ネイルの話

あ、除光液買わんとだった。

ネイルと関係小物を収めているケースを引き出しながらつぶやく。幸いにして思っていたよりは残量があったので、予定通りモーヴピンクのペディキュアを落とす。

サンダルを履くことが多いこの季節、足の爪元は乾燥して白くなっていて、本当はネイルオイルで保湿ケアしてからの方が綺麗に塗れるのは分かりきってるのだけど無視する。


昨日は友達の誕生日だった。
彼女の更新頻度の高いインスタのアカウントには誕生日の数字が使われていて、恋人との同棲写真がストーリーズに載るたびに昨日の日付を意識していた。
出会って半年、同棲して1ヶ月、相手の親御さんとの交流も始まっている様子が伺えて、誕生日がプロポーズエックスデー、というのが本人および
友人連の見立てだった。

夜遅くになって、顔を寄せ合う2人の写真とディナーとプレゼントの写真が上がった。
日付が変わってしまう前に、探るように誕生日を祝うLINEを送った。
朝になって帰ってきた返事は「ありがとう!これからもよろしくね」

簡素だった。
多分、期待したようなことはなにもなかったのだ。


まだ職場が同じだった頃に一緒に買い物をしたとき、店頭で買うかネットでポイ活しながら買うか悩んだとき彼女はこう勧めてくれた。
「今買えば、私と遊んだ時に買ったネイルになるよ!」
その言葉がいま、特別に私にこのネイルを選ばせている。
ピーコックグリーンが艶やかに大きな親指の爪を彩る。
どうか彼女があまり落ち込んでいませんように、という祈りを込めて。

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