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猫の耳でも借りたい

私は東京、香港の二拠点を行き来して生活しています。
夫が香港の会社で働いていまして、私は脚本家なので、
「ノートPCさえ持ち歩けば場所が変わっても仕事を進められる私の方が動きやすいよね」
ということで、このスタイルを続けています。

今週は香港にいまして、日中は家で原稿を書き、夜は夫と待ち合わせをして外で食事をしたり、夕食を作って待っていたり、という過ごし方。
東京での時間、香港での時間、それぞれに良いところがありますが、こちらにいると、毎日夕飯の時間に夫に仕事の話を聞いてもらえるのがいいな、と思っています。

夫はまったく畑違いの仕事をしているので、アドバイスをもらうというわけではないんですが、
「今、こういう物を書きたいと思っているんだけど、この辺で行きづまってて……」
といったことを、私が一方的にしゃべりまくります。
夫は、ふんふんと聞いてくれるわけなんですが、話が分かりづらいと、
「それってどういうこと?」
とツッコミが入る。
あれこれしゃべっているうちに、「フッ」と笑ったり、「えっ!」と驚いたりというリアクションもある。

こういうことが全部、発想を広げるきっかけを作ってくれる気がするんですよね。相手に伝えよう、わかってもらおうとしているうちに、自分の考えが固まっていくというか……。
「相手と話しているようで、実は自分と対話をしている」みたいな感じ。

シナリオ教室に通っていた頃にも、師匠がよく、
「原稿に行き詰ったら、誰か相手をつかまえて話を聞いてもらうといい。誰もいない時は、ノラ猫を連れてきてニャーニャー言っているのを相手にしゃべってもいいぐらいだ」
と言っていました。
相手は猫でもOK。ならば、やっぱり本質的な対話の相手は自分、ということですかね。

一般的な悩みごと相談も、明確な答えをもらえなくても、聞いてもらうこと自体に意味がある気がする。
そう考えれば、人の相談にも気軽に乗ってあげられるようになりますよね。
「何とか解決してあげないと!」と気負わなくても、「猫よりはリアクションできるしね」ぐらいの気持ちで引き受けちゃえばいいのかも。

#日記 #エッセイ #コラム #悩み #相談
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