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「勝利への道」の道【カービィWiiDX1周年】

はじめに

早いもので『星のカービィWiiデラックス』が1周年を迎えた。

さて、みなさんは「『星のカービィ Wii』を代表する楽曲といえば?」と訊かれれば、大抵「スカイタワー」か「CROWNED」と答える。
次点で「ぼうけんのはじまり」、「彼方からの旅人マホロア」、「4人の仲間と:クッキーカントリー」辺りか?

しかし、『星のカービィ Wii』のBGMの根幹として最も欠かせないのは「勝利への道」であろう。GC時代から存在しており、あの「スカイタワー」の対として作られた楽曲である。

「スカイタワー」に没ver.が確認されていることを踏まえるとGCから変わっていない「勝利への道」こそが制作順的には原曲である可能性も高い。カービィシリーズの転機を象徴する1曲である。

今回は「勝利への道」の道を振り返っていこう。なお、主観と各作品のネタバレを多大に含むので注意。

Kirby for Nintendo GameCube

E3のPVで流れていた。長らくこれのみが本作の判明している楽曲だった。どっかから流れた映像で「どうくつたんけん」(WiiDXでの曲名)もこの時期からあったことが判明しているが、まあGCカービィの曲といえば「勝利への道」だったといえる。25周年ニコ生で、同じステージが荒らされる前と後で対になる楽曲を使う計画があったことが判明。その荒らされた後が「勝利への道」、荒らされる前が「スカイタワー」だったのである。この対関係が後々熱い展開を作り出すのである。

星のカービィ Wii

先述した通り、各曲にフレーズが組み込まれている。実際の「勝利への道」も「格闘王への道」で使われている。まあこの段階だとGC版から待ってた人が嬉しかっただろうなと推測できるくらいしかない。自分はGC版の存在を後から知ったので、「スカイタワー」などと同じ共通フレーズを使っている楽曲くらいの認識だった。

主なものだけでも共通フレーズ使用だけでこんなにある

星のカービィ 20周年スペシャルコレクション・トリプルデラックス・ロボボプラネット

順にVS マホロアステージの説明、6-8のビッグバンボスラッシュの前、カビハンのボス戦。「格闘王への道」で使われた前歴を基にボス戦関連の曲として使われたくらいのノリだろう。というかこれで調べて気づいたけどこの時期の「星のカービィ」には全部使われてたんだな…

その頃「スカイタワー」もこの3つ全部でアレンジなり原曲なり使われている上に、タチカビSRにもアレンジ収録されたりオーケストラ演奏されたりしており、こちらはまさしく表立ってカービィ新時代の代表曲としての地位を築き上げつつあった。

星のカービィ スターアライズ(初期ver)

フレンズヘルパーのシステムがGC版のリベンジとファンを沸かせたスターアライズ。ついに「勝利への道」も勝利への道としてアレンジ。

一つ目のアレンジ「夢をかなえるしんでん」は、原曲に比べて明るい雰囲気のアレンジ。歴代作品のキャラがフレンズとして集う場の曲名として相応しく、その内容が勝利への道というかつてのファンの夢を象徴するような楽曲なのも感慨深い。

二つ目のアレンジ「ナゾトキ銀河」は正当にチップチューンアレンジ。「ナゾトキフレンズ」がルームガーダーのアレンジだったので、その流れを汲んでボス曲というところだろうか。

その一方で、この段階では「スカイタワー」は原曲もアレンジも影も形もなかった。珍しい一方で、後の展開を考えるとむしろ意図的に外していたのではとさえ思えてしまうがそれを知るのは開発チームのみである。

スターアライズアップデート

第一弾アップデートで陸海空、マルク、グーイが増えるのを楽しみにしていたカービィファン。ところが、当日になって彼らを待っていたのは衝撃の展開だった。

「なんだこの曲!?」なんかバルフレイナイトが新曲を引っ提げていた。この瞬間よりカービィファンのアプデ待ちにはどのような楽曲が来るかというのが含まれていた。

そんな中ついに最終アップデートが発表。俺はこの発表日テンションが上がりすぎて警察の世話になったのを鮮明に覚えている。坂道で自転車でコケて動けなくなったところを近くに交番があったおかげで助けて貰ったのだ。

その中にはマホロアの襲来も含まれており、タランザ・秘書スージーと並んで妥当すぎるが故にまとめて発表したのではとさえ思えた。。

陸海空のクラウディパーク、アドレーヌリボンのリップルスター:ステージセレクトの流れがあったので、自分含め「今回はマホロアがこの枠でスカイタワー使うんだろうなー」というなんとない雰囲気があった気がする。

満を持してやってきた当日。マホロアVSバルフレイナイトとして用意された「覇王戴冠~OVERLOAD~」を夢啜る~! 殺すぞ~!お馴染みのCROWNEDの中には、スカイタワーどころか大量の『Wii』の終盤に関わる曲までもが入っておりさすがの我々も聴き入ってしまいました~!ちなみに、耐久性が低すぎてすぐに死んでしまうチョウチョくんが時間停止(ポーズ)されている様子はぜひサブチャンネルをご覧ください。

