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Queenについて、これだけは自分の言葉で伝えたい。

昨年の爆裂たるブームを拡大すべく、2020年の1月にQueenの来日が決定しましたね。いろんな思いを入り混じらせてニュースを知りました。

僕の人生で、もっとも影響を与えてくれた存在。

きっと、彼ら・彼らの音楽がなければ僕は今のキャリアも、もしかしたら人生そのものも存続していなかったかもしれないと思うほど。僕が慶應義塾大学に進学したのは、「クイーンのような高学歴ミュージシャンに憧れた」から。それ以外に大学進学のモチベーションはありませんでした。

映画「Bohemian Rhapsody」の一大ブームで、リアルタイム世代の方、僕と同世代の方、そして10代の若い皆さんまでもがQueenに夢中と聞きます。決して現代のトレンド真っ只中なサウンドとは言えない彼らの音楽が、何故あんなに人を魅了するのか。

僕なりに、彼らへの最大限の敬意を持って、その魅力をお伝えします。


作曲家集団の走り。

左から、ロジャー・テイラー(ds)、フレディ・マーキュリー(vo & key)、ブライアン・メイ(gt)、ジョン・ディーコン(bs)の4人。Queenとして結成してからフレディが1991年に亡くなるまで、一切のメンバーチェンジを行わなかったことは映画を見た方はよくご存知でしょう。

彼らの何が一番すごいって、フレディを中心とする卓越した演奏・歌唱能力はもちろんですが、何よりそのソングライティング力。何せ、4人全員がスーパーヒットソングを持っています。


フレディの代表曲

ブライアンの代表曲

ロジャーの代表曲(LADY GAGAの名前はこの曲が由来)

ジョンの代表曲

Queenのことを知らない方でも絶対に知っている楽曲ばかりですよね。

あえて今回、列挙した楽曲たちの曲調をバラバラにご紹介しましたが、彼らのすごいところはその音楽的な引き出しの多さ。Led Zeppelinなどが栄華を極めた60年代後半〜70年代のUKハードロックシーンにおいて、知的でクラシカル、おとぎ話のような音楽性と衣装でスタートした彼らのキャリアは、時代ごとにその色をいくつもアップデートし続けました。

先述したZEP以外にも、Elvis、ライオネルリッチー、オペラやクラシック音楽など、フレディだけでも多種多様な音楽の影響を受けているとか。ジャンルを超越した音楽性だからこそ、鮮度を失わないどころか、その特異性が希少価値を高め続け、2010年代の末にも燦々と輝き続けています。


超絶難解な楽曲展開を驚くほどスムーズに。

特にフレディの才能だと僕は思うのですが、彼の作る楽曲は未だにどうやったらこんな音楽ができるのか、全く意味がわかりません。何がすごいって、そのコードワークです。

これまた絶対に一度は聴いたことがあるであろう名曲「Bicycle Rase」も、こんなにキャッチーなのに吐き気がするような難解なコードワークを展開します。詳しく解説すると難解なのでザックリ説明すると

①フレーズごとに調が変わる。

まず、イントロの時点でキーが二回変わる(笑)そしてメインモチーフである「I want to ride my bicycle〜」に移り変わってまた変わる。次のAメロセクションでまた変わり、Bメロセクションで2回(イントロと同じ)、で元のメインモチーフ・・・変わりすぎでしょ。

でも、聴いていて全く違和感がないんです。むしろあまりにもトニックコード(主となる調)が決定付けられないがゆえに、ジェットコースターのような感覚でずっと聴き続けられる。結果的にポップミュージックの金字塔の1つとして残っていますが、やっていることは驚くほどプログレッシブです。

②たまに現れる中東の香り。

これまたフレディのヤバさ具合を象徴している、名アルバム「JAZZ」の1曲め「Mustapha」。個人的に、すごく好き(笑)

インドで生まれ育ったフレディの背景を感じつつ、イスラムな印象が色濃いこの曲。ちゃんとモニタースピーカーで聴くと、盛り上がってからの巧みなステレオワークの遊び方(ボーカルが左右に移動したりギターと掛け合ったりなど)とっても遊び心あるそのアレンジ・ミキシング力が大好きです。

③マニアック一歩手前で止める、4人の色の融合力。

JAZZの1曲めがこんなに濃い曲だと全体を心配しますが、しっかり次の曲で気持ちのいいロックトラックを聴かせてくれるのがQueenの持つ「最強のバランス」。実は僕は全体的に、フレディの魔術的な世界観よりブライアンのまっすぐで生真面目なハードロックが大好きです。

(JAZZ推しになっていますがJAZZが特別好きなわけではないです)

