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舞台『D.C.III~ダ・カーポIII~君と旅する時の魔法』その7 上演開始編

そしてついに本番当日がやって来てしまった。
舞台『D.C.III~ダ・カーポIII~君と旅する時の魔法』公演初日、通し稽古を観に行った日と同じように、僕は高速バスで都内へ向かった。
前回と違ったのは快晴だ、ということ。
あと、この日は早朝から通学路の旗振り当番の日で、さらに朝イチの小学校の読み聞かせの図書ボランティアの日と重なってしまった、ある意味「大当たり」の日だったのだ。
色々済ませて、僕は予約していた高速バスに飛び乗ったという訳だw

高速バスから見えた富士山

時期は11月、ワクチン接種が多くの人に行きわたり、オミクロン株が流行する前の、奇跡的にCOVID-19が沈静化していた時期だ。
僕も2回目のコミナティ筋注を9月に済ませており、家族からの許可も出て、ある意味ほっとした気持ちで東京へ向かっていた。D.C.Super Live IIがパンデミックが本格化する前に決行できたことも含め、僕は割とガチ目に枯れない桜の軌跡に感謝していた。
あるね、魔法は。まあ、何をもって魔法とするのかは人によるとは思うが。

ゲネプロも観たかったが宿のチェックインなどもあり、時間の都合で諦めた。
何より僕は初日、初回が好きなのだ。
小劇場なら最前列 or 桟敷のドセンで観ているところだ。
流石に今回はそんなことはできないが。

都内に到着した僕は、まずは予約していた宿に赴いた。
東京在住時に最後に住んでいたエリアの近辺のビジネスホテルだ。
そして、周囲を散策する。ひょっとしたら、この街にこのまま住み続けていたかも知れない、などと思いながら。
保育園の待機児童問題などもあり、活動拠点を地元に移したので、都内で仕事を続けていたらどうなっていただろう? というのはつい考えてしまう。
まあ、そしたらモロにコロナ禍の東京での生活を強いられることになったはずなので良し悪しだが……。

品川区のビジホにチェックインを済ませ、新橋のニッショーホール前に辿り着いたのは、開場時間よりもちょっとだけ早い時間だった。
すでに入場客が集まり始めているが、劇場の近くに腰を落ち着けていられる場所はない。搬入口などがあるならそっちから入る手もあるのかもしれないが、事前に知らされてはいなかったし、できれば普通に客として入場してみたい。なので、劇場から少し離れてギリギリまで時間を潰し、再度、劇場前へ赴き、一般の方々と同様、普通に入場したのだった。

関係者席は当然のことながら、後方だった。
座席に荷物を置いた僕は、制作さんの計らいで、楽屋に挨拶に。
女性出演者の皆様はヘアメイクなどで全員忙しそうなので、主に男性陣の楽屋で「よろしくお願いします」と。

全員集合して開演の激の際も何か言ったな。何て言ったかな?
「面白いものが書けたと自分では思っているので、どうかよろしくお願いします」
的な、そんな感じのことを言ったかもしれない。
あとはもう、演者さんに任せるのみだ。

その後、下手側の後方の座席に戻って初観劇。
初日、関係者席で僕の近くにいたのは、CIRCUSの現社長と、蜜桃まむさん。
冒頭の枯れた枯れない桜が、遠くから見ると立体的に見えるな、などと思っている内に、2時間20分があっという間に過ぎ去っていった。

劇の最中は「あ、あのBGM使って欲しかったな」とか、むしろ「ゲームのように延々とBGMを流さなくても演者さんの芝居だけでシーンがもつな」とか考えていたように思うが、まあ初回なので、気が気じゃなかったことは確かだ。

終演後、なんと、初回を知人が夫婦で見に来てくれていたことが判明しので、彼らを駅の方まで送り出し、客出し後は劇場には戻らず。感染者数が減っていた時期だけどやはりコロナ禍、必要以上の接触はしない方がいいだろう、ということでこの日はそのままビジホに戻ることに。

いただいた舞台D.C.IIIのスタッフTシャツとD.C. Super Liveのシャツ(ビジホにて)

