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【お絵描き雑記】ラフの方が素敵問題について

 こんばんはこんにちは、アラ明日です。

 今回は「絵を描く人あるある」問題について考えていきたいと思います。
 なお、この文章は主に「漫画やアニメ系イラストのように線画が主体となる描き方」について書いています。リアル系やフンワリ系のイラスト・漫画には必ずしも当てはまりませんのでご了承ください。


ラフ下描きがよく見える現象

 あるあるですよね。私もあります、ありますとも!
 この現象の原因について、私は2つほど説を聞いたことがあります。

脳内補完するから

 まず、これですね。
 人というものは不完全なものを見た時に、脳内で足りないものを補完したり、多過ぎるものを取捨選択して見ることが出来るそうです。
 つまり、ある程度のアウトラインがあれば、勝手にその人なりの最適解で見て頂くことが出来るということです。

 特に、ラフは線をたくさん引く人が多い印象があります。
 そこから人によって最も良い線を抽出して見ている、ということですね。ペン入れをしてしまうと、この線が整理され「何か違う」の感覚に繋がるとのことです。
 つまり、ラフの状態なら多くの人のストライクを内包しているのに反して、清書した時の線はストライクゾーンが狭まるってわけです。例えば、太腿のラフの線を見た時に細い脚が好きな人はその内側の線で見ており、肉感ある脚が好きな人は外側の線で見ているけど、清書して真ん中で線をまとめたら健康的な脚がストライクの人にしか響かない、みたいな。変な例えwww

 あれですかね。「マスク美人」って、マスクの下を勝手に美しく想像してしまうことから起こる現象ってやつと、同じ原理じゃないでしょうか。
 自分、マスクしてても美人に勘違いされたことも若く見られたこともないですけど。何なら逆に老けて見えるわ。(激しくズレた)

情報量の差

 ラフや下描きというのは、アナログであれば鉛筆シャーペン・色鉛筆や蛍光ペン、デジタルであれば太めブラシ的な輪郭があまりハッキリしない線でザクザクと描いていく方が多いのではないでしょうか。

 ちなみにアラ明日は全編シャーペン派です。学生時代、水色や黄色の色鉛筆とか蛍光ペンで描いて、消しゴムをかける工程を省く、という友達もいました(黄色や水色は30〜40年前当時、白黒印刷・コピーに出ない色でした)が、私はペン入れの時に何だかハッキリ見えなくて上手く描けなかったため、取り入れませんでした。
 ただ、消しゴムかけの工程は私も省きたかったのでトレース台を買いました。中は蛍光灯だと思うのですが、30年ほど経った今も現役です。そろそろ買い替えたいな、とは思ってますが、まだ使えるので使ってます。

 太めの線でザクザク描いてあると画面に対する情報量が多いため、それだけでイイ感じに見えてしまうらしいです。

 人は勝手に脳内補完するラフなどの方が情報量が多い、この2つがラフや下描きの方が良く見える原因なのだそうです。本当かどうかは知りませんwww

解決方法

 さぁ、では、これを解決していく方法を模索しましょう。
 原因は分かっているので、それを逆手に取っていきたいと思います。

1.脳内補完させるままにする

 一番直感的な方法です。
 つまり、ラフや下描きの良い感じな時点、それを無理に整えない方法です。

 何を馬鹿なことを、と、仰るなかれ。

 名付けて「アマノ作戦」です。ヤシマ作戦じゃないです。
 そう、巨匠・天野喜孝先生の絵柄を思い起こしてみてください。キャラの主線は、フワフワした線が幾重にも重厚に重ねられているのです。(ただし、鼻梁と輪郭の線だけはスッと1本で美しい線です)更に、細かいパーツは何がどうなっているのかハッキリしなくても何となく伝わってきますし、とても繊細なので見応えがあります。機械と人間もしくは動物などが有機的に結び付いているかのような世界観も魅力的です。

 とは言え、真似をしたからといってあのアーティスティックな絵になるわけではないことは、肝に銘じておかなければなりません。

 あと、天野先生も勤め人時代のキャラクターデザイン(タツノコプロで、タイムボカンシリーズやみなしごハッチなどのキャラデザをやっておられました)はしっかりした主線を描いておられました。やはり、基礎あっての崩しではありますね。

 でも、1つの方法なのかな、とは、かなり真面目に思っています。カラーイラストでは特に有り寄りの有りな方法ですよね。

2.最適解を間違えない

 次は、一番算数に近い方法です。

 アマノ作戦は、いわば国語、それも小論文です。条件に沿って何か書いておけば、とりあえず10点中2点は最低でも点数が貰える、けれども満点を出すには奥が深い、ってやつです。

 次に提唱するのは正攻法、かつ明確な答えがある方法です。大多数の人が思い描く最適解を抽出してペン入れする、ってことです。そう、上手く描くってことです。


  出来るならやっとるわー!!


 次行こか。
 あ、一応、このために5分間クロッキーとかやってます。努力してないわけじゃない。

3.情報量を減らさない

 情報量が減ることで「何だかなぁ」に見えるというのなら、情報量を減らさなければ良いんです。
 さいとうなおき先生の動画でも紹介されていた方法です。一言で言えば「線を太くする」のが効果的だということです。
 百聞は一見にしかず。ここはさいとうなおき先生の動画を紹介させて頂きます。

 超有名な方の超有名な動画なので「今更」という方も多いかとは思うのですが、何故線を太くすると良く見えるのか、という理屈についても解説してあったので素晴らしいと思いました。

 ちなみに、この動画の中にラフの方が良く見える上記の2点とはまた別の理由について語られていました。「ラフの時にあった雰囲気を置き去りにしている」とのことでした。

 この解決策としては、デジタルの方は時々清書のレイヤーを消してラフを確認する、アナログの方はコピーなどして横に置いておく・スマホで写真に撮って見ながら描く、といった方法が紹介されていました。

 ちなみに、私はアナログですがトレース台を使って別紙に清書するタイプなのでデジタルの方にここは近いかも知れません。ラフ・下描き・清書、と、1枚の絵に対して最大3枚出来てしまうので、いつもラフと下描きを捨てるかどうか悩みます。※ほぼ捨てません。可愛い顔とかあるから。カラーになるとこれに更に2枚ほど増えますwww

まとめ

 自分でも、これは確実にネームの方が良かったわ!って思っている漫画のコマを晒して終わろうと思います。
 特に左のキャラが。右もネームの時は剣呑な顔付きにしていたのですが、左と一触即発感を出したくてギラついた目の感じに変更しちゃったんですよね。

これがネームの絵
左・下描き、右・清書(薄墨前)

 これはさいとうなおき先生の言うところの「雰囲気を置き去りにした」例だと思います。
 線の情報量とかに関しては、元々あんまりたくさん線を描かないタイプかな?と思うので、そこまで違いはないかも…ですが、自分じゃない人が見たら、そうでもないかも知れない。

 そう言えば、私はネームにもわりと簡単な絵を入れてしまうタイプです。マル頭に棒手足の人の方が多いんでしょうか?

 プロの漫画家さんの中には「下描きとして使うので、ネームから全部絵を入れてしまう」という方もいらっしゃるようです。YouTubeで見ました。
 ネームが通らなかったら、描き直しするらしいです。でも、多分、あまり通らないってことがない方なんでしょうね。

 私がネームから絵を入れるのは、そっちの方が描いてて自分が楽しい&繰り返し読んでも飽きないのと、可愛く描けたらそれこそ下描きにも流用するからです。
 プロはスピード重視でしょうが、アマチュアは楽しい方が良いですよね。お粗末様でございます。

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