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【お絵描き雑記】パクリ、トレース、模写、模倣

 パロディ、オマージュ、リスペクト、そして天上天下唯我独尊。


 こんばんはこんにちは、アラ明日です。

 またもや荒れそうな話題でやっていこうと思いますがよろしくお願い致します。タイトル画像、お借りしました。
 早速表題についてですが、パクリ疑惑、トレース疑惑、まとめてパクトレ or トレパクなんて言ったりもしますね。


パクリ(模倣)

 今や全国区の言葉ですが、初期の頃は主に西の方で使われていた言葉のように思います。一説には「捕縛」の意味の「縛る(ばくる)」から来ているという説があるそうです。
 「これ、パクってきた」と言えば「これ、盗んできた」の意味。「あいつ、パクられやがった」と言えば「あいつ、警察に捕まった」の意味。「パクる」という言葉は「盗む」「捕まる」という意味で使われます。

 転じて、創作界隈では「盗作」のことを指します。昨今では何を見ても「これ、あれのパクリじゃん」って言われているような気がします。この原因の一つはネットの普及によって水準とされる知識・認知レベルが上がり、そもそも知識を得ることに貪欲な創作クラスタだけではなく、読者の方にも元ネタを知る人が多くなったという理由があると思います。
 とは言え、古今東西を問わず、創作というのは神話の時代から何かしらの影響を与え合って成立し合ってきたのではないかとさえ思います。ギリシャ神話とローマ神話なんか名前違うだけだしさぁ、地域的にも言うたらお隣ご近所なわけやし当然っちゃあ当然なわけですけど。面白いのは、距離的に離れた日本神話と聖書が似てるってやつですね。どっちが先でも良いですけど。
 そんなわけで「アイデア」の「転用」を「パクリ」と言うのは、ちょっと違うんじゃないかな、と私は思うわけですが「明らかに著作権が有効な状態(作者の死後70年以内)の作品をそっくりそのままほぼ同じ状態で『私の作品です』と発表した場合」は著作権侵害であり盗作と認定されます。これについては、明らかに犯罪です。
 また、著作権が切れていたとしてもあまりにも芸のないパクリをしては、今の時代は冷ややかな視線を向けられてしまいます。これについては「オマージュ」や「パロディ」にまで落とし込む技術と上手な提出の仕方が必要なのかと。また後日記事にしたいと思っています。

 さて、イラスト界隈で問題になりがちなのは「絵柄」のパクリ。これについては「トレース」でない限り、厳密に言えば「盗作」とは見做されません。
 絵柄が似ていたとしても、どこまでが「似ている」と言えるのか、主観的な問題であることが多いからです。

 例えば、某有名海賊漫画の漫画家さんの絵柄と某妖精の尻尾(要翻訳)漫画な漫画家さんの絵柄が似ているという話題が一世を風靡しました。一部では師弟関係であるとか親族であるとかはたまた同一人物の別名義であるとかまで噂は飛び交いましたが、その実は、ただ単に絵柄が似ているだけの赤の他人です。お二方とも名実共にビッグになられて最初の頃ほど絵柄は似通っておらず、それぞれの作風・画風を確立しておられます。

 絵柄が似た理由としては、共に同世代であり影響を受けた漫画家さんが同じであることが挙げられます。
 私自身もたまに「似た系統の絵柄の人」にピクシブなどで出くわすことがあります。きっと同世代前後なのだろうなぁ、影響を受けた漫画家さんが似てるんだろうなぁ、と思いながらホクホク読ませて頂いていますが、決してパクリではなく、初めてお目にかかる相手であることがほとんどです。お相手の方にしても、私なんぞ知る由もないでしょう。
 このように、似ているからと言って一口に「パクリ」とは言い切れないのが現状です。

 どこまでが「パクリ」と言えるのか。
 大変にグレーなゾーンであり、商業的創作活動が一部の特殊な人達のものであった60年ほど前と比べると、猫も杓子も創作出来るほど敷居の低くなった現代では「アイデアの転用」すらも気付いた人達から「パクリ」として明らかに厳しい目を向けられるようになりました。(ですので、行き過ぎた糾弾もあるように見受けられます)

トレース、模写

 他所様に最も迷惑をかけがちな問題行為、それが「トレース」及び「模写」です。言うなれば、コピー行為です。
 盗作として認定され、差し替えられることもたまにあります。世間でのケースだとポスターなどに多い問題です。賞の応募受賞作品が後にトレースもしくは模写と判明して取消になっていることも儘あります。

 トレースとは元絵の下から光を当ててそっくりそのまま写し取ること(デジタルの場合は下のレイヤーから描き写すこと)で、トレース元と重ねると線が合うことが特徴です。例えば、キャラクターの衣装を少し変えたとしてもキャラクターのポーズの線がほぼ重なれば「トレース」と認定されます。
 模写は基本的には横などに元絵を置いて真似して描いていくことです。よくテレビやYouTubeなどで、著作権の問題から実際の印刷物をコピーなどして画面に表示することが許されない場合に「スタッフによる描き起こしです」などのテロップと共に表示されている「描き起こし」が「模写」に当たります。トレースと違い、元絵と重ねてもピッタリと合うことはなかなかありません。(とても上手な人の場合は無くもない)

 これが問題になる原因は、ほとんどが著作物をトレース及び模写した上で「嘘をつくこと」だと思います。
 つまり「パクリ」になるかどうかは「嘘をつくこと」が含まれるかどうか、ではないかと私は思います。

