ゲーム「碧の軌跡」感想

 発売から毎日少しずつ進めて、ようようクリアにたどりついた。途中からはFF13-2を同時並行でプレイしたため、ずいぶんと時間がかかってしまった。両者に共通したのは、クリアへの動機が最後には義務感のみとなったことだ。

 物語を楽しむという点で、JRPGは時間当たりのコストパフォーマンスが悪すぎる。ストーリーはいずれもJRPGの系譜を担うひどい厨二病だが、その内実は天と地ほども違った。厨二病とはヘルペスのようなもので、いったん罹患すれば完治は不可能である。一方をヘルペスが再発しないよう入念な体調管理をする健康マニアの中年マッチョと例えるならば、もう一方は爛れて赤く腫れ上がった口唇でライムをくちずさむ若者ラッパーだ。キャリアであることに自覚的かどうかが、両者の分水嶺となったのかもしれない。

 ともあれ、本邦で最もカネのかかっていない使い回しのシステムと、本邦で最もカネのかかった小学生の作文、この二作をプレイしさえすればJRPGの陥っている病理、進化の袋小路を君はあますところなく体験することができる。そして、いずれかがいずれかを買収すればJRPGの課題は一定の解決を見るような気もするが、我々の社会は使い回しのシステムに小学生の作文を搭載した凄まじい忌み子を中絶し損なうかもしれず、これは投資家の妄想に止めておくがよろしかろう。

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