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「音楽では食えない」と嘆く人達へ。

6月14日に新曲「4AM」をリリースしました。どうも、齊藤耕太郎です。Spotify、Apple Musicなど様々なチャネルで聴いていただけます。是非聴いてください。

今回の楽曲は、僕の長年の友人であるイラストレーターのNoLくんにイラストを描き下ろしてもらいました。6月リリースだけに、少し湿り気のある、退廃的な儚げな女性像、バッチリはまっています!

彼のインスタはこちら。

そんな「4AM」は、リリースと同時にSpotifyの人気プレイリスト「Midnight Chill」にてセレクトいただきました。

今年に入ってリリースした曲は、これで6作連続で公式プレイリストに。毎回ながら、Spotifyの皆さんありがとうございます。

こうしている間に、ついに僕のSpotifyアカウントの月間リスナーは9万人を突破しました。日々のクライアントワークもSpotify上での盛況ぶりに紐付いてか活況を帯びており、ありがたい限りです。地道な一歩の連続が、海を渡り、少しずつ規模を大きくしています。着実に届く人達が増えてきていること、素直に嬉しいです。


毎月曲を作るという根性論。

タイトルと前置きが噛み合っていないように思われるかもしれませんが、今回は音楽活動をしていく上で現実的に向き合わなければいけない「収支」のお話について書いていこうと思います。

見出しが示している通り、毎月楽曲をリリースする、というのは体力や精神力と同じように、資金繰りも結構大変です。ただしそれは、「毎回本気で、最高のスタッフィングで曲を作る場合に。」です。

TuneCoreなどのアグリゲーター(曲を登録し、配信してもらう企業)が充実したおかげで、現代の音楽シーンは誰でも簡単に楽曲を販売・リリース可能です。しかしそのおかげで、同じインディーズと呼ばれるシーンでも、楽曲クオリティには相当のバラつきがあると僕は感じています。

先日も記載しましたが、彼らが言うように毎月ペースで楽曲を世の中にリリースしていくことは現代の手法上ものすごく効果があります。僕が3ヶ月ほどでリスナー数を5万以上増やすことができたのは、毎月の積み上げによるもの。身をもって効果があるのは実感しました。

しかし、ジャンクなものを沢山産み出したとて、一定水準以上に満たなければただただサブスクという大海原に楽曲たちが溜まっていくだけです。逆に、いかに良質なものを多く産み出したとしても、適切な楽曲ローンチを行えなければ同じように人知れず楽曲はストックされていくだけ。

毎月曲をリリースして成果を出していく、ということは、自分一人以上の力が必要で、人が動くということは、最低限稼働していただいた分のリターンを何らかの形で保証しなければいけない。ビジネスの経験がある方には、当たり前の話だと思います。ですがことミュージシャン、特に「まだ一本で食えていない方」の一部に、そういったことに感覚が疎い方が多いです。


「投資」という概念を持っているか?

ヒットを生み出す、ブランディングをきちんと行う、など、アーティストやブランドとして世に出して恥ずかしくないものを作るためには、必ずと言っていいほど「初期投資」が必要です。

去年、こんな記事を書きましたが、音楽に限らず全てにおいて、経済循環を豊かにできる人というのは概して「沢山お金を遣えるから、沢山お金が入ってくる。」という特徴があります。つまり、思い描ける成果の規模が、その人の成長幅と言っても過言ではありません。

無論、ただ単に「俺は大金持ちになる!」と言っている人のお話は、僕に限らず誰も聞かないと思います。思い描ける成果のために、どういう計画で、どれくらいの予算が必要で、いつまでにそれらを回収するか、という想定ができなければ、1曲に1,000万円、1億円かけようとドブに捨てて終わりです。

音楽活動でそれなりの成果を出せている人の特徴は、当たり前ですが「成果を出し得るクオリティの楽曲を作っている」ことが最低条件です。それらを簡単に箇条書きすると

楽曲制作
①人真似に終わらない独創的な音楽性
②楽器そのものの音質
③楽器同士の特性を理解した、非凡なる編曲力
④楽器の特性を生かした倍音構造で録音された強力な音
⑤楽曲を飽和させず、ダイナミクスを豊かに残したミックス
⑥再生メディアに対して的確なアプローチを行ったマスタリング
⑦音楽のクオリティを更に拡張させる、超イケているアートワーク、MV

更に

マーケティング・プロモーション
⑧リリースから興行などの戦略的なスケジューリング
⑨楽曲に対する的確なマーケティングプランの立案
⑩リリースに対する各媒体へのPR・根回し