そこからだ。SNS時代の凄さを感じたのは。
やはり、初日に観に来てくれた方は不安も大きかったのだと思う。
しかし、開演前のBGMで気持ちを盛り上げてくれて、そのまま芝居の世界へ没入できたんじゃないかと。
その興奮がTwitterでビシバシ伝わってきた。

特に初日の開演前と初回終了後のSNSの空気の違いが本当にすさまじく、こちらも驚くと同時に興奮してしまった。
「予想の何倍も良かった」「舐めてました」「公式からこれほどまでにしっかりしたD.C.IIIの供給が受けられるとは」「皆、安心して初音島に来い」
勿論、D.C.ファンの多くは生の演劇というものに馴染みのない方が多いと思われるので、演劇そのものの魅力も加味した結果だと思うし、「あまり期待していなかった」が故の高評価だとは思うが、それでもここまでの好評具合は想定外だったかも知れない。
僕自身、公演前は不安でいっぱいだったのだが、この反応の数々を見て「これは、これから来るお客さんに対して、ちゃんと自信を持っておススメしないとダメだ」と改めて背筋を伸ばしたのだった。

翌朝、ホテルをチェックアウトした僕は、マチネ公演までの時間潰しに五反田および戸越銀座からの武蔵小山を散策。
それから気分も新たにニッショーホールへと向かったのだった。

二日目のマチネは、中央の後方(前日よりはちょっと前)で観劇。
初日より落ち着いた気持ちで鑑賞。
この回はD.C.IIIをよく知る人がどのような気持ちで観るのか、想定していたフロー通りに感じてくれるのかを確認しながらの観劇となった。

・客入れのBGM、前口上、リッカの夢、初音島編の導入と順当に作中世界へ
・校門、制服姿のジルの登場に、さまざまな可能性を考慮
・コメディで引っ張り、疑問はともかく作品に集中させる
・ジルのエコーボイスで、観客の想定を一旦破壊。風見鶏編へ
・しばらくは清隆、姫乃と同じ気持ちで風見鶏編を楽しんでもらう
・と同時に幕間で風見鶏編に存在しない彼女の異世界転生譚を楽しんでもらう
・観客と葵のみ真相を知っている状態。観客は葵と共犯者
・タイミングは違うがリッカ暴走までのストーリィを順調に追わせる
・どんでん返し。観客や葵の知らない物語へ突入
・最大のピンチ、切り札の意外性
・そのまま最後まで駆け抜けてエンドロール
・最後は立夏のメインヒロインっぷりをわからせて終了

大体、想定通りの感情の流れになるのではないかと確認。
ネット上の好評に関しても、二日目のマチネ開演前に市村さんが役者たちに「まぐれ当たりではない。狙って当てたホームランだから自信を持っていい」と激を飛ばしていた理由がよくわかった。
唯一、想定しきれていなかったのは、コロナ禍により観客が声を出せない状況であるということ。冒頭の「自称睡眠中のシャルル」が第4の壁を突破するところのみ「客いじりパート」があった(ちゃんと起床してからは第4の壁は見えなくなる)のだが、そこは観客も反応しづらかった模様(これはリピータのお陰で、楽日までに「拍手」という暗黙の了解になってくれた)。

ちなみに二日目のマチネ公演は、ミルノ純さんとブシロードの堀井氏が観に来てくれていた。このご時世じゃなければ打ち上げなどでいろいろな人と話ができたんじゃないかと思うと残念だが、客出しの際に、新田さんのマネージャさんとも話をすることができたし、千秋楽までに多くの方が観に来てくれるといいな、と思いながら劇場を(そして東京を)後にしたのだった。

本当は残りの公演も観たかったわけだが、拘束されているわけでもなく、別に僕が常駐してもお賃金が発生するわけではない。仕事も抱えているので、千秋楽の配信を唯一の楽しみに、地元清水を目指したのだった。

コロナ禍で高速バスの本数が減っていて、バスタまで行ったのに帰りのバスが無く、結局戻って
今回も新幹線で帰った、というのは内緒であるw

……次回は配信編、かな?


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