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女性神職草分けの名誉宮司の袴…金華山黄金山神社からの贈り物 ことの葉綴り一〇六七

海に浮かぶ金華山黄金山神社さん


こんにちは。今日から霜月! 早いですね。
先日、新刊本『元伊勢・倭姫命を訪ねて』(晶文社)で、手作りのポップを持って書店ご挨拶巡りをしてきました。
また、次回にでも綴らせていただきます。
今日は、涙するほど嬉しいことがったので、それをシェアさせて頂きます。

神社では、女性の神職さんが増えてきましたが、戦後、女性神職の草分け的存在だったのが、太平洋の宮城県石巻市の離島、島全体が聖地である「金華山黄金山神社」の、名誉宮司だった奥海睦さまです。

金華山黄金神社」さんは、金を司る金山毘古神 (かなやまひこのかみ)・ 金山毘賣神 (かなやまひめのかみ)、辯財天さまをお祀りし、東北の三大霊場(出羽三山・恐山・金華山)や、「日本五大辯財天」とされて、「3年連続でお参りすると一生お金に困らない」ともいわれる聖地です。


女性初の宮司、女性初、特級神職!


奥海睦さまは、昭和4年の己巳年生まれ。昭和26年に奥海家に嫁がれて、昭和34年にご主人が早くに逝去されたため、お宮を守るために、神職の資格をとられました。まだ女性の神職さんがほとんどいない時代。
やがて、全国で女性初の宮司さんになられ、婦人神職の会も結成されて、1997年には、神職の最高の階級「特級」に、女性初で授与された方です。
2015年(平成27年)2月に帰幽されて8年になります。
私がお会いしたのは、2011年3月11日の東日本大震災のときに、東北の神社では何が起きていたのか。日本人のこころがどう発露したのかを、神社の方にお聞きしてルポをして一冊にまとめた前著『光に向かって 3.11で感じた神道のこころ』(2012年、晶文社刊)で、取材に訪れたときです。

海が2つに割れた

離島の金華山の鹿山公園の頂上から参拝者が目にしたのは、南北に海が割れて海底があらわになったそうです。
参集殿や鳥居が倒壊。
電気ガスもないなか、息子の宮司さん、宮司さんの妻、幸代さん、睦さんの3人は島も守るために残っていたが、やがて自衛隊のヘリで、避難されており、仙台市内のご自宅で過ごされていたときです。

私たちは自然の掌の上で生かされているの

女性神職として、今年で50年。私たちは、自然の掌の上で生かされているんです
そして、天真爛漫な優しいお顔でこう続けられました。
「金華山にいる鹿や猿は、津波や地震の後もケロっとしているんだよね。倒れた石の鳥居のしめ縄を食べてるの(笑)。人間とは違うね~。自然はやはり強いですよ」


そして、後継の女性神職さんについても、こうエールを送ってくれました。
私たちの時代と違い増えていますが、参拝者さんへの接待や心配りなど、きっと女性にしかできない神職としての役割もあると思います。神さまの中継地点としてね、頑張ってほしいね

……その後、睦名誉宮司から、ご自身の女性神職の装束の生地を使って、宮司婦人の幸代さんが、手作りのご祝儀袋と、小物入れを贈ってくれました。

……今も、大切に使わせていただいています。

名誉宮司の特級の袴で……

あれから12年……睦名誉宮司が帰幽されて8年。

先日、新刊本『元伊勢・倭姫命を訪ねて』をお送りしたところ、宮司の奥様の幸代さんから、お電話をいただいたのです。
そして、昨日、届いたのは、幸代さんからのお心のこもった本の感想を記したお手紙!
さらに、白い布にくるまれていたのは……
美しい和柄の白い生地でできた手作りの
お守り入れ
ティッシュケース
ペン入れ
そして、
ブックカバー

すべて手作りで、お守りには、「金華山黄金神社」さんの「巳成金」の小さな小判型のお守りが入っていて!
ペンケースにも、仕事で私がペンを使うからと「御神筆」を入れてくださっていて……。
そして、ブックカバーは「ご著書を包んでいただけたなら」と、メッセージが……。

しかも、しかもです。
美しい白い生地……
なんと、
名誉宮司の特級の袴をほどいて作ってみました
……
もう、お手紙を読んで、感動から涙があふれてきて……手作りのお心のこもった、特級の袴でできたカバーやお守りを胸に抱いていました……

そして、夜でもありましたが、お礼のお電話をかけていました。
復興するまでは死ぬわけにはいかないよ」が口グセだったという名誉宮司からの“贈り物”
宮司婦人が手作りしてくださった“宝物”

この想いを受け継いで……

ありがたすぎで、今も涙でそう……

トップの写真が、特級の袴でつくっていただいたブックカバーです。ほかの“宝物”の写真は今回は、アップしないでいます。

長くなりました。
読んでくださって、ありがとうございます。


―次回へ

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