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KMM-002 「世界を割る」について

ということで、前回の更新に続いて、ことさらマガジンで連載しているコラムについて書きます。

「世界を割る」も、漫画家の服部昇大さんによる「美ー子ちゃんの今週の一枚」と同じく、ミュージックフリーペーパー『UNGA!』で連載していたコラムです(服部先生の連載名は「あたらしい日本語ラップ」でした)。

酒場ライターであり、パリッコさんとのユニット「酒の穴」でも知られるスズキナオさんが何かで酒を割る内容なのですが、なんとなく、「世界を割る!」(←『UNGA!』での連載にはビックリマークがついていました)の連載が始まった頃って、「酒の穴」も結成したかしないか…くらいの時期で、スズキさんもお酒とは関係ないライティングをすることが多かったような気がします(一切調べずに書いてるので、全然違ってたら申し訳ない&今のスズキさんも、酒と関係ない記事を色々と書かれていますが)。

ともかく、そんなスズキさんに、そんな内容のコラムを依頼するUNGA!編集部さん、お見事だと思います。「世界を割る!」って名前が、また素晴らしい。

「割る」ことの楽しみって本当に大きいですよね。お酒に限った話ではなく、ファミレスのドリンクバーで色々と楽しむこともできる。ガムシロップを使いまくってオリジナルドリンクを作る高校生?が非難されたりしたこともありましたが、マクドナルドで働いていた頃、「水にレモンリキッドとガムシロップを入れて飲んでたおじさん」としては、そういうフロンティア・スピリットは大切にしてほしいと思ったりもします(そこそこ長く飲食店で働いていたので「確かにガムシロバカスカ使われたら利益吹っ飛ぶな!」とファミレス側を気の毒に思ったりもするのですが)。

私も今、こんな「割り」を実施中です。

この可愛いカップは、先日滞在していた那覇の飲食店のマスターが、「家で泡盛とか飲まれます?」と言うので、「焼酎とかビールとか飲んだりしますね」と言ったら、お土産にどうぞ、とくださった泡盛です。こんな小さいカップ焼酎・泡盛あったんですね。それを今、こうしています。

おわかりいただけただろうか。って、わかるほうがおかしいのですが、これはいただいたカップ泡盛の中に、これまたそのお店でいただいたコーヒー味の飴を2つ入れたものです。コーヒー焼酎やコーヒー泡盛、焼酎や泡盛のコーヒー割りは大好きなので、「そう言えば…!」とひらめき、やってみました。結構入れてすぐ真っ茶色になったので軽くビビっており、なおかつ飴がかなり甘い味で、その砂糖みがどう出るか、やや不安ではあるものの、どんな仕上がりになってもスタッフが美味しくいただきます。

そもそも、改めて考えてみると、「割る」って表現が凄いんですね。BLANKEY JET CITYだって、「夕暮れ時って哀しいな」とつぶやくのは、「オレンジジュースとミルクまぜながら」であって、「割りながら」ではないわけです。

さっき例に挙げておきながら何ですが、ドリンクバーも普通は「混ぜる」とか「足す」とかになるはず。ではなぜ「割る」のかと言えば、美味しく飲むための行動であり、またほとんどの人がストレートで飲んだらすぐ潰れちゃうくせに、割り材を加えることで、酒を酒たらしめている「アルコール」の「度数」を減らしてしまうことに対する逡巡が、我々に「割る」という表現を使用せしめたのでありましょう。こう言っちゃなんですが、どちらかと言えばネガティブな用法が多い言葉ですからね、「割る」って(ですよね?)。酒に対する「割る」の初出ってわかっていたりするんしょうか。

…と、さんざん「割る」について考えていると、「夢航海」なる泡盛とコーヒー飴を組み合わせているの(「割る」というより「溶かす」かもですが)、東インド会社とか奴隷貿易とかの見立てになっていやしないか(しない)と不安になったりならなかったりしますが、必ずスタッフが美味しくいただきます。

話を戻します。『UNGA!』には他にも様々な連載がありましたが、私がたまたまスズキさんと服部先生には面識があったこともあり、残念ながら休刊が決まったときから、「世界を割る!」と「あたらしい日本語ラップ」の連載を継続させてもらうことができないかなあ、とぼんやり思っていました。

その頃は、まだサイト作成もまったくの手付かず。ただ、何かしらの連載コンテンツはやるつもりだったので、この2つをラインナップに加えることができたら、こんなにありがたいことはないよなあ、と思っていたのですが、実際にUNGA!編集部さんの許諾をいただくことができました。本当にありがとうございます。

ちなみに、ことさらマガジン版ではタイトルに“!”がありません。なんとなく、ことさら出版で書かれる「世界を割る」は、そんなにテンションの高い内容にならないのでは、といった考えや、スズキさんのお名前と文字数を揃えようかな、といった考えが、ほんの少ーしはあったものの特に理由はありません。

しかし、この投稿のタイトル上にある画像には、“!”が入っています。これは『UNGA!』時代の「世界を割る!」のロゴをご提供いただいたものです。当然ながらこのロゴには“!”が含まれています。また、たくさんのミュージシャンが連載を持っているフリーペーパーでしたので、スズキさんの名前の前にバンド名も入っています。

ファイル自体は文字をいじることも可能で、“チミドロ・“と“!”を外すこともできます。ただ、単に外すだけではバランスがおかしくなりますし、そのバランスを私が修正する再構成を行っても、多分妙な感じになって制作者の意図を損ねるだけだろう、と思い、『UNGA!』時代の歴史を残す(偉そう)意味でも、このまま使わせていただくことにしました。

さらには、バックナンバーまでご提供いただいております。現在はまだ第2回までしか更新していないのですが、スズキナオさんや「世界を割る!」の存在は知っていたけれど、『UNGA!』の入手手段がなかった―という方は、ぜひ今後の更新を楽しみにしていただければ幸いです。

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