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”ナンバー1でなく、2番や3番でいたい【恋人に振られて】

そういえばこの前、恋人に振られた。恋人というより、「恋人のような何か」に振られた。

言葉足らずで、付き合ってるような関係に思えてたが、そうでなかったらしい。

え?

どうやら、自分の中でのみ恋愛関係として見なしていたらしく、相手からすると、別れたという感覚すらなかったとのこと。

え?一緒に住むみたいな話してたのに。え?

なんてこったい。元々なかったものを僕は失ったらしい。無の消失。僕は何を失ったんだ?

ともあれ、今回の件や、今までの経験を踏まえ、「やっぱり依存も共依存もほんとによくないな」と改めて自戒したのでこれを書く。

「すごく好き」と言い寄られて、いい気になってしまってた。依存しあうような、互いの好意に互いが甘える共依存の関係はハッキリいってゴミだと思う。

□1番を作ることは依存すること

誰かの1番になることはとても重要なことだといつも思う。テストで1番を取ることも大事なことだ。それは間違いない。

ただ、正直、僕は誰かの1番になるより2番や、3番であることがいい。そのほうが心地よく、大きな損失が生まれない。

恋愛に限らず、様々なことでこう言える。

これはある漫画家も言っていた話なのだけど、「ぼくは1番を目指していないんです。1番になってしまうと、急激な熱が入ってしまって、それが消えた時に一気に人気が落ちるから。」とこう語っていた。

(週刊連載のマンガは毎週アンケートが収集され、その人気投票で存続が決まるのです。)

この理屈が自分にもよく当てはまっていて、誰かの1番になりたいとあまり思っておらず、フラットにいたいと考えている。

その理由は、「なにか1番を作ってしまうとそれに依存してしまうから」だ。

□アンチは元々熱烈なファン説

1番であることが悪いほうに作用してしまう話の例としてアンチの話をします。

”アンチは元が熱烈なファン”という説は昔からよく言われているが、多くのアンチのシェアを取っているのはその層だと思っている。
中にはただ人をバカにするのが好きなものもいるが、アンチのほとんどは批判対象のことをよく知っている。

愛憎がこんがらがってしまった人がアンチの中には多くいるのです。

過激なファンは、他者に対してとても攻撃的なことがある。たとえば好きなアーティストに対して軽い批判をすると、「そんなこと言うのはファンとしてどうなのか!」など。グッズが転売されているのを見た時に、声を荒げて「ありえない!!ファンとして悲しい」と言っている。

アーティスト第一主義というより、ファンの意見を第一主義になってしまってる気がする。

批判ではなく、個人の意見だとしても、攻撃。もともと転売目的ではなく、金銭的にどうしても必要だから売ったからなんてことはお構いなしに攻撃。他人の背景を考えることはせず、攻撃をする人たちがいる。こうしたファンは確かにアーティストを尊重している者たちである。しかし、視界が曇りすぎている。のっぴきならない事情があるかもしれないのに、他人を攻撃することでファンとしての感情をまっとうしようとしてる。

全ての熱烈なファンがそういうものではないが、大きな声を荒げる人がファンの質を下げてることはとても悲しい。

□すごく好き、猛烈な好きは刹那的な感情でしかない

つまり、猛烈な好意というのは熱すぎると冷めてしまう。愛憎と先に書いたように、くるっと回すと愛は憎悪に変わってしまう。

「猛烈な好き」の感情は、ちょっとひっくり返すと、とんでもない悪意に変異するのだ。

猛烈に好きだったものが、なんで好きなのか今はわからないこと。
感情や力を精一杯注ぎ込んだのに、上手く行かずに、好きが憎悪に変わること。

こうした感情の翻しは、強すぎる憧れや労した時間などに比例して起こってしまう。だからこそ1番であることはとても危険で、怖いものなのだ。

□2番、3番であることは縁の下の力持ち 裏切りにくい

自分はそこまで他人に対して深入りしない。というかできない。いやもちろんする人もいる。が、大抵の場合はフラットに接するようにしてる。

だからこそか、人の愚痴や文句をよく聞く立場にいることが多い。あまりにも理不尽に聞きすぎると「ゴミ箱なのかな自分は」なんてこともたまに思う。

そんなことを思うけど、愚痴や悲哀の感情の起伏を自分にぶつけてくれることはとてもありがたい。なんせ人の愚痴は面白いから。

「なんで怒っているのだろうか?」「どうしてそこで悲しくなったのか?」の理由をほぐす感覚が楽しいので、人の感情の高ぶりを聞くことは自分にとっては面白くとても興味がある。人の心理はいつも最高に面白くてエンタメ。

どうでもいい「お腹痛いわ...体調悪いわ... いらつくわ...」なんていう話より数倍面白い。人ひとりの感情が動いている様を聞くのはとてもおもしろい。

こうした縁の下の力持ちのような力関係をあらゆる人と結んでいる気がする。
だから、僕のことを1番に考えてくれてるとそう思われてしまうと、それが壊れた時にとてもつらい。1番に人から好かれたい心理は自分の根底にある気がするが、実は別にそこまで欲してるものでもない可能性が高い。

