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ヒトゴト

帰りの飛行機18K窓側
大気圏
雲との境
地上の生活のあまりにもの遠さ
爆弾をボタンひと押しで
落としてみたら
どうなるのか
デジタルの映像や空想でしか知らない
爆破後の世界
実際は知らない世界
本当はどうなるのか
暴走する好奇心
飲んだくれのときも
ただ自分だけは
高く遠くで世間を眺め
関わる日常を焼き尽くす
その一杯に手を付けることは
そのボタンを押すことは
神のようにふるまうことだ

つい、ついさっきまで
帰りを待つ家族をおもいつつ土産を選び
いま今日を共にした友と
記念のブローチを選び分け合い
保証のない再会を胸に別れを惜しみ
旅先での人々の生活に助けられ
お互いさまのやりとりは
もうぬくもりさえも残さないのか
狂気とは現実ではなく虚偽を信じてしまうこと

唾をのみ鼓膜がきしむ
やっと着陸に差しかかるころ
日が沈み
眼下に街の灯りが浮かびあがる
やっと正気が戻るのか

好奇心も暴走する
飛行して見下ろすと
征服欲に満たされる
ある種のユーフォリア
決して自力で飛んでるわけではないのに

ステップ1
「思い通りに生きていけなくなった」のは
決して
空の上、遠い何処かから見下ろした
ヒトゴトのような人生
ではなく
自分に関係する人生、関わりのある生活が
自分の酒で
ままならなくなっていると認めること
なのだろう

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