実家に着くと彼から鬼のような着信。

「クライアントさんにまで連絡して、どういう話になってんだ？
俺はどんな顔して打ち合わせに行けばいいんだ？」

知らねーよ。

その日に予定していた撮影は機材トラブルと言ってリスケした。
そもそも同日でダブルブッキングしていた打ち合わせは、
恐らく体調不良を理由に翌日に変更して貰っている。
更に、
「アクビ、電話とかは出てくれるんでしょ？」のメッセージ。
「早く帰ってきて！」

このメッセージだけ見るとかわいいけど、
一切の言い訳も謝罪もない。
何事もなかったように、ただ実家に行っている奥さんに甘えているだけの体裁…。

「2、3日で帰ります」

★

実家にいる間にお義母さんとは密に連絡を取りました。
「それでもアクビちゃんが一緒にいたいって言うなら、それは私には何も言えない部分だから…。」

「無理でしょう。全部嘘だったんですから、
私が好きだった人はこの世にいないんですよ。
あの人、もはや知らない人ですから。」