眠り姫

眠り姫、と呼ばれていた。高校の頃、先生たちに。

一応進学校の、部活も勉強もがんばる真面目な生徒だったのに、どうしても授業中の居眠りがどんなに強い意志でもってもやめられないとまらない時期があって、「お前は真面目なのになんで寝るんだ」と先生方に言われていた。一度本気で怒られて職員室まで謝りに行った。

自分でも解決策がわからなくて途方に暮れていた。担任の先生に相談したら、「成長期なんじゃない?」と一言軽く言ってくれて救われたけど、その先生は父の誕生日に亡くなった。

「俳優になりたいから東京に出たい」、という本心を言えないままだったな。適当な志望校を書いて提出して、やりたいこと、わかりません、としか伝えていなかった。わたしの本心だけ聞いてもらいたかったな、もっと早く言えばよかったな、と思う。

眠り姫、という言葉を思い出すと、ここまでセットで思い出す。

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