僕がとっても思い出深いブライアンの曲といえば、これ。高校3年の冬、慶應義塾大学を受験するときにずっと聴いていた「Save Me」。いろんな気持ちのときに聴いてきたQueenですが、僕にとって彼らの音楽は「御守り」「ずっと寄り添ってくれた存在」だから、この曲は僕のナンバーワン。


勇気に満ち満ちた、スタジアムライブ。

世の中はみんな、25分程度のLIVE AIDの事ばかり取り上げていますが、僕にとってQueenのライブといえば、1986年7月のウェンブリースタジアムのライブ。事実上、フレディがQueenのメンバーとして最後に行ったスタジアムツアーの模様です。是非こちらは、時間があるときに映像で見てください。

実は僕が初めて買ったQueenのCDはこれでした。僕にとって、もっとも雄弁な「We Will Rock You」「We Are The Champions」はこの時の演奏です。どれだけの勇気をこのアルバムからもらって、これまで生きてきたのだろう。

超巨大なウェンブリースタジアムいっぱいのオーディエンスに向かって、フレディが強く右手を振りかざして歌う「We Are The Champions」のカットを見るたびに、胸が熱くなり、涙が溢れます。10代の後半に彼らの音楽に出会って、未だに僕は何か特別な日の前夜にこのライブを見ています。

Queenの復活を象徴するLIVE AIDも見応えがあると思いますが、僕は2時間にわたる演奏の最後に聴かせるこの「We Are The Champions」が音楽的な原体験で、これを超える感動にはまだ出会えていません。


憧れ続けたQueenのライブ。会社員を辞めた2014年のSummer Sonicで、僕は初めてブライアンとロジャーの生音を全身で浴びることができました。冒頭の「Procession」が流れ始め、「Now I'm Here」に移るギターバッキングの時点で涙が止まりませんでした。ラストの「We Are The Champions」で舞い散った金色の紙吹雪を、今もとってあります。生涯忘れることのない時間だとハッキリ思えます。

2016年、2日間見に行った武道館のライブ。これまで合計3回彼らの音楽を体で浴びてみて思うのは、アダム・ランバートのQueen愛の強さはとても素敵だということです。アダムは僕と年齢が近いポスト世代ですが、きっと幼い頃からQueenの音楽で育ってきたのでしょう。

自分はフレディではないし、フレディにはなれないけれど、
心の底から彼を尊敬して愛しています。皆さんと同じように。

そんな意味の言葉を、この日のMCで話していたことを今でもよく覚えています。Queenの楽曲を歌い上げている時のアダムは、とっても魅力的です。僕はフレディの生歌をついぞ聴けなかったけれど、アダムに宿るフレディ愛を重ね合わせるだけで、目を閉じればウェンブリーにTripできます。

アダム、本当にありがとう。僕はQueenのボーカルが務まるのは、フレディ以外にアダムしかいないと思っています。2007年のポール・ロジャースはどうしても行きたいと思えませんでした。フレディの代わりは絶対にいないけれど、だからと言ってフレディとは違うQueenではダメだと僕は感じます。ちゃんと、フレディへの愛を持って、Queenを歌い継げる人が、アダム・ランバートだと思えます。本当に素敵だから皆さんにも是非見て欲しい。


最後に。

冒頭、「いろんな思いを入り混じらせ」と書きました。僕は2020年のライブには、とても後ろ向きでした。流行ったから、ビジネスとしてチャンスを拡大させにやってくるのか。と。

実は映画「Bohemian Rhapsody」も、2回観に行ったにもかかわらずピンときませんでした。映画の編集上どうしても時代考証がちぐはぐになる箇所はあるし、もっと内面をえぐって欲しかった。何より、僕が本当に知りたかったのはフレディの晩年のお話だった。けれどきっと、フレディ自身が「それはしないでおくれ」と言っていたのでしょう。

そんなこんなで、僕が愛するQueenが広く沢山の人の心を打つことは純粋に嬉しい反面、にわかはやめてくれ。という強い思いもあり、今の流れには複雑な心境。だから、ライブは行かなくていいかな、と思ってしまっていた。

けれど、今こうして彼らへの気持ち、自分が高校時代から今に至るまで、どれだけの勇気と情熱、そして音楽への愛、人生を全うする意味を彼らからもらってきたのかを思い出した時、やっぱりまた行きたいなと思いました。いつか、ブライアンとロジャーにお会いしたい。その時に、ちゃんと想いを二人に伝えられるよう、手紙でも書こうかな。

最後になりますが、映画が流行っていた頃、僕なりにその時聴きたいQueenのプレイリストを作っていました。僕が知って欲しいQueenを詰め込んだので、是非聴いてください。


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