だからもし、そう1番に思ってくれる人がいたとしても、心の中に秘めていてほしい。でないと、それに依存して、1番であることを理由に論理を飛び越えた感情で余計なものを迫ってしまうからだ。

□就活のジレンマ

少し話が逸れるけど、フラットな感覚というのは、就活などでも役立つ。

最近、転職活動をしていて思ったが、就(転)職活動も、企業に対してフラットになればなるほど上手くいくと思う。

今はもうないと信じたいのだけど、一昔まえの就活は「御社が第一志望です」と言っている学生をよく見た。当時も今も「ホントかよ」と疑心暗鬼に思っている。もちろん第一志望が本当であればよいのだけど、「そんな嘘つき大会になんの価値があるのか」と未だに思う。

ほんとにそこが1番なのか?なぁ諸君。よく考えてみてよ。

取り繕うことは必要だが、嘘までつく必要はどこにもない。

よっぽどインターンや先輩の働きっぷりをみて、具体的な働く姿が想像できているのなら別だけど、第一志望であると心から言える精神は自分にはない。**だって、やってみないとわからないでしょう… **

とそんな具合で嘘は付かず、業界や職種に対する理解を深めた上で転職活動をすると、円滑に選考は進むことが多かった。働くイメージを膨らませて質疑応答すれば、わざわざ第一志望であるなどといった嘘は付かなくてよい。

□ゆるやかな1番2番3番を

相対的な1番を決めてしまうと、それに依存してしまう。その全てを愛さなきゃならないような強迫観念のようなものにも駆られる。でも、好きの感情はひとつに向けすぎると壊れる。だからゆるやかな1番を作ることにする。

たとえば5角形のパラメータを考えてみる。よし、例としてこれを中学生の五教科に当てはめてみよう。数学・国語・理科・社会・英語。

このパラメータを他人へ当てはめる。優しさ・性格・相性。まぁなんでもよい。
もちろん全てのグラフがマックスな人が1番なわけだけど、そんな人そうそういないので、それぞれの良さが見えてくる。みながみなゆるやかな1番になれる。
「この分野ならこの人であると思えるものを探す。」それも結構曖昧な定義でいい。この辺はあの人〜と感情のさきっぽをいろんなところに垂らすくらいで良いです。

世界に一つだけの花みたいな話になってきたけど、気持的にはいろんな人がオンリーワンでいいことは共通している。ただ1番としてみるんでなく、「この辺の分野はあのひとたちが強い」くらいにゆるやかに見ることが大事。

□いつもフラットに。たまにイビツに。

1番であることを意識せずに、いろんな事象や単位にフラットに感情を置けると円滑にものは進む。ただ、別に「感情を殺して、冷めて生きていけ」なんてことは微塵も思わない。

熱烈な思いが脳みそを揺らす瞬間は人生に何度もあって、そのたびにそれらを殺す必要はない。刹那的な強い思いはとても大事なもので、感情が動く時ほど生きていると実感することはない。そうした感情は大事に名前をつけて、保存してたまに見返すとよいんです。

「あぁたしかにここに熱があったのだ」と、自分の感情を見返す材料になると、感性は死なずに育ってゆくと思う。

1番を目指すことは悪くないが、それだけに囚われると、どんどん視界が淀んで、思考が狭まっていってしまう。

「夢中になって続けたものが1番になっていた」それくらいのスタンスで打ち込めばいいと思う。そこの感情が逆転したらメンタルブレイクの一歩目になる。

誰かの1番になることもそう。誰かの1番でなくても、その人の中の大切な一人になれたらそれでよいと思う。人にランクをつけることがそもそもおこがましいので、震災時に会いたくなる人トップ10!などを考えたときのうちの一人にランクインしてくれると嬉しい。

一度なにかに依存してしまった手前、たまに寂しくなったりもするけど、自分が一人の人間に依存することを好まない以上、依存されることもたぶんとても苦しいのだ。ハンバーガーがおいしいと思ってしまった以上、やっぱりたまに食べたくなっちゃうのが人間です。

「1番になりたいけどなりたくない」そんな二律背反を背負い込んで、フラットな感情とイビツな感情をいい塩梅で融合させて、たまに配分が狂っちゃいながらも、もがきながら生きていくのです。

フラットに熱烈に好かれたくて、好きでいたいなとわがままに思うのです。

ただ2番や3番も実は1番に勝るほどの利点かあることを頭に入れておくと、どんなことがあっても幾分か気分が楽になれます。頭の片隅にでも置いておいてくださいな。

それではまた。

(ライター | 文筆 | Webデザイン)言葉とカルチャー好き。仕事や趣味で文章を書いてます。専攻は翻訳(日英)でした。興味があって独学してたのは社会言語学、哲学、音声学。留学先はアメリカ。真面目ぶってますが、基本的にふざけてるのでお気軽に。