 例えば、憧れのイラストレーター(プロアマ問わず)のイラストをトレース、もしくは模写して、部分的に衣装などを変えて「私のオリジナルです」とSNSなどで発表する。これはアウトです。
 では、絵柄を真似して、何度も練習して、テイストを寄せて、自作品に落とし込む。これは? セーフです。というよりも、イラストや漫画の練習ってそもそもこんなもんです。

 ちなみに、ネット上で拾ったイラストや漫画のサイン/クレジット部分を削ったり書き換えたりして「私が描きました」は完全に犯罪ですからねwww 言語道断なので、ここでは言及もしません。

 トレースは「トレースOK」の表示がある素材集などを利用する分には問題ありません。商用利用については物に寄りけりなので該当の規約を読みましょう。
 模写には必ず「◯◯の描き起こしです」「◯◯の模写です」などの一文を添えます。文書作成において引用する必要がある、などの場合を除いてはむやみやたらとしない方が良いでしょう。

パクリによる詐称

 近年、SNSの普及によって大きくなってきたような問題もある気がします。

 「なりすまし」です。

 絵柄も、構図も、テイストも、憧れを超えてもはや本人同様に描けるようになったとしましょう。
 そこまでであれば、道義的倫理的にどう感じるかは置いておいて、有り得る話です。

 前述のビッグ漫画家さん達もさておき、例えば姉妹作家の楠桂先生と大橋薫先生などは一卵性双生児ということもあり、デビュー当時は本当にソックリだったように思えます。
 いのまたむつみ先生と橋本正枝先生も、同一人物の別名義疑惑があるほど絵がそっくりです。仲の良いご友人とのことですが。
 絵柄がソックリであるという事自体は、特に違法なことではありません。仮に法に訴えようとしても、トレースや模写の明らかな証拠がない限り、絵柄が似ているというだけで立件は難しいでしょう。

 しかし、その上での「なりすまし」となると話は別です。
 例えば、SNSアカウントを憧れのイラストレーターさんの名前で登録し、さも本人であるかのように作品を発表した場合は「詐称」「詐欺」になりますので、訴えられます。法の裁きを受けることになります。

 また、AIの台頭によってそもそも絵を描くスキルを持たない人が「なりすまし」を行えるようになって来ている問題が、最近では見え隠れし始めてきました。
 これについては、そもそもオレオレ詐欺や虚偽ポスト(ツイート)などによる犯罪を誘発する危険性が高いため、法整備が待たれるところです。(イラスト界隈で行える詐欺としては、なりすましアカウントを登録しネームバリューを利用して実際にはイラストレーター本人より少し安価に仕事を請け負うなどの詐欺が発生する可能性があります)
 ただ、AIに学習させること自体は今のところ法整備が追い付いていないため、開発者/利用者のモラルに頼るより他にありません。
 ちなみに、私はAI絵師が「AIで画像作ってます」と公言してお仕事を請け負うのは全然ありだと思っています。ただ、そのラーニング先に問題はあるかも知れないので、ひとずはリアル画像の方が現実的だとも考えています。

 人間が憧れの人やモノを真似することは違法ではないという事実を踏まえ、AIのラーニングをどう考えるべきか、難しいところだとは思います。
 まぁ、AIについての言及はここではとりあえずこの程度で。

上手くなる、の意味

 絵が上手くなりたい or 漫画が上手くなりたい、って常々思っているわけですが、でも、上手くなるってどういう意味?とかも思っちゃいます。
 現代SNSは閲覧数やハートがハッキリ明示されるので、客観的に「ウケているのかどうか」が分かりやすい構造ですよね。自分の立ち位置というものが分かりやすくて、個人的には助かっています。ピクシブもnoteも。
 で、上手い、という表現をした時に、自分が「客観的に」上手くなりたいのかどうか、という観点で考えると、今現在は圧倒的に「主観的に」上手くなりたいのだと思うんですね。
 とりあえず、まぁ「主観的に」上手くなった結果として閲覧数やハートが上がるのならそれもまたヨシ、ということで。

 実はさいとうなおき先生の「3ヶ月上達法」なんかも、やってみたいと言えばやってみたいんですよ。これは、いわゆる「ウケに行く」スタイルです。自分の絵柄を、言うなれば否定して「こうなりたい」と思うイラストレーターさんの絵柄を徹底的に「真似」、つまりトレースや模写ではなく自分の作品に落とし込んで、かつての「弟子入り」スタイルを個人的にやっていくという方法です。
 YouTubeに動画も上がっていますので、ご存知ない方はご覧になってみてください。

 で、やってみたいのはやってみたいんだけど、とりあえず「今」じゃあないな、と。

 私の場合は、とにかく今は描きたいものがストレス無く描けること、かなぁと。もう、描きたいものはめっちゃあるんですよ。頭の中はぐっちゃぐちゃです。とにかく、吐き出してしまいたい。描き上げる根気も欲しい。要領も良くなりたい。根気と要領の良さが欲しいのは、つまり自分の時間内で描き上げるのが難しいからなんですよね。

 欲しいのは、結局時間なのか。
 技術が上がって描けるようになれば時間の短縮にはなるだろう、と思ってクロッキーとかもやったけど、どうなのかなぁ。効果あったのかなぁ。(やめてちゃダメじゃん)

 そんなわけで、今一番必要なのは体力なのかも知れないと思って、今年度は体力増強計画を立てました。年齢的には増強よりもこれ以上落とさない、ってところでしょうか。

 うん? 絵の話じゃなくなりましたね?

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