『ストーリー ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則』のレビュー第五回を投稿します。
(各回をまとめたマガジンはこちらです。)
※ こちらのレビューは、非常に内容が濃い本書を私なりにまとめた「概要」です。
興味をお持ちになった方は、ご購入の上、本レビューを副読本的にお読みになることをお勧めします。
第2部 ストーリーの諸要素
5 構成と登場人物
作劇に関する本や、シナリオスクールの授業で、このような言葉を読んだり聞いたりしたことはないでしょうか?
「脚本作りにおいて最も重要なのは、魅力的な登場人物を生み出すこと」
「良いキャラクターさえできれば、ストーリーはどうとでもなる」
私の経験では、このように「キャラクター設定が、ストーリー構成よりも重要」とする意見をよく見聞きするように思います。
著者のロバート・マッキー曰く「プロットか、登場人物か。どちらが重要か?」という論争は、芸術が生まれて以来続いているとのこと。
この問いに対する著者自身の意見は、以下のように記されています。
【実像と性格描写】
著者の言う「実像」と「性格描写」とは、以下のようなことを指します。
「魅力あるキャラクターを作ること」は、作劇に関するあらゆる本のなかで「重要だ」と書かれているでしょうし、シナリオスクールでも再三、「大切だ」と教わると思います。
ですが、いざ「魅力あるキャラクターを作ろう」と書き手が考える際には、「性格描写(=表面に現れている性質)」についてしか考えていないというケースも多いのではないでしょうか?
【登場人物の実像を明らかにする】
「実像」と「性格描写」の違いを説明した上で、著者は、
「『性格描写』の部分には表れていない『実像』を明らかにすることが、すぐれたストーリーを書く基本だ」
と述べています。
実社会には、「性格描写」と「実像」が一致している人物も存在しているでしょう。
ですが、それではストーリーが退屈にならざるを得ないと言うのです。
『007』シリーズを例に挙げて、著者はこのように解説しています。
【登場人物の変化】
主要登場人物は、性格描写と比較、もしくは対立させて、奥深い実像を描くのが原則。
この原則をさらに発展させて、「登場人物の実像に変化が起きること」も重要であると著者は言います。
【構成と登場人物の役割】
ストーリーの構成は、登場人物をよりよく描くことができるよう設定するのが重要である。
登場人物は、ストーリーにより説得力を持たせることができるよう設定するのが重要である。
……というわけです。
【クライマックスと登場人物】
クライマックスの重要性を著者はこのように述べています。
そして「物語の構成と、登場人物の関係」に関して、以下のようにまとめています。
☆「第2部ストーリーの諸要素 6構成と意味」に続く
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脚本、小説のオンラインコンサルを行っていますので、よろしければ。
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※このブックレビュー全体の目次は以下の通りです。
第1部 脚本家とストーリーの技術
(1)ストーリーの問題
第2部 ストーリーの諸要素
(2)構成の概略
(3)構成と設定
(4)構成とジャンル
(5)構成と登場人物
(6)構成と意味
第3部 ストーリー設計の原則
(7)前半 ストーリーの本質
(7)後半 ストーリーの本質
(8)契機事件
(9)幕の設計
(10)シーンの設計
(11)シーンの分析
(12)編成
(13)重大局面、クライマックス、解決
第4部 脚本の執筆
(14)敵対する力の原則
(15)明瞭化
(16)前半 問題と解決策
(16)後半 問題と解決策
(17)登場人物
(18)ことばの選択
(19)脚本家の創作術
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