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『ちゃんとしない』のススメ

落語好きなので、ちょくちょく寄席や落語会に行きます。
先日は、高校の先輩に誘ってもらって立川こはるさんの会に行ってきました。
ゲストは春風亭昇々さん。お二人とも人気の二つ目さんです。
(噺家さんの格付けは「前座」→「二つ目」→「真打」と上がって行きます。)

昇々さんは『お見立て』という噺に入る前のマクラ(噺の前フリ的な部分)で「旅先でエラい目に遭った話」をいくつも披露していました。
めちゃくちゃ笑えましたが「ネットに書かないでくださいね!」と言っていたエピソードもあるので、残念ながら割愛。
ただ、どの出来事も「巻き込まれた」わけではなく、昇々さんが「自ら巻き込まれにいって出くわしたこと」だったんですよね。

「例えば、いかにも怪しげな店に入って、ぼったくられたとしても、全然いいと思ってるんですよ」と昇々さん。
つつがなく旅を終えて何が面白いんだ?
そっちに行ったらマズい……と思う方にあえて進んで、とんでもない経験をした方が断然面白いじゃないか!
ということですね。
昇々さんによると、前座時代は、とにかく真面目にきちんと過ごさなくてはならないとのこと。
でもそれは本来の自分のあり方とは違うため、
「今は前座時代の反動もあって、おかしな方に行きたくなる」
というお話でした。

つまりは「ちゃんとしてばっかりいると、息苦しい!」ということだと思うんですが、その感覚、私もすごくよく分かります。
物書きになる前に会社勤めをしていたこともあるんですが、当時は、会社で何のトラブルもなく平穏な時間が続くと、
「なんか起きないかな? 揉め事とかでいいんだけどな」
と思っていました。
まあ今は、普通に仕事さえしていれば、「突然のちゃぶ台返し」「想定外過ぎるアクシデント」「聞いてたのと話が違うぞ!」等が次々に起こるので、刺激には事欠きませんけれども……。

それはさておき「あえて、ちゃんとしない」という姿勢は、実践すると良いことも色々あると思うんですよね。
特に「自分を変えたい!」と思っている時には効果的なんじゃないかと。
別に旅先で危険な場所に乗り込んでいくとかじゃなくても、日常の中で、「普段の自分なら言わないこと」を言ってみたり、「普段の自分なら避ける場所」に出かけて行ったりというのは、すべて「変化」に繋がると思うんです。
「完璧に安心、安全な場所にいながら、変化を望む」というのはなかなか難しいんじゃないでしょうか。
「変化」と「アクシデント」はとても近い場所にある気がするので、日ごろちゃんとしている人ほど、「あえて、ちゃんとしない」をちょっと試すだけでも、何かが起きる確率が高いと思います。
とりあえず、「明日朝早いけど、飲みたいから飲みに行くぞ!」ぐらいの事からでもいいんじゃないでしょうか?

#日記 #エッセイ #コラム #落語  
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