なんじゃないかと思っています。これらを着実に行い、さらにそれらを継続的に行うことで、初めてヒットが打てる打席に立てるのではないか、と僕は感じています。

音楽を作っている方で、ヒットを狙っている方は是非、プロアマ限らず①〜⑩を冷静に振り返ってみてください。10個全てを別々のスタッフや機材、スタジオに依頼してヒットを目指している方がもしいたら、1曲あたり数十万円は最低でも必要だと思います。(内訳は割愛します)

それらを何とか安いギャラでお願いしたい、という方がこのnoteの読者の方にもいるかと思います。基本的に、依頼主と受託者の関係性は僕が口を出すことではないので、ご自由にやっていただきたいです。

ですが、「継続的に曲を出さないとヒットしない」というのは間違いありません。継続的な関係性を築いていくのに、何の期待も相手に抱いてもらえずに割安な価格で協力してくれるのはよほどの良い方か、よほど仕事に困っている方しかいないと思います。なお後者の場合、ヒットは狙えないかと。


誰かの時間を遣っていただく、という責任

僕は、「BRAINSTORM」というアルバムを去年作りました。

このアルバムがキッカケで、今の音楽活動が花開いたわけですが、上記①〜⑩のうちの6〜7つを自分で担当した上で、僕は外部の方々に対して、ほんの最低限ではありますが3桁万円規模の御礼をさせていただいています。それでも中には、潤沢に御礼できていない方がいるもの事実。(この作品に協力してくださった皆様への恩は一生忘れません。)

サブスク中心の戦術において、アルバムに投資した分、毎月リリースしている楽曲分のリクープができているか?と訊かれたら、僕の規模では正直まだまだNOです。ほぼ自分が作業したとしても、都内の一等地でワンルームマンションを1軒借りている以上の制作費が毎月出て行きます。

それでも、漕ぎ出した船を止めることは、今まで協力してくださった方々全てに対して失礼。僕はこの1〜2年で最低でも年間1,000万円はサブスク中心の音楽配信で売上を立てるつもりでいます。その売上が立って初めて、ここまでずっと協力してくださっている方の中で、「僕の夢に共感して、同じ船に乗ってくださった方々」に、継続性ある御礼ができる。と信じています。


投資して、長期的に回収する。

根性論と先ほど銘打ちましたが、基本的に僕はコラボ先と折り合いが付くようであれば自ら原盤(レコード制作に出資し権利を持つ)を持ちたいと考えています。楽曲を自分の意思で自由に使える状態にしておきたいですし、リターンを得る際にビジネスとして正しく収益を得たいからです。「お金出してやるから自由に作れよ」というお誘いは、毎回丁重にお断りしています。

そうなった場合、恒常的に音楽のお仕事で自由に作品制作ができるだけの資金繰りが必要になります。なので今は、クライアントワークでいただいた音楽制作・使用料をオリジナル原盤制作費に回しながら生計を立てています。

音楽家が音楽を作ることに妥協はしてはいけないと思っています。毎月曲を出していくということは、実は諸所への支払い的なことで言えばアルバムよりお金がかかります。でも、それで世界中で聴いてもらえた時に、

・然るべき方々に正しく御礼をすること
・次の楽曲制作に対して強力な投資が自ら行えること
・自分の身の回りが自由に作品発表できる環境を整えること
・音楽発信をカルチャーとして浸透させること

ができ、1つのシーンが生まれるはずと考えます。個人的な成功に留めていては、僕がやりたい音楽活動とは言えません。ゆえに、原盤の管理そのものを自分自身で行う、つまり自分がお金を出す、という思想を絶対に捨てたくありません。(ただし、全額かと言われたら場合によってそうではない。)

確実に言えるのは、目先の利益、つまり生活のために音楽で日銭を稼ごうとするのであれば、稼働した分をその場でもらう方が効率は良いし着実です。ただ、音楽作品の制作も映像などの副次的な音楽制作でも、初期段階で見積もれる音楽へのフィーは年々下がってきている一方です。この世界だけで音楽家として永続的に生活していくことは、だんだん難しくなると僕は感じています。より長期的な視点で考えた時、

ブランディングとキャッシュフローの最適化

を全ての音楽家が考えるべきタイミングなのではないかと僕は感じます。


かくいう僕も、常に自転車操業であることは間違い無く、このnoteを書きながらも不安がないかと言われたら、勿論不安だらけです。ですが、漕ぎ出した船を理想郷まで辿り着かせなければ、僕だけで無く関わってくれた仲間のみんなにとっても幸せではない。漕いで漕いで漕ぎまくるしかないのです!みなさん、一緒に頑張りましょう!!

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