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『解体屋ゲン』 #70 談合への誘い(後編)

清濁併せ呑み、談合に参加してでも前に進んで欲しい慶子、談合を認められないゲン、それは現実主義と理想主義の違いと言ってもいいかも知れません。二人はどんな結論を出すのでしょうか…。

(リンク先で無料で読めます)


前編はこちら

前編で私は「調べても調べても真実にたどり着けない気がするのです。それは談合の是非も含めてです」と書きました。では、談合を認めるかいうと…。

15年前のこの話を読むと、自分の青臭さ全開でいったいどうしてくれるんだ!って感じです(笑)。

自分を曲げられないゲン、曲げないのではなくどうしても曲げられないのです


それを受けて慶子は三友リース(ゼネコン)を辞めることを決意

企業にいる限りはグループのルールに縛られるため


慶子の思いとは


あれから15年、ゲンは自分を曲げないばかりに今でも青臭いことを言って会社は大きくなってません。でも…ポリシーを曲げなかったゲンたちは、少なくともまだ自分たちの足で立っています。<続く>



ここからは余談です。

漫画界も常に変動してゆきます。ブームによる流行り廃りとは別に、愚直に信念を貫き通すことでなんとか生き残る漫画もある。別にそんなポジションを目指した訳でもなりたかった訳でもありませんが、『解体屋ゲン』は結果的にそうなりました。

漫画全盛期であれば片っ端から単行本が出たでしょうし、ここ数年の風潮であれば単行本が売れなければ連載の方が打ち切られたでしょう。サブスプリプションの導入により、ここにきて電子書籍版が売れるようになり、それでもこの先一波乱も二波乱もありそうです。

ストーリー漫画の歴史はざっと50年、長い歴史の中ではほんの短い間であり、ネット時代の到来で変化のスピードに拍車がかかり、この先どうなるのか誰にも分からない状況です。

時代に合わせて変化するのを選ぶのがいいのか、曲げずに自分を貫き通すのがいいのか、正解は分からない(正解自体が常に変化している)と思います。身も蓋もない言い方をすると、どっちにも対応できるにこしたことはないと思います。

瞬間風速を求めて常にアンテナを張りつつ、「自分はこれだ」と言える核を作る。自分を見失わず、でも売れるための努力は忘れない。今の時代をサバイブしようと思ったら、どちらか一つでは危なっかしいと思います。

私?私はもう時代を追いかけることは止めました。自分にしかできないことを1つか2つ選び、それを誰にも追いつけないほど深く掘ることに専心します(出来るとは言ってない)。元々が不器用な上に時間の使い方が下手なので、多方向にアンテナを張ると総崩れしかねません。あまり認めたくないですが、年齢的なこともありますし。

なにが正解かの答え合わせは、大抵は何年も経ってからしか分からないものです。肝心なのは、そこに至るまでの過程を楽しめるか、自分に対して嘘がないか、ではないかな、とぼんやり考えています。






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