアしようという気持ちは生まれづらい。伝えたい情報に、おもしろい、たのしい、かわいい、うそ、すごい…ポジティブな感情をくるんでコンテンツにできるかどうか。情報をダイレクトに表現するのはカンタンだけど、結果的にたくさんの人にシェアされるのは後者。

谷口さんが見事な例として挙げてくださっていたのが…

漫才が見事だから最後まで楽しめるし、フリースのことも刷り込まれる。
「なにか仕事に繋げられるはず!」と谷口さんが思われたのはこちら。

CMでも歌いこみが、子どもたちが真似してくれるように。リズムネタ/音楽ネタは確かにもっと活かされる場があると思う。
終盤、谷口さんが仰っていた「スポンサードコンテンツがコンテンツの幅を広げる可能性を持っている」という話もグッときた。コンテンツにするのは大変だけど、新しいことにチャレンジできるってことでもある。


ちがう立場だと見ている景色もそれぞれちがう。でも同じ頂上を目指して登っている。そんな感覚を味わえてとても楽しかった。つくる、語る、そしてまた新しくつくる。その繰り返しでちょっとずつクリエイティブが更新されていくんですよね。この記事がすこしでも参考になると嬉しいです。ではまた!

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