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フラットな職場にするためのエトセトラ

30歳で転職した職場では、誰に対しても基本、丁寧語で話すようにした。その時は一番新入りだったというのもあるけれど、出入りの多い職場で、誰が年上で誰が年下か、あるいは誰が古参で誰が新入りかをいちいち区別しきれない。知ってから呼び方や口調を変えるのはあからさまだし、いつも誰でも同じにしておいた方が安全だと思った。

新卒で入った職場で、女性の上司が男女上下、誰に対してもさん付けで読んでいたことが念頭にあった。口調もそうだけど、上下関係はまず呼称から始まる。呼び捨てか呼称をつけるか、呼称は「さん」か「くん」か。「さん」は目上と目下の女性に使われることが多いのに対し、「くん」は主に、女性が目下か同等の男性を呼ぶ時に使われる(私もその職場では後輩男性をくん付けしていた)。男性と同じように、後輩や部下を呼び捨てにする女性もいるけれど、それは同化に過ぎない。女性管理職の先駆けだったあの人にとって、皆をさん付けするのは一つの提案であり改革だったのだと思う。マインド自体はそれほどフラットではなかったけれど。

その職場には、「上司を肩書きで呼ばない」という風潮もあった。「さん」付け。それは、立場に合わせて接し方を変えるのではなく、「あの人が、今は(たまたま)このポジションについている」という認識に基づいていたようにも思う。ただ、ともすれば立場に応じた責任感や、それを求める気持ちが薄れることにつながっていたかもしれない。マネジメントという概念のない会社だったし。

職場にあるのは役割や立場の違いに過ぎず、上下関係ではないと思いたい。年長者や先輩を尊重する気持ちはあっても、見下される覚えはない。丁寧に接し、伝えるべきことは伝えるのは誰に対しても同じはずだ、と。でも、往々にして「下」の人間だけがフラットだと思っているから、ハレーションが起こる。


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