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命日よりも思い出す時

『聖おにいさん』が実写ドラマ化されている。

立川のアパートでブッダとイエスがバカンスという設定がぶっ飛んでる。漫画ってスゴい、自由だ、と思わされた作品。

ドラマ化で久しぶりにタイトルと絵柄を見かけて、胸をぎゅっとつかまれる思いがしたのは、この漫画をオススメしてくれた友人のことを思い出したから。この世を去ってしまった友人のこと。

オススメはmixiのやりとりでだった。仕事の愚痴だの日々の出来事だのをつづっていた中で『デトロイト・メタル・シティ』の面白さを書いたら、コメントしてくれた。別の友人が勧めてくれたのが『きのうなに食べた?』だった。彼女は愚痴にもあったかいコメントをくれた。お父様からの手紙で訃報を知ってmixiを読み返したら、IDを途中で消していたらしく、アイコンは空白で、コメントの本文だけ残っていた。読み返して泣けた。

松本民芸館と芹沢銈介美術館も彼女のオススメで、それぞれ機会があった時に寄ってみたんだった。控えめで、大勢でいると聞き役に回ることが多いけれど、2人で話す時は、好きなものの話をたくさん楽しそうにしてくれた。

一度、何人かでお宅に弔問に行ったっきり、お墓参りにも行っていない。命日が4月というのは覚えているけれど、日にちは聞いたかどうか。好きだったフィギュアスケートの大会のチケットを取っていたという。突発的だったんだろうか。そこから先はあまり考えないようにしている。

思い返すのは、彼女の好きだったものに触れた時。それに、それが最後になった何年かぶりのランチの時で着ていたような白いレースのお洋服や、よく似合っていたホコモモラの売り場を見かけた時。

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