本音が言えない世界は、孤独で寂しい
本当の僕は、人見知りな性格なのは相変わらずだが、明るい一面を持っている。
とはいえ、けっして今が明るくないとかそういうことが言いたいのではなく、本当の自分をどこまで人に見せていいのかわからなくて、息苦しさを感じるときがある。
子どものころのように無邪気に笑えられたら、きっと生きるのが楽になるだろうと思う。だけど自分のなかでセーブしてしまって、誰にも本音を言えずにいた。
それは10代のころに誰も「僕」を受け入れてくれる人がいなかったからだ。
いつからか自分自身を否定するようになり、僕は「僕」として在り続けてはいけないのだと、本当の自分を閉ざしてしまうようになった。だから「なに考えているのかわからない」と人に言われてしまうこともあった。
初めて会う人たちを目の前にすると、本当はたくさん話をしたいのに、なにも喋れないことがほとんど。「あがり症なの?」と聞かれることもよくあるし、たしかに初対面の人を相手にすると緊張する。
しかしそれよりもいちばん「僕」を否定されることが怖くて、自分をどこまで出していいのかわからなくて、結局自分を出せないまま終わらせてしまうことがほとんどなのだ。
ライブのステージ上でMCをするときも自分を出すのが怖くて、結局自分でも何をしゃべっているのかわからないことを話していて、自己嫌悪に陥ったことがあった。
それ以来、ステージに立つことが怖かったし、人から避けて通ろうとしてきた。
だけど今度のステージに立つまでに4年の年月が過ぎて、「なんのためにここまで歩いてきたんだろう…」と思った。何度も歌うことを諦めようと思ったけど、諦めきれなかったのは、本当の自分をいつか見てもらえる日を望んでいたからなのだと思う。
だから僕はずっと自分自身から逃げているだけだと気付いた。
「弱さを見せる覚悟を持ってこそ、真のアーティストになれる」
これは僕自身がなりたいアーティスト像であり、プロのアーティストの人たちは皆そうだ。その称号を手にするまでの道のりは、きっとまだまだ先のことなんだと思う。
だから今度のライブでも、きっとうまくは自分を見せることはできないと思う。
だけどそうやって一歩ずつ、進んでいきたい。
そうやって本来の自分を取り戻していきたい。
いつか心から笑える日を信じて、いまのこの苦しみと向き合っていこうと思う。
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