『解体屋ゲン』 #84 労働争議
ブラック企業という言葉の語源を調べると1990年台後半にはもう見られるようです。ただそれがシャレにならなくなってきたのは2000年台に入ってから、2008年に『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』が発売されます。
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この話がどこか牧歌的なニュアンスで描かれているのは、もちろん五友爆破社内の話だからというのもありますが、世間的にまだ少しだけ余裕があったのかも知れません。
この話が掲載された2004年はITバブルが弾けて数年、ようやく経済が立て直して景気は回復基調と言われていた時代です。しかし2008年にリーマン・ショックが訪れ長期に渡って株価が低迷してゆきます。今読み返すとその手前のちょっと一服といった感じがよく出ていると思います。
ゲンたちが自然の姿に戻した堤防で
子どもがスリップ事故
親からの苦情で手すりを付けることに。モンスターペアレントと言う言葉はいつ出始めたんでしょうね
ゲンは間伐材を使って手すりを作ることを思いつきます。でもずーっと休みナシで働いているヒデと光はボイコットしてストライキに入ります。
ここのくだりを冷静に読むと、ゲンのやってることがブラック企業のそれな訳で、ヒデと光が無茶を言ってる訳ではありません。
ところで、今回読み直して「あれ?」と思ったのが
ゲンも「ン…?」となってる
あれだけ怒っていた二人がいつの間にか仕事に参加してる!?
仕事をボイコットしていた二人の気持ちが変わった、その下りを描いてない訳です。普通に考えれば慶子が説得するとか、老人たちが音を上げるのを見るとか、ヒデと光の心が動く、その場面こそが重要な筈です。そうでなければあれほど二人を怒らせた意味が分からない。
………思い出せない……当時何を考えてこうしたのか、記憶がありません。確かにこれまで何話も時間を掛けて、ゲンとヒデ、ゲンと光の信頼関係を築いてきました。だからゲンの大変さを忖度して手伝うことに…、という流れ自体は分からなくもないのですが、正直シナリオに欠陥があると言わざるを得ません。最後の花火も苦し紛れに見えます。
ううう…過去作を見直すのは時として辛い作業です。なので今回はサラリと終了します(笑)。 <続く>
GWも最終日ですね。『「解体屋ゲン」の導火線 ベストセレクション見本版』、もう読んでいただけたでしょうか。
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