漫画業界の片隅から小さく物申す

このところ、ノートを更新しなくても新しくフォローしてくださる人が毎日いる。プロフィールを見てなら漫画について、最近書いたものならあるいは取材の裏側や政治についてのコラムに興味を持ってくれたのだろうか。

表題だが、漫画界隈のツイッターでは政治の話はほぼスルーされる。それに反応してフォロワーが増えることはほとんどないどころか、空気読めみたいな雰囲気すらある。だからnoteの反応は少し不思議だ。

商業漫画で政治や社会問題を取り扱う作品は限りなく少なくなった。『解体屋ゲン』ですら社会派と言われることすらある。いやいや爆破エンターテイメントだから!過度に期待しないで欲しい。でも…

漫画はなんでも表現できる、そう宇宙から未来からAIまで。もちろん政治や民主主義や天皇制、社会運動に文明批評、ありとあらゆる表現が可能なのに、市場を見渡すと扱うジャンルと題材はかなり偏っているように見える。

また、優れた作品はジャンルを超えて批評精神を持っている。『火の鳥』しかり『あしたのジョー』しかり『寄生獣』しかり。言うまでもなくエンターティメントと両立が可能、というより批評精神があるからこそ面白い。

もう一つ気になることがある。Netflixのオリジナルビデオや最近のマーベル、今なら『ブラックパンサー』とかに顕著だが、ハリウッドの繰り出してくる作品のほとんどが現代社会に対する批評精神に満ち満ちている。もちろんバリバリのエンターティメントであり、その両立とさじ加減のあまりの見事さと計算に逆に鼻白むものの、日本のエンターテイメントとの格差は量・質ともに開いてゆくばかりだ。盛っているカロリー(予算)からして比較にならないのだが、ここでもガラパゴス化してないだろうか。そうなる理由も分かるだけに心配になる。

漫画に限らず、どのジャンルでも多様性と批評性を失ったらそのジャンルはいずれ滅びる。シュリンクしてゆく漫画業界の一因はそこにあると思うが、これを止める術はあるのだろうか。






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ここでいただいたサポートは、海外向けの漫画を作る制作費に充てさせていただきます。早くみなさんにご報告できるようにがんばります!