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『解体屋ゲン』 #65 ヒデ、頑張る!(後編)

泣いても笑ってもこのシリーズの最終回です。妹のためにがんばるヒデは果たして賞金を獲得できるのか?ぜひとも本編でお確かめください!

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では今回もまったくの余談を(笑)。


例えば、このシリーズは完全に創作です。テレビ番組が元だと言っていいでしょう。週に1本の原作をアップしてゆくためには、毎回取材していたら身体が持たない…というよりは物理的には持つのですが、リスクが高すぎて出来ないのです。

取材モノの場合、先方のアポ取り→訪問→取材→写真等の整理→文章にまとめる、
ここまでやってから通常の作業、すなわちプロット作成→台割作成→シナリオ執筆、という工程を踏まえてゆきます(ざっくり言ってですが)。これを1週間でやれと言われれば、出来なくないのですが…。

取材は相手がいることなので、コントロールできない予測不可能な色々な事態が待ち受けます。
例えば
・先方の都合で取材日程が3日後に変更になった
・デジカメやメディアが壊れていて写真が撮れてなくて後日やり直し
・当日が雨で、体調を崩した
どれもありがちです。さらに
・取材後に、やっぱりメディアに出たくないと言われる
・思っていたストーリーと違う、とボツにされる。あるいは大幅な変更を余儀なくされる。
これもたまにある事態です。

上記のトラブルが一つでも起きたらどうなるか。あっと言う間にその週の原稿を落としてしまいます。原作は余裕を持って漫画よりも数話分先行しているので、それにより雑誌に穴が開くことはないのですが、その代わりに自分の胃に穴が開きます(笑)。

それでも、取材モノは積極的に入れたいのです。上手くゆけばリアリティが全然違いますし、ネタが尽きる心配もありません。でも大変さで言えば、自分の想像だけで書く場合の3倍くらい大変です(当社比)。

ではどうするか。いくつかやり方があります。

・1度の取材で複数回分のストーリーを作る
時間を掛けて取材した場合、1話だけでなく複数話、あるいは1度やってしばらく時間を置き、同じ素材(取材対象)で前とは異なるテーマの話を作る。その際には、取材対象にその旨を伝えておきます。時間を置いたからといって、間違って無断で使用したりしないようにしましょう。

・信頼できる取材対象を作る
この人ならすっぽかしたり、後でゴタゴタごねたり無理難題を言ってこない、という信頼できる人が居てくれると、安心して取材モノが作れるようになります。理解の早い人だと「今度はこんな話はどうかな?」とこちらに提案してくれるようになります。こうなればしめたものです(笑)。

・ちょこっとだけ採用
ストーリーそのものは自分の想像ですが、取材の過程で得たtipsをそこに入れます。例えば「エアコンのパテは経年しても柔らかいまま」みたいな話を聞いた時にそれをメモしておいて、何かの拍子に使います。そういう小技をどんどん蓄積しておくのが重要です。これも取材対象に「いつか使ってもいいですか?」と断っておいた方がベターです。つまり、その素材一つでストーリーを構成できるほどではない小ネタの場合、それを疎かにしないで、話にリアリティを持たせたり、アイデアの一つとして活用するのです。

・創作モノのプロットを書き貯める
取材モノに取り掛かる前には、いつでも最悪のケース、つまりどこでボツになっても対応できるように話の予備ストックを複数話貯めておきます。できればシナリオまで完パケしておいて、いざピンチの時に「シュッ!」と差し替えられれば完璧ですが、それは出来た試しはありません(笑)。

こんな感じでしょうか。

今も新しいジャンルの取材に取り組んでいますが、やっぱり楽しい。後でどれだけ苦労すると分かっていても、やればやっただけの成果が上がると思えば…いえ、たとえ全部がボツになっても新しいことを学ぶのは楽しいのです。<続く>



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