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むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく

この「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく……」という言葉が大好きで、PCのデスクトップに大きく表示していたこともあります。
いろいろな意味が込められていると思うんですが、
「作品は、観客のためにあるもの」
「言葉は、受け取る人のためにあるもの」
ということを思い出させてくれる言葉だと、私は考えています。

物書きが原稿を書く場合にも、日常の会話の中でも、この言葉で語られているのとは真逆のことが起きる場合がありますね。
易しい事柄を、妙に難しそうに語ってしまったり。
深い事柄を、雑に型にはめて単純化してしまったり

こういうことは、言葉を発する側が、受け取る相手のことより自分の気持ちよさを優先しているときに起きるんじゃないかと思うんです。

難しいことを語っているような気分になるのも、物事を分析できているような気分になるのも、語っている側は気持ちがよくて、ついその状態に酔ってしまうんですよね。
でも受け止める側の視点に立つと、楽しくも面白くもなく、何よりもメッセージが伝わってこなくて、何もいいとこがない。

井上ひさしさんの言う「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく……」という伝え方は、相手への配慮と想像力に満ちています。
だから、読み返す度に私は、
「あなたの書いている原稿は、自分本位になってない?」
「あなたはただ、自分の言葉に酔っているだけじゃない?」
と、自分に問いかけられているような気持ちになります。

#日記 #エッセイ #コラム
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