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「でもやっぱり人間向いてないわ」綺麗な心と目の君へ

朝の満員電車に乗ると、珍しく焼きたてのパンの匂いがした。

私は昨日付き合うことになったのに、どうしてこの満員電車に乗っているのだろうと思いながら、
眠い頭でずっと考えていたことを今日はまとめられたいなって思う。

付き合うことになった彼は、すごく純粋で綺麗な目をしているなと思った。
価値観を擦り合わせる時に、私はどうしてこんなに汚れているのだろうか、聞き分けが良くなってしまったのだろうかと、自分が惨めに見えた。

彼にないものを私は持っていて、
彼に持っているものを私は持っていない。

彼が持っているものは、私の手のひらから静かに落ちていってしまったものだと思う。手放してしまったのかもしれない。

自分が惨めには見えたけれど、
私を作ってきた過去には否定したくはない。
そして、私にできるのは惨めさを和らげることではなくて、きっと私が持っているものを彼から遠ざけて、彼が持っている綺麗なものを手放させないように、彼の綺麗な目を守りたい。

そんな気持ちだ。
私はずっと今の私を演じ続けたい。

その上で、私は彼の前で綺麗な目を見つめていたい。そして、演じている自分と本当の自分をくっついて、本当の自分なんて、静かに殺したい。そしたら、演じている自分が本当に見えると思うから。


彼は不安なんだと思う、だけれど、
彼に伝えたい、彼を好きな気持ちには嘘がないんだということに。
だから、そんな不安を抱えないでと。

私が隣にいたら、彼が汚れてしまわないか心配ではあるが、その心配は絶対に隠していたい。
これは墓場まで持っていく事実なんだ。

私も街のカップルのように見えるだろうか。
私はまた失敗しないだろうか、
また選ばれなかったらどうしようと不安が本当はあるんだ。

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