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共戦神話の真相(善悪について)



「善と悪って本来どういうものなの?」

「善悪を語るにはまず善とは何か、悪とは何かについてはっきりさせなければ正確に議論ができませんがそもそも善にも悪にも“これが善だ!”と言えるほどはっきりとした定義がありません。例えば人を殺すこと。これは圧倒的な大罪・・・つまり悪として見られるのが一般的です。ですがこの殺すという行為も殺された者殺した者のおかれている状況によって善にも悪にも見ることが出来ます。」

「・・・例えば?」

「例えば殺した者は実はその者に今にも確実に殺されそうだった・・・こうした状況であれば善として見られます。」

「・・・でもなんかそれってモヤモヤするというか・・・違和感が残るんだけど?」

「それは“いくら自分を守る為だとしても相手を殺すことを正当化してもいいのか?”ということですか?」

「まぁ・・・そうなのかな?」

「それは確かに私としても違和感を覚える部分ではありますが今回の争点はそこではありません。」

「・・・というと?」

「そもそもの争点として私が思っていることを言わせていただくと“善悪とは論じるべきものなのか?”ということです。」

「どういうこと?」

「つまり“善悪とは論じる状態にあるのか”ということです。善いとは何か。悪いとは何か。見方や状況によって定義が変わってしまうような曖昧なものは言うなれば水のようなものです。もしこれがケースバイケースの善とは何かであったならばこうした状況でのこの行為は善と言えるだろう。とかこうした見方によっては善と言えないこともない。とか論じることはできます。ですが善とは何かと聞かれると善です。としか言いようがないですね。」

「・・・俺はなんで神様が作った世界に悪があるのかを聞きたかっただけなんだけど汗。神様なら完全な世界が作れるのに何でそうしなかったのかなって。」

「成程。何故世界に悪があるかということですか。」

「うん。」

「だとしたらミィディアには完全という言葉の解釈と善悪の関係性について理解し直してもらう必要がありますね。」

「完全と善悪の関係性について?」

「そうです。まず善悪の関係性についてです。聞きますがミィディア。今まで失敗したことはありますか?」

「そりゃいっぱいあるさ。それこそ小さいことから大きいことまでな。」

「ですよね。じゃあ逆に今まで一度も上手くいかなかったことはありますか?」

「それもないな。じゃなかったら今頃生きてない。」

「善悪の関係性はそれと同じなんです。人は成功と失敗を繰り返して生きています。天使も同じです。善いことも悪いことも繰り返して地上を栄えさせてきました。つまり善悪とはどちらも存在するんです。必要とするしないは別として。」

「・・・つまり悪は善がある限り存在するってこと?」

「そうです。ですがそれは善い世界であるために悪が必要であることを肯定しているわけではありません。地上ではこうした悪を必要悪と呼ぶみたいですが天使から言わせれば必要悪ではなく存在悪なんですよ。善があるから悪がある。逆に善だけの世界は完全ではないんです。完全な世界とは善も悪も欠けてはならないから悪があるんです。ほら言うじゃないですか。完全無欠と。欠けているものがないから完全なんです。余分なものも混ざった完全な世界。それがあなたたちの住まう地上です。」

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