さて、大方の予想通り「スカイタワー」が入っていた。しかも「勝利への道」とセットである。私はここに大いなる意志を感じ取らずにはいられない。
ヘルパーを実現できなかった『GC』で対関係として生まれた2曲が、その流れで作られた『Wii』を通してシリーズを繋ぎ、遂にヘルパーを実現した『スターアライズ』でセットとして世に出たのである。

スーパーカービィハンターズ

数々の名ボス曲をリミックス収録した本作において、「勝利への道」もその一つとして選ばれている。この時タランザとスージーのバルフレイナイト曲も対象だったが、マホロアは(合致するシチュエーションのボスがいないのもあるだろうけど)含まれなかった。

星のカービィ ディスカバリー

シリーズの一新を図った感のある本作では、レギュラーキャラのテーマくらいしか過去曲アレンジを組み込まず、流用も「かこのぼうけん」(とメタナイト戦前の風の音もスタアラの流用という噂がある)くらいだったので長らく「星のカービィ」皆勤を維持していたこの2曲もついに収録されず。

しかし、「戦えアルティメット」及び関連曲になんとなーく似たフレーズや曲展開が含まれている。イントロはなんとなく「必殺!スーパー能力」っぽいしサビは「勝利への道」のBメロっぽい部分がある。「戦えアルティメット」と「決戦のアルティメットZ」のどちらが先に生まれたかは不明だが、前者だった場合下岡氏の作曲ということになるので、偶然似る可能性も少なくなる。

3Dカービィを模索した時期のあるGC版とのリンクを感じさせるといえばさせるが、真相は不明。

星のカービィ Wii デラックス

とりあえず発売前からスカイタワーはなんか結構押し出し気味だった。初公開時のちょっとした流れないスカイタワーの時点で「今回音調整入った?」的なことを言い出してた人はいて戦慄したような記憶はある。そして実際調整は入っていた

まあというわけでストーリーモードの範囲ではまあ原作と変わらない使われ方であり、むしろクリアしてからのおたのしみの部分で変化があった。

あるシーンで「覇王戴冠」も使われていたが、こっちの凄ポイントはスカイタワーとか勝利への道とかの話とは別方向なので今回は

貼ってから気づいたけど「触」間違えてる。漢字変換社会の末路。

ここで触れるのは「ココロ知ル喪失ノ航海ヘ」。マホロアエピローグの実質的な最終ステージ曲である。

前提としてマホロアエピローグのステージはストーリーモードのレベルを基にしており、楽曲もそのエリアの元になったレベルの楽曲を組み込んでいる。最終エリアはこの時点で残っていたナッツヌーンとエッガーエンジンズを混ぜたエリアであった。

発売前から自分はリメイクに際してスカイタワーと勝利への道の対関係を拾って欲しいと願望し、拾ってくれるだろうという予想もしていた。その中で歴代レベルをモチーフにしたステージが出る「マホロアエピローグ」が発表されるといよいよその期待は高まり、そして先述してきた楽曲の流れがあったため、いよいよ「ナッツヌーン=スカイタワーの裏曲としての勝利への道」を使う展開をやりそうな土台が整っていた。

そして、彼らは本当にやってくれた。「ココロ知ル喪失ノ航海ヘ」は発売前からその名称でカービィクイズベタ問に上り詰めていた「断罪のマルスプミラ」と「勝利への道」を中心としたメドレーだったのだ。GCから約20年近くの時を経てついにスカイタワーの暗いバージョンとしての勝利への道という構図が実現したのである。

勝利への道であると同時に、「航海」という曲名を踏まえるとローア墜落のテーマとしての勝利への道フレーズという意味合いもあるだろう(ローア初登場時の墜落シーンでもハルカンドラでの不時着シーンでも勝利への道のフレーズが使われている)。

まとめ

いかがでしたか?
「勝利への道」は『Wii』の多くの楽曲のフレーズ元でありつつ、曲人気としては「スカイタワー」などの強力すぎる同期に隠れがちという印象であった。しかし、GC版を象徴する楽曲として決して埋もれることなく、そのGC版で想定されていたスカイタワーとの対を最終的には全うできたというサクセスストーリー(?)であった。

どの曲が好きかなどはもう個々人の問題なのでそこを変えてやるとまでの気はないが、是非気が向いたら勝利への道を聞きにいって欲しい。

余談+宣伝

この「ココロ知ル喪失ノ航海ヘ」で勝利への道がついに本懐を達した裏で、しれっとエッガーエンジンズの曲が入る余地を完全に失ってしまった。

勝利への道も好きだが、同等にエッガーエンジンズの曲たちも好きなので悲しくないといえば嘘になる。

そこで…

自分で「テクノ・ファクトリー」をアレンジしました。良かったら聞いていってください。作った時にマイブームだった別の石川さん工場系曲もMIXしてます。

ではまたどこかで。

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